まるぞう備忘録

無題のドキュメント

新卒候補生の君たちへ。その3。

2016-10-12 09:42:54 | まるぞう経営学

 私の友人のA君の続きです。
 外資系の企業を退職した会社は、次にITベンチャーに就職しました。彼も技術者でありましたから、段取りの良い真面目な仕事は、そのITベンチャーの経営者にとても重宝された様です。


 そしてそのITベンチャーは急成長するのですが、好事魔多し。あることがきっかけで会社が倒産してしまいました。しかしその企業はとても多くの顧客を抱えていたため、ビジネス自体は他の堅実な大企業に移管されました。しかし元々いた企業の幹部は全員リストラされてしまいました。もちろんA君もです。


 A君は次に、地元の住宅会社に就職しました。首都圏西部にある、従業員100名ほどの堅実な企業です。
 それまで彼は技術職でありましたが、この会社では180度、毛色が変わって総務課の責任者の職でありました。職種としては全く経験のない事ばかりでありましたが「最悪を想定して段取りを準備する」という彼の仕事の姿勢は、従来の設備設置という技術職だけでなく、全く毛色の異なる総務課課長でも役に立ったのでした。
 総務課長といっても結局専門的な事は、社労士さんや司法書士さんに依頼しなければなりません。総務課長に求められるのは、やはり最悪をいつも想定して、段取り準備を万全にしておく「スキル」であったのでした。


 彼はその会社の社長にとても気に入られているようです。私も経営者ならそう思うと思います。もしうちの会社がA君みたいな人材が入ってくれたら、随分助かると思いますから。
 どんな職種であっても「最悪を想定して、段取り準備する」能力の人は、年齢に関わらずどこでも重宝されることでしょう。


 A君の今いる会社は小さな会社でありますから、定年制度はあってないようなものだそうです。社長はA君に、65歳を越えても、ずっとここで働いてくれ。と言っているそうです。でしょうね。
 海外駐在や外資系、そして急成長のIT企業を経験し、彼は今は地味な地元の住宅会社の総務課長です。暮らしぶりも良いようで、定年に関係なく、そのままずっと働けるのであるのなら、彼は本当に幸せであると思います。


 私達の年代で、大企業に入ったものの、まさかの役職定年で「あなたの仕事は必要とされていません」と30年を過ごした会社から通告を受けている、同年代のお父さんたちから比べると、A君は本当に幸せであると思います。
 人生はまさに陰と陽が繰り返されます。良いことのウラには悪いことの因子が隠され、辛いことのウラには幸せな因子が隠されています。(幸という字には辛の文字が隠され、辛という字は幸の字の因子を持ちます。とはうまく出来ていますね。)
 波乱万丈ながらも結果的に彼が幸せな人生を歩くことができたことの理由の一つが、実は「最初に入ったのが大企業ではない」ということなのです。彼はずっとこのことにコンプレックスを持っていました。しかし彼が大企業に入らなかったことが晩年の彼の幸せの大きな要素でした。これについては、また次回以降お話します。



 さてこれから社会に出るあなたたちにお伝えしたいのは、自分の人生設計を考えるにあたって
「70歳80歳まで現役で働けること」
をいつも視野に入れて欲しいということです。
 70歳80歳まで、「健康でいられるということ」「社会から必要とされるということ」そして「自分の生活費は自分で稼げること」を念頭において頂きたいのです。


 もちろん大企業に入社しても、社会制度として定年制度が延長になったとしても、70歳80歳まで、その会社が自分を重宝してくれるという保証はありません。ですから、必要なのは、どんな境遇に自分が置かれても、社会が自分を必要としてくれるように、自分自身のスキルを高めて置くことです。そのスキルとは「最悪を想定して段取り準備ができること」「相手の立場を想定することができること」この2点であると思います。


 A君の人生の成功は、日本におけるこれからの少子高齢化を生きる私達にいろいろなヒントを教えてくれます。



つづく。



 ありがとうございます。





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20 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
出版して頂きたい♪ (Unknown)
2016-10-12 11:46:23
まるぞうさんに『定年を超えても必要とされる人材になる方法☆50(笑)』みたいな感じで、本を出して頂きたいですね。就職前の若い人から現役サラリーマンの方まで、広く知ってもらうべき深い見識ですから。
私も子育て中ですが、今からでもこれらの教訓を頭に入れて頑張りたいと思います。まずは、日常生活から~。
質問デス (Unknown)
2016-10-12 12:13:23
A君は幸せな結婚ができたんでしょうか? 転職の敵は嫁だということも、よく言われますが…。次回を楽しみにしております。
質問デスさんへ。 (まる(=・3・=)ぞう)
2016-10-12 12:24:35
はい。A君は立派な伴侶を得て、そしてかわいいお嬢さんのパパであります。結婚後彼が転職せざるを得なかったのは、会社が倒産してしまったからです。しかしこの年令でも良い就職先が見つかったのは、今の経営者が彼のスキルを見ぬいたからであろうと思います。
Aさんよかった! (Unknown)
2016-10-12 12:41:25
新卒ではないけれど、仕事を辞めて体調を調えて就活に臨もうとする自分には最高のアドバイスと最高のお手本です。Aさんのように地に足のついた方が長い目でみると人生を成功するですね。必要とされる人材であるなんて社会人の誉れです。最悪想定という、誰でも目をつぶりたい事を冷静に見つめ、スキルを高め、いつも備えてきたんですね。本当にすごい。勇気もあると思います。こういう話を学生の時に聞いておきたかったなあ。学生時代より社会に出てからの方がずーっと長いんだし。聞く耳を持っていなかったらだめかな。
未来に残る仕事 質問です (uknown)
2016-10-12 12:41:27
すみません質問です。息子が3dクリエイターになるために来年専門学校に通う準備をしています。しかし、この仕事で飯が食えるのか心配しています。最悪想定をしておくべきでしょうか?
未来に残る仕事さんへ。 (まる(=・3・=)ぞう)
2016-10-12 13:06:38
クリエイターであっても、「最悪を想定できる段取り準備のスキル」「他人の立場をおもんぱかる想像力」の二つが大切であると思います。ほとんどの人がチームワークとなりますから。

そしてクリエイターを目指すなかのほん1%の人は、自分の創造の衝動で創りださざるを得ない人は確かにおります。しかしそういう人は、もう独学で勝手に創り出してしまうので、私などのアドバイスなどは関係ないことでしょう。

この1%の人たちは、有名になりたいわけでもないです。未来に作品を残したいわけでもないです。お金を儲けたいわけでもないです。一生貧乏でもとにかく創りださざるを得ない強い強いパッションを持っている人です。

しかしそういう人は例外中の例外でありますから、99%は、クリエイターと言えども、やはり段取り力と想定力が一番大切であろうと思います。

人生を生きる上で一番大切なのは、「クリエイターとして名を残す」ことではなく、自分が自分に課した魂の宿題を思い出してそれをやり遂げることです。そしてほとんどの場合、その魂の宿題とは「地味な人生」でのみ達成させられることであります。派手な仕事に惹きつけられると、宿題という観点では遠回りすることの方が多いかもしれません。
質問です (Unknown)
2016-10-12 14:07:15
昨日もコメさせていただきました。美容部員です。

段取り力、最低を仮定する力はどうしたら鍛えれますかね?

いくつになっても現役で働きたいものです
美容部員さんへ。 (まる(=・3・=)ぞう)
2016-10-12 14:39:06
段取り力や相手の立場の想定力の鍛え方は、次回(おそらく明日?)考察してみたいと思います。よろしくお願いいたします。
ありがとうございます (未来に残る仕事)
2016-10-12 16:35:58
今日の返答をしっかりと息子に読ませます。ありがとうございます。明日の記事も楽しみに待ってます。
Unknown (Unknown)
2016-10-12 17:11:49
まるぞうさん、今日のコメント欄の返信もう~ん(良い意味でしびれている)すごいにゃです。なるほどでございます。

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