大前研一のニュースのポイント

世界的な経営コンサルティング 大前研一氏が日本と世界のニュースを解説します。

今後のトヨタのライバルは、ポルシェ・フォルクスワーゲン

2009年02月03日 | ニュースの視点
欧州自動車最大手の独フォルクスワーゲンが11日発表した2008年の世界販売は、新興国での販売が好調で過去最多記録を更新し、前年比0.6%増の623万台になった。ただ、世界的な自動車市場低迷で、今年は減速する可能性もあるとのこと。

世界的な自動車業界の壊滅的な状況に比べると、フォルクスワーゲンは比較的好調な業績を見せている。

この5年間の販売台数を見ると、中国・ブラジル・ロシアという新興国における販売台数が好調に推移しているのが分かる。

このようなフォルクスワーゲンの快進撃に重要な役割を果たしている人物が2009年2月2日号のFORTUNE誌の表紙を飾っていた。

それは、現在ポルシェのCEOを務めているヴィーデキング氏だ。

2009年1月、ポルシェは同社が取得したフォルクスワーゲンの株式が50%を超え、子会社化したと発表したが、ヴィーデキング氏はまさにこの買収の立役者だ。

ヴィーデキング氏のフォルクスワーゲン株を買い増した手腕は、ヘッジファンドよりも上手なやり方だったと評価されているほどだ。

この買収劇によってフォルクスワーゲンの株価が一時期世界最大の時価総額に達するほど急上昇をした際には、それを利用して2兆円ものキャッシュをポルシェに取り込んでしまったのだから、まさに見事という他ないだろう。

ポルシェ自体は小さな会社だが、こうしてフォルクスワーゲンを傘下に収めることにより量産体制を作り始めている。

例えば、ポルシェには「カイエン」という四輪駆動の車種がある。おそらくポルシェが設計開発を担当し、エンジンまで提供しつつ、実際の「カイエン」の量産体制はフォルクスワーゲンで実現されているのではないかと私は見ている。

またFORTUNE誌では、今年の夏にポルシェから発売予定の4ドアスポーツカー「パナメーラ」の記事も掲載されていたが、これも面白いコンセプトの車だと思う。

ポルシェの車でありながら、小さくて窮屈ではなく、セダンでゆったりと高級感があるという車になっているのだ。

この車は、1台当たり120万円~130万円の利益が出る。他のメーカーの車に比べて非常に高い利益率だ。だからこそ「儲かる」のだろう。

このように小が大を生み出す典型的な形を実現しているのがポルシェという会社の特徴だと言える。

今、世界的な自動車業界の不況の中で、日本のトヨタも苦戦を強いられている。特に北米での販売不振や途上国にリーチできていないという点が大きな課題の1つになっている。

その点から考えると、ポルシェ、フォルクスワーゲンが今後のトヨタにとって一番のライバルであり、今後の悩みの種になっていくのではないかと私は思う。

米ビッグ3によるパワーバランスが崩壊した今、世界の自動車業界の動向を見ていく上でも、ポルシェ、フォルクスワーゲンには注目していきたいところだ。

4 コメント

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Unknown (Unknown)
2009-02-05 14:37:37
世界的な経営コンサルタントなら、自分自身で会社経営すればぁ!(笑)
所詮、無形を有形にして何も創りださない仕事なんだよね~(笑)
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下への反論 (ミネルバ)
2009-02-05 14:46:10
下のコメントがあまりにもひどいので反論。
大前氏は自分自身で何社も経営してるよ。
書き込んで無知をさらす前に、少しは調べたらどうだ?
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下への反論 (名矢田)
2009-02-06 13:51:04
皮肉で書いてると思いますので、正面から反論する貴男は?
歩く六法全書?w(°0°)wですかぁ?
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いいタイミングの記事です (OK)
2009-02-13 21:19:14
昨日 フォルクスワーゲンが電気自動車のエンジン開発で 東芝と提携したとのこと。
今後のフォルクスワーゲンとポルシェの開発、販売戦略の動向が楽しみです。
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