詩作「最高の贅沢」に寄せられた様々な声は、これまで度々耳にしていましたが、本日5月30日、美術館に来られた方が感想文を残されていましので転載させていただきますとともに、改めてその詩を掲載し、広く皆様にもお読み頂けたらと思います。
「今回の企画展もまた、期待以上の素晴らしさでした。優れたデッサン力があってこそのものでしょうが、裸婦習作の1,4,9、に私は強くひかれました。
今回、館の入口に展示してある詩、「最高の贅沢」、、、何と素晴らしい詩でしょうか、病弱だった康花さんならではでしょうが、これが15歳の少女の作品というのが、実に驚きです。
今後の企画展にも大いに期待いたします。」Y.S.
最高の贅沢
須藤康花
いい季節になりました
白樺の木には淡い木の葉の色が染まり
タンポポも顔を出し始めました
空にも澄んだ優しい青色が戻ってきました
ひんやりと心地いい夕方が帰ってきました
そのうち あともう少ししたらもくもくしたあの白い入道雲や
ミンミンとせわしないセミたちや
ふさふさとした重そうな濃緑の木々たちや
それをくねらせるかげろうや
ランニング姿の少年たちや
伸びるだけ伸びた元気のいいひまわりたちも
姿を見せることでしょう
ときには ひぐらしの声も聞こえるかもしてません
そんな日には風鈴を出して
かすかな風の音色を聞きながら
うちわでも片手に
薄着をしてぼんやりとしてみたいです
最高の贅沢ではありませんか
強い雨の日には
少し無理をして半袖で外に出て
傘をわざとずらしたりして
素肌の腕に雨の露を流れさせて
あてもなく 蛙の鳴き声を探しに行くのも
これまた最高の贅沢ではありませんか
そして 雨上がり
ぴかぴか光った道を
誰もいない道をたった一人で
小鳥の声なんぞを聞きながら
一緒に鼻歌を歌ったりして
葉っぱの雨のしずくをそっと手で触ってみたりして
清々しい空を眺めて
ハンカチでそっとベンチの水を拭いて腰掛けて
じっと座っているのも
これまた最高の贅沢ではありませんか
ビーチサンダルを素足ではいて
麦わら帽子なんぞをかぶって
いくら歩いても 浮き浮きしたまま
そんな時はいつくるのでしょう
1994年5月6日康花15歳
(『康花―あの頃のように』須藤正親編、2013年郷土出版社刊所収)
「今回の企画展もまた、期待以上の素晴らしさでした。優れたデッサン力があってこそのものでしょうが、裸婦習作の1,4,9、に私は強くひかれました。
今回、館の入口に展示してある詩、「最高の贅沢」、、、何と素晴らしい詩でしょうか、病弱だった康花さんならではでしょうが、これが15歳の少女の作品というのが、実に驚きです。
今後の企画展にも大いに期待いたします。」Y.S.
最高の贅沢
須藤康花
いい季節になりました
白樺の木には淡い木の葉の色が染まり
タンポポも顔を出し始めました
空にも澄んだ優しい青色が戻ってきました
ひんやりと心地いい夕方が帰ってきました
そのうち あともう少ししたらもくもくしたあの白い入道雲や
ミンミンとせわしないセミたちや
ふさふさとした重そうな濃緑の木々たちや
それをくねらせるかげろうや
ランニング姿の少年たちや
伸びるだけ伸びた元気のいいひまわりたちも
姿を見せることでしょう
ときには ひぐらしの声も聞こえるかもしてません
そんな日には風鈴を出して
かすかな風の音色を聞きながら
うちわでも片手に
薄着をしてぼんやりとしてみたいです
最高の贅沢ではありませんか
強い雨の日には
少し無理をして半袖で外に出て
傘をわざとずらしたりして
素肌の腕に雨の露を流れさせて
あてもなく 蛙の鳴き声を探しに行くのも
これまた最高の贅沢ではありませんか
そして 雨上がり
ぴかぴか光った道を
誰もいない道をたった一人で
小鳥の声なんぞを聞きながら
一緒に鼻歌を歌ったりして
葉っぱの雨のしずくをそっと手で触ってみたりして
清々しい空を眺めて
ハンカチでそっとベンチの水を拭いて腰掛けて
じっと座っているのも
これまた最高の贅沢ではありませんか
ビーチサンダルを素足ではいて
麦わら帽子なんぞをかぶって
いくら歩いても 浮き浮きしたまま
そんな時はいつくるのでしょう
1994年5月6日康花15歳
(『康花―あの頃のように』須藤正親編、2013年郷土出版社刊所収)