大前研一のニュースのポイント

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台湾総統選の行方は?/2012年は日本にとっても重要な年

2011年10月11日 | ニュースの視点
先月22日付けの英フィナンシャル・タイムズは、「米中を揺さぶる台湾の総統選」と題する記事を掲載し、台湾という小国の総統選に中国、米国などの世界の大国が関心を持っていると紹介した。特に今回は中国が対立する候補者のどちらを支持するか決めかねているとして、選挙民は純粋に経済政策に焦点を絞った投票ができるとしている。

ここで注目したいのは、蔡英文氏が目指しているのは、独立ではなく、新たな「台湾コンセンサス」を作るという点だ。

現在の国民党と中国の間ではシンガポール会議によって、「中国は1つである」という原則が認められている。ただし、「台湾と中国のいずれの1つなのか」を不問にし、それを棚上した状態だ。これが台湾と中国両国間における現時点でのコンセンサスである。

蔡英文氏の主張としては、このコンセンサスは国民党と中国が合意しただけであって、「台湾人」が合意したものではないので、「新しい台湾コンセンサス」を作りたいというのだ。私はこの観点は非常に素晴らしいと思う。

台湾総統選の行方は、このポイントをどのように押さえるかが大きく影響するだろう。馬英九氏が、この蔡英文氏のコンセプトを受け止めるのか、あるいは反発するのか注目したいところだ。

台湾総統選だけでなく、2012年は主要国の首脳選出が相次ぐ、非常に重要な年になる。1月に台湾総統選があり、3月にはロシア、香港、4月にはフランスでも選挙がある。そして、10月には中国で選挙がある。習近平氏が総書記になれるかどうか、世論では「習近平氏でほぼ決まり」という雰囲気だが、まだ分からない状態だと私は思う。

そして年末に向けて、11月には米国大統領選があり、オバマ大統領が再選されるかどうかが注目だ。12月には韓国の大統領選もある。韓国の場合、大統領は再選がないため、必ず新しい大統領が誕生する。次の大統領が誰であれ、現イ・ミョンバク大統領ほどビジネスに通じている人は珍しいので、その点では少し心配してしまう。

来年は日本を取り巻く列強の状況が大きく変わる1年になる可能性がある。非常に重要な年であり、日本としても注目していく必要があるだろう。

1 コメント

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Unknown (Unknown)
2011-10-11 21:02:19
自民党は、馬英九氏を応援しています。
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