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「差別即平等、平等即差別」と故阪田貞宜さん

2018-07-18 09:56:01 | 日記
 ここのところ体調不良もあって、眠れない夜が続いていますが、昨夜から今朝方にかけて上記の阪田貞宜さんの夢を見続けていました。知る人ぞ知る、阪田さんは国際ビジネスコミニケーション協会、いわゆる「トイック」設立に関わった方で,理事長・副会長を兼任され数年前に退職されていました。
 小生が知遇を得たのは50年前の20代の頃で、当時氏はアジア経済研究所に所属しながら、新たな情報機関(ワイス)の設立に携わり、小生はその後そこで阪田専務の下10余年、研究員。主任研究員として、世界経済の調査研究に従事することになったのです。研究所は上下の別なく自由闊達で,時間を忘れてする議論が発展途上の頭でっかちには大変刺激的でした。そんな雰囲気つくりをされたのが阪田さんで、小生は身の程知らずに、彼にもよく噛み付くことがありました。そうした会話の中で、特に今なお胸に刻み込まれているのは、議論に窮して「浅学菲才」と脱帽した小生に対し、「研究者としての矜持」を持てと言う忠告でした。日頃、学歴あるなしを超えて所内での研究職と事務一般職との区別を明確にしていただけに、若き研究者の投げやりな言葉に、腹に据えかねたのでしょう。

 最近,しばしば読み返す本の一つに『鈴木大拙禅選集』があります。そのうちの一冊『金剛経の禅・禅への道』1981刊に、「差別即平等、平等即差別」と言う言葉があります。「差別のない平等は悪平等、平等のない差別は悪差別」と言う意です。阪田さんから研究者がどうあるべきかを忠告されて、この本に接したのは大分後になりますが,それでも当時は未だ一知半解、今日漸くそのつながりを改めて強く感じている最中,氏の夢を見たというわけです。氏と再会したのは30余年前,以来ご無沙汰のまま、電話に出られた事務局の方の話によれば、恐れ案じた夢のとおり、「亡くなられた」とのことで、来し方を思い起こしながらただただ無念感が膨らんで行くばかりでした。

 これまでこのブログで、小生にとっての「忘れえぬ人」を何人か紹介させていただいていますが,上述の通り、阪田貞宜さんもそのお一人です。小生が研究者の道を歩む上で欠かすことの出来ない機会と理を授けてくれた方でした。享年99歳。遅まきながら,感謝の念をお伝えするとともに、ご冥福をお祈りいたします。合掌

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