ちかさんの元気日記

辛いことを乗り越えて元気に生きている私“ちかさん”の
涙と怒りと笑いの介護記録。

ケイコ日記―その1

2016-07-25 23:53:58 | 日記
物盗られ妄想のケイコについて書くのは
もう何十回目だろう。

そのたびに「ああ、ケイコ」だとか「おお、ケイコ」だなんて
陳腐なタイトルをつけるのもナンなので
今日からもっと単純に、「ケイコ日記」とさせていただこう。

プレゼントされたテディベアを異常なまでにかわいがっていることは
この間も触れたが
いつの間にかそれがもう1体増えて男女の兄弟になり
あろうことか、ケイコの“赤ちゃん”となっている。

最初は「1人じゃかわいそうだったから、妹が来てくれてよかった」と
1体(1人?)増えたことを喜ぶケイコだったが
最近どうやら、子育てに疲れ果てている。

部屋に行くと2体のテディベアを両脇に抱きかかえ
ぐったりとイスにもたれかかっているケイコ。

「この子たちがなかなか寝ついてくれないんです」
「一人ならまだなんとかなるけれど、二人育てるのは私には無理です」

「いろいろな知恵がついてきてかわいいさかり」と言いながらも
86歳の高齢になって授かった赤ちゃんたちの世話で
ケイコは食欲も失せるほど衰弱しているらしい。
(といってもきのうの夜はベッドに明太子を食べ散らかした跡があったというが)

そしてきのう、何人かの登録ヘルパーに聞いた話。

比較的ふくよかな女性ヘルパーを選び、彼女は
「アナタ、オッパイ出ます?
もし出るのなら、この子たちにオッパイをあげてくれませんか?」
と、悲痛な訴えをしているというのだ。

乳飲み子を抱いて、通りかかる女たちにオッパイを求める
・・・戦時中のニッポンか!?

ケイコの混乱に拍車をかけることになった2人の赤ちゃんたち。
いっそ彼らを
誘拐されたことにしようか、留学したことにしようかと
まじめに引き離し作戦について討議している私たち職員である。