ちかさんの元気日記

辛いことを乗り越えて元気に生きている私“ちかさん”の
涙と怒りと笑いの介護記録。

ホーム

2016-07-23 23:45:09 | 日記
遅番出勤の午前11時。
オートロック・キーを操作して、エントランスの扉を開ける。
と、そこに3人のオバアチャマたちがいた。
オシャベリするわけでもなく
退屈な時間をただただ共有するために
いつもソファに座っている方々だ。

おはようございます。私がそう声をかけるより早く
そのうちのキョウコさんが言った。

「あ、ウチのオネエチャンが帰ってきた」

すると他の二人も
「ホントだ、オネエチャンだ」

「おはようございます」を飲み込んで
私は応えた。
「ただいま~」

3人は声をそろえて
「おかえり~」「おかえり~」「おかえり~」

あはっ、ここは私の家なのかいな。
こそばゆく、ありがたい。

実はこの5月、育ての母が引っ越しをした。
3年前に父が死んでから独り暮らしをしてきたが
もうこんな寂しい暮らしはイヤ!と
何の未練もなく家を売り飛ばして
地方に住む妹(彼女にとっては唯一の実の娘)のところに
行ってしまったのだ。

まあ、それで母が幸せに暮らせるならと
何食わぬ顔で見送ったが
あとになって、じわりじわりと
“実家”がないことが寂しく思えてきた。

いずれは誰もがそうなるわけだが
ああ、もう帰る実家はないんだなあ…と。

そんな心境だったこともあって
お世話しているオバアチャマたちからの今日の出迎えは
なんだかくすぐったいくらい嬉しかったのだ。

ただいま~!
そう言って出勤できる職場。
ときには爆弾を落としたくなる戦場でもあるが
それでもやっぱり、私にとっては大切はホームなのである。