ちかさんの元気日記

辛いことを乗り越えて元気に生きている私“ちかさん”の
涙と怒りと笑いの介護記録。

サチさん、行方不明になるの巻

2014-12-22 01:56:35 | 日記
サチさん(仮称)はケラケラ、ケラケラと
笑ってばかりいる。

ひどい認知症で発語にも障害のある
けれどもとびきりチャーミングな70代。
言葉によるコミュニケーションはとれないが
何を言っても楽しそうに笑うので
ときには涙を流して大笑いするので
誰もがサチさんといると
日常のウサを忘れて幸せ気分になれるのである。

そんなサチさんが、きのう、行方をくらました。
ウチの場合、施設や病院ではないから
誰でも外出は自由だ。
しかし自分の名前もいえない彼女を放っておくことはできない。

同僚と二人で館内を駆けずり回り
30分かけて付近を探し回ったが
その行方は、杳として知れず…

あ、こんなときにはアレだ。
そう思って防犯カメラを巻き戻してきると
彼女の姿は映っていた。
エントランスから出ようとして戻り
また出ようとして、踏みとどまり
そして最後に映ったのは、館内に戻る姿だった。

と、いうことは
この中にいる~~~!

マネージャーの許可をもらって一軒、一軒
居室を訪ねることにした。

すると、なんと2軒目でサチさんを発見。
そこは先週入居したばかりのKさん宅。
家族から捨てられたと思い込み
毎日眠れないほど嘆き悲しんでいるウツ状態のKさんのお宅に
サチさんは迷い込んでいたのである。

「いま、この方が遊びに来てくれて
私の話を聞いてもらってたの。
お引止めしちゃって申し訳なかったけど
お陰で少し心が軽くなったわ」と、Kさん。

何もわからなくても
おう、おう。うん、うん。と絶妙な相槌を打つサチさんに
Kさんはそうとは知らず
思いっきり不幸な身の上話をしていたらしい。

捜索に疲労困憊したけれど
サチさん
あなたは万人の心を癒す国宝級の介護士です。