農文館2

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休載お詫びします

2013-11-30 16:43:53 | 日記
 先日、康花美術館に来られた方が、最近小生のブログが休載しているので、どうしたのかと、心配している知り合いの読者がいる、と話されたのを聞き、それではと急きょブログを開いた次第です。
 理由は一言でいえば、忙しかったからですが、少ないながらも読んでいて下さる方には申し訳ないことをしました。11月前半は、美術館の作品入れ替えがあったことと、積雪を控え、自宅の庭や畑の木、それに竹林の伐採、さらに農業用水溝の清掃、それに後半からは連載記事の原稿書き、大阪での出張講演などで時間に追われていたからです。健康に支障があってのことではありません。

 それともう一つ付け加えるならば、例の「秘密保護法案」や原発、TPP、そしてケネディー大使就任のマスコミのハシャギぶりと沖縄の辺野古問題などなど、あたかも通過儀礼の如くに報道され黙認されてゆく最近の状況に、万歳をせざるを得なかったからでもあります。大阪の講演会ではこれらの問題について多少話してきましたが、ブログで語るには十分な時間もなく、いっそのことお休みした方が、とも考えたのです。

 ところで美術館の方は、11月20日から「特集・光の回廊と田舎の詩情」と題して作品の入れ替えをしましたが、前回の企画展「康花あの頃のように」と同様、来館者はまばらです。どうも世の中、「楽しく」なければダメなようで、政治も経済もそして芸術も「考える」ことは苦手のようです。もちろん例外のあることは知っています。拙文を読んで下さる方があり、“難解”な康花の作品を見に来て下さる方がいる限り、頑張ろうとは思ってます。ゴッホが存命中、彼の絵はたった一枚しか売れなかったと言われていることを思えば、世の中万事、絶望するにはまだ時間がありそうです。

干し柿

2013-11-13 19:22:51 | 日記
 今年の干し柿は、好物としていた康花の分程度にとどめようと思っていましたが、先週に続いて今週の休みも、我が家の柿木から柿を採り、柿むき、柿干しをしました。その結果合計は140個余り、昨年並みとなりました。
 実は過日、いつもの東京の友人にわが無農薬の新米を少々お送りしたところ、「これまで以上に美味しくて香りがあった」と言うご返事をいただき、気分ををよくしていたこともその背景にはありました。友人の手紙を通じて、柿大好物人間が目に浮かび、今年もその方にお送りする分も作ったというわけです。農家であるとはいえ、専業ではありませんが、自分の作ったものが「美味しい」と評価され感謝されるほど嬉しいことはありません。

 お金を出せば、どんなものでも手に入るご時世ではありますが、安全で「美味しい」食べ物作りをしてきた農家のお年寄りたちが、生涯現役でいたいという願いがよく分かります。都会で生活する子供や孫たちの「美味しい」と言う一言が、来年の野良仕事につながっているのです。

康花美術館ー問われているのは

2013-11-08 09:08:51 | 日記
 伺いたいと思いながら何度も美術館の前を車で通りすぎていました。ようやく思いがかないました。
 “なんのために生きているの?”という康花さんの問いは、すばらしい絵や言葉を目にした私たちに問われていることのような気がします。彼女は、この作品を私たちに見せて下さるために、生きていたといっても過言でないように思います。
 美術館を作り、守って下さるお父様にも感謝申し上げます。どうもありがとうございました。
 車いすの介助もありがとうございました。重症心身障碍者と言われている方たちと縁あってお付き合いさせていただいています。本物を一瞬で見分けてしまえる彼らたちです。前ではごまかすことができません。
 康花さんの作品に同じように思いました。またお伺いしたいと思います。 H.R


 昨日7日、3人で来館された方々のお一人が、記帳ノートに書かれた感想です。閉館後ノートを目にして、ここのところぶり返していた慢性の腰痛も吹き飛んでしまったように思いました。何よりも作者康花が伝えたかったメッセージをご理解していただいたことと、重症心身障碍者「と言われる」方たちに対するHさんの目線に、彼らに添う以上のものを感じたからです。
 一般的に康花の作品たちが、彼女の痛ましい生涯から生み出されたものとして、暗く悲しい印象を持たれがちなのに対して、作者が常々主張していた芸術の普遍性について、Hさんは主観を超えて客観的に彼女の作品たちに向き合ってくれたことでした。それはHさんが「本物を一瞬で見分けてしまえる彼らたち」をよく知っているからこそ出た言葉でもあるのでしょう。

 康花共々心より御礼申し上げますとともに、体のご不自由なMさんに付き添われていたHさんご夫妻の姿を思い起こしながら、私もそのことを問い続けていきたいと思っています。ありがとうございました。

美術館の入館者を増やすために

2013-11-03 09:30:11 | 日記
 昨日、今、美術館業界では「時の人」と言われている平塚市立美術館の館長草薙奈津子さんのお話を、松本市立美術館での講演会で聞いてきました。美術館経営が難しい中、館長に就任してから10年間で、来館者を3倍以上に増やしたことで注目を浴びているというのです。
 講演会に足を運んだのは、私設の美術館など、美術館経営については、問題以前であることも十分に認識してはいましたが、それ以上に思うほどには作品を見てもらえていないという現実のもどかしさが、彼女の話に多少なりとも期待を抱かせてくれたからでした。
 そしてその期待は違いませんでした。施設や人の規模はもとよりあてがい扶ちの予算で運営される公立の美術館と、零細商店もどきの小さな個人美術館とでは比較のしようもありません。が、さすが「時の人」と言われるだけあって、参考になるお話は多々あり、昼食後であったにも拘らず、眠気ももようさずじっくりと話を聞くことができました。

 一口で言えば「お客様が来なければ意味がない。」。いかにお客様の足を美術館に向けさせるかが問われていると言うようなことを、具体的な事例を挙げて話してくれました。その一つ、これまで美術館の学芸員は、とかく来館者の数を軽視する傾向があった、と言うのが彼女の指摘です。そうした指摘の中で、同感もし力づけられたのは、「地元の“つまらぬ”(と言ったかどうか)作家に拘泥しないで、視野を広げて“ 新しい”作家を発掘しなさい」と言うことでした。
 彼女の講演を聞かれた地元の美術愛好家や学芸員や関係者の皆さん、地元の作家ではない康花の美術館をどう見ておられるのか、とつい口にもしたくなりそうでしたが、冷静に顧みれば、やはりわが美術館の力量にかかっている、と言うのが正しい答えでもあるのでしょう。草薙さんの講演会は、そんなことを改めて気づかせてくれたという意味でも有意義でした。