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『宙ぶらりんの男』

2018-07-12 10:28:44 | 日記
 6月半ば頃から体調を崩したのがもとで、7月に入って通院検査も重なり、松本の美術館通いは止めにしています。美術館を設立して、この9月で丸6年になりますが、長期?にわたって休むのは初めてのことです。幸い土曜か日曜日は、M君が出勤してくれていますので、7月一杯までの企画展は何とか続けられそうです。

 それにしても病院での検査、対応してくれたのは3人の医師でしたが、診断はそれぞれで明確な答えと処置が出されないまま今日に至っています。最終的には主治医と思しき2番目の医師が再検査判断することになっているようですが、その医師の都合で来週19日木曜日まで自宅待機となっています。お蔭様で、微熱と痰つまりで不眠も続きで不快な毎日を過ごしています。それはあたかも20世紀アメリカの最大の文豪ソール・ベロー描く『宙ぶらりんの男』の如くです。でも振り返って見れば、何もこの一、二週間のことにかぎらず、つねに「宙ぶらりん」であったような気がしなくもありません。
 
 30年近く前、上司であったT大学学長とカナダのブリティッシュ・コロンビア大学学長と歓談する機会があり、理系出身のお二人に、文系出身の小生はソール・ベローについてお話ししたことがありました。ベローの作品には『犠牲者』、『オギーマーチの冒険』や『ハーツオーグ』などの代表作の他数多くの秀作があり、小生にとっては、カポーティーと共にアメリカの現代文学を代表する作家でした。その時以前以来、『宙ぶらりんの男』への思いはやはりあまり変わってはいないようだということを改めて認識しています。

 唯この間、「宙ぶらりん」であったが故に、一つだけはっきりしたのは、というより前々から口にはしていましたが、それこそお蔭様で、身近な課題としての「米作り」、今年は稲刈り、稲干し、脱穀は農協さんにお任せしようという決断を導き出したことです。ちなみに50余年前、途中で投げ出したモンテーニュの大著『随想録』3巻を再びひも解いているのもそのお陰なのでしょう。 







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