ちかさんの元気日記

辛いことを乗り越えて元気に生きている私“ちかさん”の
涙と怒りと笑いの介護記録。

我が母につける薬はない。

2014-12-25 18:52:33 | 日記
ああ、母よ、母よ、かわいい母よ。
そんなに頼りなくて
よくもまあ、80年間生きてこられたものだ。

もともと外出を好まない専業主婦一筋の母は
一年前に父が他界してから
ますます“ひきこもり”になった。

ひざが痛くて歩けないのかと聞けば
それは注射で治まっているとのこと。
しかし
一人で外を歩いていて何かあったらどうしよう!
倒れて救急車で運ばれることになったら大変!
そんな不安から、外出を避けているのだと言う。

心臓に爆弾を抱えているわけではない。
何らかの発作を起こす持病があるわけでもない。
つまり、究極の心配性なのである。

そんな母も、デイサービスと病院に通うべく
週に2回は外出せざるを得ない。

そのときのスタイルを見て驚いた。
家の権利書、年金手帳、生命保険証券、貯金通帳、印鑑の束
そして緊急連絡先を書いたノート…
これらをすべてリュックに詰めて、背負っていくのだ。

「だって、もし家が火事にでもなったら大変でしょう?」

心配性もここまでいけば、病気である。

だがその一方で…
役所から支給された緊急通報ベルがある。
いつどこで倒れても事故にあっても
それを押せば速やかに対応してもらえるという老人お助けグッズだ。
それが
きれいなビーズのポーチに入って
リビングのフックに壁飾りのごとく吊り下げられている。

おい、おい、これこそ外出時に持っていったり
寝るとき枕元においておくものでしょーが!?

「こら!!!」と、初めて母を叱る。

でも、でもね…と、やや怯みながらも母は言った。
「このボタンを押すような事態を想像するのが怖いの。
これを持って出かけると
本当に転んだり倒れたりしちゃいそうで怖いの」

なんのこっちゃ!?

ああ、母よ、母。頼りなくかわいい我が母よ。
アナタにつける薬はない。









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