外交を全面的に任せられる人材がいない／足並みが揃わない石原氏と橋下氏、天才的な勘を働かせた小沢一郎氏

　野田首相は先月25日、テレビ朝日の番組に出演し、自民党の安倍総裁が
　提唱する大胆な金融緩和について「危ない考え方」と批判した。
　
　一方、安倍氏は「こんな認識でやっているから惨憺たる結果になった」
　と応じるとともに、衆院選政権公約に盛り込まれた国防軍設置について、
　どのような相手にどのような武器を使うかを定めた交戦規定を法的に
　整備する方針を示した。

　金利、日銀、国防軍など安倍総裁の「軽い発言」が目立っている。
　比例区は小選挙区だから2大政党のいずれかに票が偏る事が多く、
　現時点でもっと自民党が優勢でもおかしくないと思う。

　時が経つにつれ、安倍総裁の発言に辟易した人が増え、
　人気が落ちていく可能性が高いと私は見ている。

　私に言わせれば、ごちゃごちゃ言わずに
　「民主党政権の3年間は許しがたい結果だった」という点のみ強調すれば
　良いと思う。

　また何ら自民党としての反省も述べずに、国防軍などの議論を
　持ち出していますが、そもそもこの20年間の不況の原因を作ったのは
　自民党です。この点も考慮した発言をするべきだと私は思う。

　とは言え、民主党は徹底的にダメだったから、自民党に任せるしか
　選択肢が残されていないというのも事実だろう。

　ただし、安倍総裁が主導する自民党は極めて危険だ。
　他の人材で上手くバックアップしていくしかないと思う。
　
　特に、外交は危機的だ。

　誰が外交を全面的に担えるか？と問われると、
　正直、適任者は誰もいない。
　
　米国ならこの人、中国ならこの人、ロシアならこの人、という人は
　数人いますが、全面的に外交を任せるに足りる人物は見当たらない。

　この点で少し期待しているのは、麻生氏です。かつて外務大臣として
　大きな問題を起こさず、淡々と職務をこなしていた。

　また安倍氏を牽制するという意味でも、副総裁や外務大臣に
　向いているかも知れない。
　
　しかし、やはり「全面的に」任せられるという意味では力不足だと思う。

　「外交はこの人に任せておけば大丈夫」という人がいない、
　というのは自民党、民主党のいずれにとっても
　非常に大きな課題だと思う。

　　
　日本維新の会の石原代表と橋下代表代行は先月29日、
　衆院選の政権公約「骨太2013～16」を発表した。

　政府と日銀の役割分担などを明確にするために日銀法を
　改正する方針などが含まれている。

　また、石原代表は
　「既設の原発は30年代までにフェードアウト（段々となくす）」
　と盛り込まれていることについて、「公約は直させた」と主張。
　重要政策における「ちぐはぐさ」を露呈している。

　石原氏と言えば、もともと原発推進派の最右翼という人物だから、
　「フェードアウト」を認めないというのは当たり前の姿勢だと言える。
　
　橋下氏と石原氏では根本的な考え方が全く違うから、
　このような問題が出てくることは容易に想像できることだ。

　橋下氏の日本維新の会は、もともと大阪維新の会の頃から
　「地方自治」というテーマを掲げて日本を革新しようという考え方だ。

　私が提唱した「平成維新の会」と同じコンセプトだから、
　この考え方は理解できる。

　一方の太陽の党については、全く何を考えているのか私には理解できない。

　「たちあがれ日本」から衣替えしたわけでだが、
　石原氏が暴走しているだけで何ら政策の意図を感じることはできない。

　橋下氏としては、「考え方は違うが手を組むほうが今は得策」
　という政治的判断を下しているのだろうが、
　私としては橋下氏には中央政権を取りにいくのではなく、
　「大阪を変えて日本を変える」ということを実現して欲しいと強く思う。

　そんな中、天才的な勘で政局を乗り切ろうとしているのが、小沢一郎氏です。

　新党「日本未来の党」の代表に就任する滋賀県の嘉田由紀子知事は28日、
　2022年に原発稼働ゼロを目指す考えを示した。

　また未来の党に合流した、「国民の生活が第一」の小沢代表について、
　「政治家として尊敬している。地域を大事にする」と評価。
　
　同時に「小沢氏の力を日本の政策実現に、未来のために使っていきたい」
　との方針を示している。

　小沢代表が嘉田知事と手を組んでいるのは、選挙において自分の
　「ダーティなイメージ」を隠すためである。嘉田氏は「知事」だから
　選挙が終わればお役御免になる。

　すなわち、ただただ「選挙対策」のためだけに小沢氏が利用しているのだろう。

　あれだけテレビに出ている人なので顔を覚えている有権者も
　多いでだろうから、選挙の際には少し有利に働くこともあると思う。

　おそらく、嘉田知事と小沢代表はじっくりと政策について議論した
　ことはないと私は見ている。

　小沢代表が「天才的な勘」によって、今回の選挙を乗り切るための
　「戦術」として嘉田知事と手を組むことを思いついた、
　というだけのことだと思う。