ちかさんの元気日記

辛いことを乗り越えて元気に生きている私“ちかさん”の
涙と怒りと笑いの介護記録。

ボケてもマダム

2019-08-22 22:30:26 | 日記
フミコはもともと、えーとこの奥様だったんだろう。

そういえば5年前に入居してきたとき
フミコは美人で気品のある老婦人との呼び声が高く
口を開けば
田園調布に家を持っていたとか
二人の息子は慶應と立教を卒業したとか
そんな自慢話ばかりしていたっけ。

それが認知症が進み
今ではパジャマのまま食堂に来たり
たっぷりの便失禁をしていても気づかずに歩いていたり
“えーとこの奥様”の影もない。

しかし以前も書いたが
気位というヤツだけは老いても消え去らないらしく…。

食堂で座っていたフミコから強烈な便臭が漂うので
トイレに連れて行った。
案の定、すごい量の軟便だ。
ズボンを脱がせ、リハパンを便ごと捨て
仕上げに彼女のお尻をキレイにする。

やっとキレイになった。さあ。新しいリハパンを履かせよう。
ふうっ!と額の汗をぬぐったその瞬間
うわっ、またしてもお尻の割れ目から
やわらかく茶色いものがニョロ~~!
フミコは立ったままだから
それはボトボトっと床に落ち
今度はそこもキレイにしなくてはならなくなった。

フミコよ、今しばらく肛門に蓋をしてくれ!
じゃないと私の涙腺が崩壊しそうだ。

さて、この一連の仕事の最中
当のフミコはどうしていたか。

下半身の衣を剥ぎ取られ
立ったままお尻をゴシゴシ、ゴシゴシ拭かれながらも
彼女は悠然と微笑みながら言い続けたのである。
「大変なお仕事ですわねえ」と。

腐っても鯛、ならぬ、ボケてもマダム。
認知症が進んでもなお
フミコは優雅な世界で生きているらしい。

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