きのうの夜勤はというと…
妄想壁のあるミヨの部屋の前まで行ったら
車椅子で玄関のそばまで来たらしい彼女の激しい声がする。
「そこにいるのは誰だ! 名前を言ってみろ。
ああ、そう、言葉がわからないんだな。
ということはオマエは日本人じゃないんだろう。
なんて図々しいヤツだ、さあ、出て来い!!!」
ああ、今夜は荒れてるな。近づくのはやめておこう。
午後11時半。
本来なら排泄介助の時間だが、私はスルーすることにした。
それから30分。
そろそろ落ち着いたころかしらと、再びミヨの部屋へ。
ドアを開けると、テレビの前の定位置で
彼女はいつものように上品で穏やかな笑みを浮かべながら私を迎えてくれた。
しかし、「お邪魔します」と入ろうとしたら
玄関が水浸しである。
実は先日も同僚が部屋に入ろうとしたら
スイッチの入ったミヨがいきなり桶の水を浴びせかけてきたという。
おそらくそれと同じ、ミヨの水攻撃。
どうやら彼女は、深夜に見えない敵と闘っているらしい。
危ない、危ない。
闘いのさなかに入室していたら
私もバシャ~ッと水を浴びているところだった。
気を取り直して、深夜2時半。
事務所でパソコンに向かっていると
トントンとドアをノックする音が。
こ、こんな時間にナニ!?
恐る恐る開けてみると
立っていたのは先週入居したばかりの女性、
80代で認知症の進んだKさんである。
「私、なんでここへ連れてこられたのかわからないの。
家族にその理由を聞きたくても、誰も電話に出てくれないの。
私、捨てられちゃったみたい。
もう悲しくて寂しくて、発狂しそう。
心臓がドキドキして眠れないの。お願い、話を聞いて」
もちろんきちんとした説明・同意のもとに入居されており
家族にだまされて“投獄”されたわけではない。
しかし何度説明しても、そのたびに納得されても
10分後には“見捨てられた”と泣くのである。
ああ、仕事が、仕事が~!!!
しかし忙しいというこちらの状況を理解してもらえるはずもなく
傾聴すること30分。
不安な心をなんとかしてさしあげたいが
こっちは18時間ほとんど休むことのできない夜勤。
勘弁してくれ~と、泣きたくなる。
そして夜勤明け。
泥のように重い体を引きずって、朝食のお世話である。
事務所と食堂とそれぞれのお部屋をめぐって走り回っていると
あっちゃ~、つかまっちゃった!
かわいそうな私をつかまえたのは
物取られ妄想のA子さんだ。
「あ、あなた、ちょっといいかしら?」
この台詞で始まる彼女の妄想劇場。
はあい、今日は何を盗まれましたか?
「今日は1500万円盗られました。
犯人はあの頭の薄い方(おそらくウチの男性職員)です。
もう、今日という今日は警察に訴えます」
そうですか、そうですか。
あらまあ、それは大変なことになりましたね。
いい加減としか言いようのない返事をしつつ
そろりそろりと後退。
次は、うつ状態で引きこもっているIさんを
近所の美容院までお連れしなければならない。
・・・・・・
ああ、ここは精神病棟か。
妄想壁のあるミヨの部屋の前まで行ったら
車椅子で玄関のそばまで来たらしい彼女の激しい声がする。
「そこにいるのは誰だ! 名前を言ってみろ。
ああ、そう、言葉がわからないんだな。
ということはオマエは日本人じゃないんだろう。
なんて図々しいヤツだ、さあ、出て来い!!!」
ああ、今夜は荒れてるな。近づくのはやめておこう。
午後11時半。
本来なら排泄介助の時間だが、私はスルーすることにした。
それから30分。
そろそろ落ち着いたころかしらと、再びミヨの部屋へ。
ドアを開けると、テレビの前の定位置で
彼女はいつものように上品で穏やかな笑みを浮かべながら私を迎えてくれた。
しかし、「お邪魔します」と入ろうとしたら
玄関が水浸しである。
実は先日も同僚が部屋に入ろうとしたら
スイッチの入ったミヨがいきなり桶の水を浴びせかけてきたという。
おそらくそれと同じ、ミヨの水攻撃。
どうやら彼女は、深夜に見えない敵と闘っているらしい。
危ない、危ない。
闘いのさなかに入室していたら
私もバシャ~ッと水を浴びているところだった。
気を取り直して、深夜2時半。
事務所でパソコンに向かっていると
トントンとドアをノックする音が。
こ、こんな時間にナニ!?
恐る恐る開けてみると
立っていたのは先週入居したばかりの女性、
80代で認知症の進んだKさんである。
「私、なんでここへ連れてこられたのかわからないの。
家族にその理由を聞きたくても、誰も電話に出てくれないの。
私、捨てられちゃったみたい。
もう悲しくて寂しくて、発狂しそう。
心臓がドキドキして眠れないの。お願い、話を聞いて」
もちろんきちんとした説明・同意のもとに入居されており
家族にだまされて“投獄”されたわけではない。
しかし何度説明しても、そのたびに納得されても
10分後には“見捨てられた”と泣くのである。
ああ、仕事が、仕事が~!!!
しかし忙しいというこちらの状況を理解してもらえるはずもなく
傾聴すること30分。
不安な心をなんとかしてさしあげたいが
こっちは18時間ほとんど休むことのできない夜勤。
勘弁してくれ~と、泣きたくなる。
そして夜勤明け。
泥のように重い体を引きずって、朝食のお世話である。
事務所と食堂とそれぞれのお部屋をめぐって走り回っていると
あっちゃ~、つかまっちゃった!
かわいそうな私をつかまえたのは
物取られ妄想のA子さんだ。
「あ、あなた、ちょっといいかしら?」
この台詞で始まる彼女の妄想劇場。
はあい、今日は何を盗まれましたか?
「今日は1500万円盗られました。
犯人はあの頭の薄い方(おそらくウチの男性職員)です。
もう、今日という今日は警察に訴えます」
そうですか、そうですか。
あらまあ、それは大変なことになりましたね。
いい加減としか言いようのない返事をしつつ
そろりそろりと後退。
次は、うつ状態で引きこもっているIさんを
近所の美容院までお連れしなければならない。
・・・・・・
ああ、ここは精神病棟か。