大前研一のニュースのポイント

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オフィス市場とマンション市場の違い/JR博多シティ成功の要因

2012年02月28日 | ニュースの視点
オフィスビル仲介大手の三鬼商事が9日まとめた東京都心5区(千代田、中央、港、新宿、渋谷)の1月末の空室率は前月比0.22ポイント高い9.23%となり、過去最高を10カ月ぶりに更新した。一方、マンション市場調査の新東通信の調べで、東海3県の11年の新築マンション発売戸数が5年ぶりに前年を上回ったことが分かった。大型高層マンションの分譲が名古屋市内で相次いでいることが大きいということだ。

実はこの2つは不動産業界の同じ原因に端を発する現象だ東京都心5区では、オフィスの平均空室率が10%に近づきつつあり、どんどん坪単価が下落している。今後、空室率が10%を超える段階になると、さらに坪単価はガクンと落ちるだろう。

オフィスビルは供給過剰になると「相当」の下落を余儀なくされるが、マンションの場合にはある一定レベルまで下落すると一気に入居者が増えるので、その時点で下げ止まる傾向にある。会社や駅に近い優良な物件があれば、40分~1時間以上かけて通勤していた人たちが戻ってくるからだ。

なぜ今、名古屋で大型高層マンション需要が高いのか?と言うと、JR名古屋駅上という立地条件で成功したJR名古屋高島屋と同じ理由で、トヨタやデンソーなどが駅前に移転してきたことが大きく影響している。JR東海の駅集中効果が見事に発揮されている結果と言えるだろう。この効果は今後、しばらくは続いていくと私は見ている。

JR博多シティを運営する博多ターミナルビルの丸山社長は16日、専門店街「アミュプラザ博多」の初年度の売上高が計画比1割増になると明らかにした。丸山社長は「福岡の中心部には、これほど雑貨店や飲食店が集積した施設がなかったので、消費者の支持が得られたのだろう」と語ったとのことだ。

正確に言うと、これまで福岡の中心部は「博多」ではなく完全に「天神」だったが、その状況に変化が現れてきた、ということだと私は思う。今回の博多シティはオープン計画が見事だったと思う。JR九州の九州新幹線開通とタイミングを合わせたことに加え、アミュプラザ博多、博多阪急など駅の近くに魅力的なものを集積させた。その結果、今までは通勤途中の通過点に過ぎなかった博多が、そこで「時間を過ごす」街に変わってきている。

JR博多シティの貸し会議室の稼働率が9割を超えているというのを見ても、企業の部長クラスの人が「博多」に集まって会議をして、そこで買い物をしてお金を落としていく、という人の流れが容易に想像できる。

JR博多シティも博多阪急も、集積効果も手伝って、予想をはるかに上回る業績を叩き出している。まだ名古屋の高島屋ほどの圧倒的な業績ではないが、それでもやはり「駅ナカ」商売の強さを感じざるを得ない。

1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
博多 (うそ)
2012-10-31 01:28:39
少し間違ってます。

まだまだ名古屋には遠く及びません。

天神がやはり中心に動いている。

名古屋の栄は死んでいる
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