Photo by Ume氏
「オマエ、まだアラスカくんだりを彷徨(さまよ)っているのか。まあ、座れ。ちょうど一人で、一杯やろうとしていたところだ」
「大先輩、お久しぶりなことで。イヤ、それでござる」
「どうもオマエの言ってるアラスカは、あのアラスカなのか、それとも入笠の森のことなのか分からない時がある。まあ、飲め」
「ああっ、トト。某(それがし)も混乱気味なのでござる。本日は大先輩をお慰めしながら、イッカクの話でもしようかとお邪魔したのでざる」
「慰めって何だ」
「イヤ、ついに奥方が実家に帰ってしまわれたとか、ちょっと小耳にはさんだのでござる」
「フムー、耳の早い男だな。まあそれはさて置き、イッカクというのは、北極海に生息している頭の先に長い角を生やしたイルカのような生き物のことか」
「いかにも大先輩、ただしあれは角ではなく、歯、牙でござる。一応は、大先輩の好物のクジラの仲間らしいですぞ」
「そうか、あれは角ではなかったのか。それがどうした。面倒だから、手酌でいこうか」
「恐れ入りまする。それでイッカクでござるが、あれはは元来動きの活発な動物、あっ、哺乳類で、あれはシャチや北極クマの捕食となるため、近寄ると素早く逃げるのだそうでござる」
「いいじゃないか、オレはシャチは嫌いだ」
「ところが最近のある調査では、危険を回避するための俊敏な行動が、イッカクにとっては大変な負担になるということが分かってきたのでござる。普通、激しい動きをすれば、心臓の動きもそれに連動し、当然、心拍数も上がるはず。ところがでござる、イッカクの場合は、逆に落ちてしまうらしく、そうなると血流も低下し、ええ、脳にも悪くすれば回復不能の影響を与えてしまう心配があるというのでござる」
「なるほどな」
「ところがここへ来てイッカクには、新たな強敵が加わったのでござる。北極海の資源を虎視眈々ねらう、人間という。彼らは大型船舶や海洋開発の機械をどんどんあの海域に持ち込み、イッカクの領分を侵害し始めたのでござる」
「フムー、その話は明日も続けるとして、きょうの写真は管理棟や小屋の空撮だな。Ume氏とやらもやるな」
1年ぶりに年末年始の営業をすることにしました。また、ふたご座流星群の観測に合わせて上にいます。お出掛けください。要予約。
「冬季営業の案内(’17年度」は、前年のものを流用している部分もあって、段落や改行がおかしく、見苦しいかも知れませんが何卒ご容赦を。少人数の場合は一応ご相談ください。また他の団体と計画が合えば、少人数でも管理棟の予備の部屋10畳ふた間を利用することができます。