大前研一のニュースのポイント

世界的な経営コンサルティング 大前研一氏が日本と世界のニュースを解説します。

日本にとっては厄介な存在だったガルビン氏/本当に中国はこのまま成長するのか?

2011年11月01日 | ニュースの視点
米通信機器大手モトローラ・モビリティーとモトローラ・ソリューションズは12日、分割前のモトローラで会長兼最高経営責任者(CEO)を務めたロバート・ガルビン氏が11日、死去したと発表した。89歳だった。創業家出身で、90年に会長を退任するまでモトローラの経営をリード。モトローラを通信機器や半導体を含めた世界有数の電機大手に育てた。

ガルビン氏と言えば、日米貿易交渉でその名を轟かせた人物だ。特に日米半導体協定交渉では米国側代表の一員として大きな影響力を発揮し、日本側の代表であったソニーの盛田昭夫氏と密約を締結した。これによって日本は半導体を失うという結果につながったので、正直言って日本にとってみれば「悪役」以外の何物でもない存在だったと思う。

半導体関係だけでなく、通信関係で日米関係がこじれたときにも、常にガルビン氏の存在があった。ガルビン氏はまさに「政商」のように動き、日本への圧力をかけ続けた人物だ。日米貿易の歴史を振り返ると、忘れることができない巨大な存在であり、敢えて強調して言えば、日本は30年間に渡ってガルビン氏に振り回され続けたと言っても過言ではないと思う。それだけの巨人だった。

クリントン米国務長官は14日、インドやブラジルなどの新興国は経済を外交政策の中心に据えており、米国も見習う必要があると指摘した。

このように米国が外交政策の中心として経済を掲げるときには、「要注意」だと私は思っている。基本的に、米国の外交政策の中心は国防にある。その米国が外交政策の中心として経済を、というのはほぼ間違いなく「外国に対する圧力」をかける時だ。かつての日米貿易戦争もまさにそれであった。

英フィナンシャル・タイムズ紙が「米国が中国に覇権を譲る日」という長大な論文を発表していた。その中で発表されていた米中のGDP推移【予測】によると、今後25年~30年かけて、購買力平価ではなく実際のドルベースでも中国が米国のGDPを上回るとされている。現時点で米国が経済に注力したいと感じるのは、まさにこの発表にもあるような中国の台頭によるところが大きいと感じる。

ただし、この予測の通りにはならず、中国や米国が伸び悩む可能性も十分にある。かつて米国の未来学者ハーマン・カーン氏は、同じような図を示し、「2000年には日本が米国をGDPで上回る」「21世紀は日本の時代だ」と述べていたことがある。

ところが、現実は誰もが知っている通り、大きく異なっている。このような図を見る時にはあくまで「参考程度」とするべきだろう。米国にしても図の通りに成長できるかは分からないし、中国はさらに「コケる」可能性が高いと私は感じている。

42 コメント

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Unknown (Unknown)
2011-11-02 18:47:23
なあるほど。
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破滅 (Unknown)
2011-11-03 20:46:26
中国はこのまま成長しません。ドルも円もユーロも暴落します。

世界経済が一気に収縮します。

大前さんの仰るように数年以内に「世界金融危機」になります。

それは産業革命以来の信用収縮です。

世界を動いているマネーの総額は世界のGDPの8倍。

恐ろしいですね…。
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Unknown (Unknown)
2011-11-05 17:53:19
そんなことよりTPPについてコメントしてください。大前さん。
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Unknown (Unknown)
2011-11-07 21:38:14
当然、TPPには賛成ですよね。w
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Unknown (Unknown)
2011-11-08 07:50:20
1930年代の世界恐慌の時。

各国が景気刺激の為の金融緩和
→通貨安競争
→世界的大インフレ(資源、食料)
→貿易の保護主義の台頭
→株価の暴落
→企業の倒産
→失業率の高騰
→社会不安
→ヒトラーの登場
→第二次世界大戦突入という流れ。

70億人を超えた世界人口、新興国の経済発展、世界的インフレは間違いなく資源、食料の保護主義、自国優先主義を台頭させます。

TPPどころじゃ無いですね。
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Unknown (Unknown)
2011-11-08 10:45:44
http://www.google.co.jp/gwt/x?hl=ja&client=twitter&u=http%3A%2F%2Ft.co%2FOz2Gt92D 大前研一氏、TPPについて
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Unknown (Unknown)
2011-11-12 18:27:08
読んだ。
大前さん、TPPを単なる貿易協定だと思っているようだね。理解が足りない。
せめてISD条項についてコメントしてもらいたかった。
それと米韓FTAについてもね。

大した問題ではないなどと言い切れないだろう。
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Unknown (Unknown)
2011-11-14 00:26:20
ISD条項について、米韓FTAについて、あなたがその問題点について述べてみてはいかがでしょうか。

お考えがあるのであれば。是非。

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Unknown (Unknown)
2011-11-14 10:57:33
あなたは何も考えはないのですか、ISDについて。
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Unknown (Unknown)
2011-11-14 12:37:51

繰り返しますが、お考えを述べてみてはいかがでしょうか。

大前研一氏がTPPについてどう考えているのかという情報を探しもせず偉そうな意見を言うあなたに聞いているのです。
批判だけなら誰でも出来るわけです。

重ねて伺いますが、大前研一氏がこのコメント欄を見ているとお考えでしょうか。

ゆとり世代の方ですか?

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