入笠牧場その日その時

入笠牧場の花.星.動物

     ’21年「冬」(37)

2021年12月17日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


 夜の散歩のことだが、寒さ対策としては少し早すぎるのを承知で羽毛服を着て家を出る。ずんぐりむっくりが、ほぼ同じ時間に歩いている。仕事を終えて似たころに帰宅を急ぐ人もいるだろう。車が近付くと、灯りを点け、通り過ぎるとまた灯りは消える。あまり車の通らない山付きの道路を、この冬もおかしな奴を見掛けるようになったと思っているかも知れない。
 
 最近の2年は生活の中心が山に移ったが、15年も入笠に通っていれば、通りすがりにやはり目に付く人や印象に残る人を見掛けることにもなる。
 その中には何年も大きな靴を履いた中年の男がいた。殆ど周囲には目もくれず、ひたすら前を見ながら歩く姿は悲壮感さえ漂っていたものだ。特に夏は短パンでランニングぐっしょりと汗をかき、かなり早い速度でつんのめるように歩いていた。
 もう一人は20代とおぼしき女性だった。この人は歩くのではなく走っていた。しかしその走る姿からは、陸上選手のような滑らかな動きではなく、左の肩だったかが傾(かし)いだ、あまり美しいとは言えない走り方だった。それに速度も速くはなかった。
 これは勝手な想像だが、この二人は何かの病気を抱えていて、そのために必死になって何年もあのような運動を自らに課していたのではなかったか。ここ何年か二人の姿を見掛けないが、病に打ち勝ち元気になれただろうかと、姿を消した二人の姿を通い慣れた通勤路に思い浮かべることがある。
 
 これも男と女だが、二人とも若く元気で、自転車に乗って通学する高校生たちだった。男子学生は小豆坂トンネルを下る急な坂でよく出会った。目元のすっきりした涼しい顔をしていて、当然ながらいつもこっちのことなど意に介さずに走り下っていった。
 もう一人の女子高校生の方は、雨の日に杖突街道を傘もささずに自転車を走らせている姿が印象に残り、それからよく目にするようになった。そういえば大概はスカートだったが、運動ズボンの時もあって、いつの場合も力一杯元気に自転車を漕いでいた。
 もう、この二人の姿も目にしない。同じ高校だったかは分からないが、卒業して社会に出たのか、あるいは進学したのかいずこの空の下にいるのやら、都会に出たならたまにはふる里を思い出すこともあるだろう。

 で、いつか誰かが同乗者に「以前は冬になると10時近くにずんぐりむっくりの年のいったオヤジがこの辺りを歩いていたけれど」なんて話をすることがあるだろうか。「いや、ライトに照らされたあの顔はかなりのオジイだったから、もう・・・」なんて、クク。
 かんとさんPHありがとう。折を見て星の話題の時に使わせてもらいます。赤羽さんも興味のある話題です。そのうち、呟きます。本日はこの辺で。

 
 
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     ’21年「冬」(36)

2021年12月16日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など

                      Photo by Ume氏

  独り言を始めようとして、上に行ったのが昨日だったのか一昨日だったのか、しばらく記憶が混乱した。昨日よりかもっと前のような気がして、記憶が定まるまでに時間が要った。理由は分からないが、運転しにくい雪道を走ったことも、殺風景とも言える小屋の周囲の風景も、貴婦人の丘を見下ろす吹き晒しの丘に立ったことも、本当に昨日のことだったのかと、まだ引っかかる。
 むしろ一昨日、誘われて久しぶりに街で酒を飲んだ記憶の方が、新しい出来事のようにさえ感じるくらいで、なぜ昨日の入笠行は一昨日よりか古い記憶の位置に座ろうとするのだろうか。
 目の調子が原因で、こんなおかしなことが起きたかと少しだけ疑っている。一応、運転免許証に「眼鏡使用」の条件は前回の更新時に消えたが、本を読むには絶対眼鏡を離せない。朝風呂を浴びている時にも軽い本を読んでいたが、眼鏡が曇って苦労したからそのせいかも知れない。視力と記憶、というよりか視力が脳の混乱を招いた、ということならありえるだろう。
 視力はそんな状態でも、最近も「眠り病」と言いたくなるくらいよく眠る。「嗜眠癖」とも勝手に呼んでいて、睡眠は幾つかの快楽の中でも飲酒、散歩、入浴と並ぶ一つである。昨夜も8時間半、一昨夜は多分9時間以上眠った。夜中に起きることもないではないが、昨夜はそれだけの時間ずっと眠り通した。しかも、疲れたのか昨晩は睡くなるのが早くて、散歩を断念したほどだった。

 小黒川林道へ通ずる小屋の近くの雪道に昨日、人の足跡があった。高座岩ということもあるが、テイ沢へ行った人だったかも知れない。その足跡を見ながら来年は、テイ沢の痛んだ丸太橋を早い機会に新しくしようと改めて思った。それも、できたら伊那市在住の若い人(でなくてもいいが)を中心に協力者を募ってやりたいと考えている。女性でも皮を剥くことはできるし、他にもできることがあるから男女は問わない。さらにゆくゆくは管理もその人たちに頼めるなら是非そうしたい。
 そうすれば、「オレたちが架けた橋だ、ワタシたちが直した丸太橋だ」と、地元の人たちがテイ沢だけに限らず、法華道や高座岩にも愛着を持ってもらえるようになるだろう。将来は半対峠や鹿嶺高原にまでより視野を広げてもらい、入笠の自然を守っていってほしいと願っているのだが、サテどうなるか。
 本日はこの辺で。
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     ’21年「冬」(35)

2021年12月15日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


 明日から天気が崩れるということで、きょう上にいってきた。この写真が、オオダオ(芝平峠)から芝平へ下る山道の現状。通行止めの馬はこの他に、芝平の集落を通って来た場合、第2堰堤を超えた所にも置かれていた。通るか否かは難しい判断になるが、それから先は少なくも行政の支援は受けられないものと覚悟すべきだ。
 峠手前の崩落した土砂は片付けられていたが、やはり上から無理して下ろうとした車が泥にはまり動けなくなったと、ちょうど崩落状況を見に来ていた顔見知りの行政関係者T氏が教えてくれた。茅野方面から山道を来ての災難だろうが、夜道を歩いて下るしかなかったはずで、がさぞかし心細い思いをしたに違いない。
 峠から上は完全に通行止めにすることもできるはずだが、それでも雪で閉ざされてしまうまでは林業関係者や鉄砲撃ちの人たちが入るから、悩ましくも行政としてはあの程度の通行止めにしておくしかないのだと分かる。
 前回と同様、峠から1キロほど先からは雪道となって、車の轍もかなり増えていた。その中には運転が乱暴なだけでなく下手糞な輩もいたようで、結構荒れている所もあった。やはり雪道に不慣れな人たちは通行を控えるべきだと言うしかない。
 ついでにもう一言すれば、千代田湖から枯木の頭へ行く道はこれからは避けた方が賢明だ。あそこも湖を過ぎた先の所で通行止めになっているが、無理して行けば凍結した舗装路が待っていたり、路面に雪が残っていたりして危険この上ない。ブレーキもハンドルも効かず、「頭」から半分以上を後ろ向きになって下るというヒドイ目に遭ったことがある。

 上は変わりなかった。小屋に近付いた人も車もなく、取水場の水は力強い勢いで流れ出ていた。今度上に行くのは年末になるかも知れないが、年越しは誰も来なければ孤独(ひとり)すき焼きでもする。元旦は雑煮、二日は山形村の山芋を使ったとろろ汁、となれば出汁は下で用意し、料理は重箱となるのか。貰い物だが冷凍したマツタケやウナギもあるし、越年を上で一人でしたことは何度もある。里にいてもどうせ一人だから、ならば上の方がいい。
 え、誘っているのかって、そんなことはないでござる。人は気が変わるのでござるから、期待して来たら何もなかったりして、クク。
 本日はこの辺で。
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     ’21年「冬」(34)

2021年12月14日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など



                   
 昨夜の呟きだが、なぜあんな思い違いをしたのだろうか、ふたご座が北西に見えるなどと。明らかに今の時季、夜の9時から10時ごろなら東の間違いだ。オリオン座や冬のダイヤモンドをいつも確認しながら歩いていたはずなのに、自分でも理由がさっぱり分からない。
 ところが、今こうして呟いていても、昨夜ずっと眺めた東の空のふたご座よりか、なぜか中天から少し北西の空に輝くふたご座が自分の居場所はここだと主張してくる。時間、季節とともに星の見える位置は変わるし、もしかすれば厳冬期に上で、ぎょしゃ座とふたご座の区別に苛立った時の記憶が、まだそのまま強く残っていてあんな間違いをしたのかも分からない。
 とにかく昨夜は、その間違いを気にしながら歩き、罰が当たったのか流星は1個として見ることができなかった。ただしそれでも、1時間半の冬の散歩はやはり良かった。

 きょうの写真は2枚ともかんとさんの撮影で、多分以前に紹介したと思う。1枚目は冬の大三角は見えていても、ふたご座は残念ながら写ってはいない。この写真と一緒にプレアデス星団も見つかったので、再録した。
 実は、このPCの中に昨年の12月14日にかんとさんが写したふたご座流星群の写真がないわけではないのだが、



 オリオン座以外の星座はこのあたりだろうと思って見るしかない。ただ、極寒に耐えてこの写真を撮った星の狩人の思いが、嫌でも伝わってくる。
 本日はこの辺で。



 

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     ’21年「冬」(33)

2021年12月13日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など

                                    Photo by Ume氏

 この写真は今月2日に撮影されたもの。それから8日から9日にかけて降雪があったから、雪の量はもっと増えた。9日に上に行った時は峠の崩落現場には重機が入っていたが、芝平から峠までの通行はできるようになったろうか。そうなると有難い。峠から牧場の管理棟までは8キロと少々、HALと一緒に何度か歩いている。林道なら法華道と比べ傾斜が緩く、スノーシューズよりか山スキーで行きたい。
 富士見側のゴンドラも、そろそろ営業を再開するだろうと思って問い合わせたら、先週の土曜日、11日から始まったとのこと、これで山はスキーや登山の人でまた賑やかになるだろう。

 ふたご座流星群出現のピークが今夜からになる。まだ上弦の月が残るため、月が沈んだ14日未明の方が観測には向いているようだが、それでも1時間に20個や30個くらいは観測できると国立天文台は言っている。問題は天候だが、どうやら今夜はかなり良さそうだ。
 未明とはいかないが今夜も散歩に出れば、そのころにはふたご座は中天よりやや低い東の空に見えている。散歩の前半は北に向かって広い開田や、伊那谷の一帯を見下ろす高台を歩くから、まず期待できる。
 大体夜の9時に家を出るようにしている。夕方の5時ごろから、夕飯前に普通なら日本酒の熱燗1本と、ビール500ccを1本飲むため、そのころになればアルコールの影響は感じないで約7キロ1万歩を歩くことができる。誰か相手がいればもっと飲むが、最近の実態は一人ならこんなもの。
 散歩などしない方がもとより楽だ。夜、わざわざ、充分かは別にして(笑)暖房のある部屋から抜け出し、暗い山道を登り、広い開田では時に寒風に晒される。大人しくしていた方が身のためかもしれない。にも拘らず、いい年をして歩く。何故か。
 身も蓋もないことを敢えて言えば、暇なのである。することがないのだ。アルコールが入ると、濁った頭に加えて、視力にも影響するのか文字を読むのがかなり疲れる。上にいた時はだから起きているのが面倒くさくなって8時ごろには寝てしまったが、それだと朝が早い。今は寒いから、あまり早起きはしたくない。夜中に起き出すのを控えるのも同じ理由である。
 以上だが、ではなぜこんなことが続くかというと、それはやはり感動があるからだ。広い大きな夜空、冬の星々、静まり返った林、瀬澤川から聞こえてくる冷え切った水の音、そして圧巻とも言うべき眼下に見える天竜川を中心に散らばる夥しいまでの光の帯、そして終えた後の満足感、これだけあればもう充分過ぎる。
 本日はこの辺で。
 

 





 
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