大前研一のニュースのポイント

世界的な経営コンサルティング 大前研一氏が日本と世界のニュースを解説します。

ソフトバンクが今考えていること、そしてiPhone5到来時のリスク

2011年10月25日 | ニュースの視点
米ヤフーが日本のヤフー株を放出するのではないかとの観測が再浮上している。英フィナンシャル・タイムズ紙が7日、米ヤフーの事業再構築の一環として数週間以内にも放出の可能性があると報じた。

これはマイクロソフトが買収するという話につながるが、これを受けて日本ヤフーの筆頭株主であるソフトバンクの孫社長は、どのような対応をするだろうか?

現在ソフトバンクが日本ヤフーの筆頭株主で、米ヤフーが続いている。ソフトバンクとしては、米ヤフーが大量の株を保有している限り、今の地位を維持して発言権を確保しなければ意味が無いと考えてきたと思う。

ここで米ヤフーが日本ヤフーの株を手放すとなれば、これを機会に孫社長なら株を買い増す可能性が高いと感じる。米ヤフーがいなくなれば、拒否権を確保できる33.4%を保有してさえいれば、それ以外はゆっくりと売却していけばいいからだ。おそらく孫社長の頭にはこのようなシナリオが描かれていると思う。

ソフトバンクは28日、取得総額119億円を上限とする自社株取得枠を設定すると発表した。KDDIが米アップルのスマートフォン(高機能携帯電話)「iPhone」を発売すると22日に報じられたのを受け株価が急落しており、株主への利益配分を増やし株価のてこ入れを図る考えだ。

今回のKDDIによるiPhone市場への参入を見ていて、もう少し値段設定を工夫するべきだったと感じた。通話領域の点でKDDIは強みを持っているので、それを生かして同じくらいの価格設定にしていたら、事態は変わっていたと思う。

またiPhone5では完全にSIMフリー化されると言われているから、おそらくNTTドコモが参入してくることになる。そうした状況を想像すると、やはりソフトバンクにとって「通話領域が狭い」というのは致命的かもしれない。

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