農文館2

写真付きで日記や趣味を書くならgooブログ

心温まる待井貴子の短歌4編

2018-12-10 10:00:48 | 日記
 前回、我が家周辺の落ち葉を収集し田んぼで焼却したことをお伝えしました。今や落葉樹の葉は木々にはほとんど残されていないほど淋しい光景になってしまいましたが、毎年の事、落ち葉を収集していて、その美しい光景に息を呑まされるようなことが多々あります。例えば、一つは琳派の画家でもこれほどにはと思わせるような、色とりどりの枯葉の積み重なりが地面に描いた自然の紅葉絵図を鑑賞できる時、もう一つは、あたかも枯葉が今一度命を吹き返したかのように風に吹かれ煌きながら舞い落ちる風景を目にする時です。前者が大きなキャンバスに描かれた絵とするならば、後者は大きなスクリーンに映し出された枯葉たちがモーツアルトやショパンのピアノ曲を奏でながら散り行く最後の舞を描いた光景、とでも言ったらいいのでしょう。蛇足ながらこれも野良仕事、米作りが止められない理由になっています。

 実は、毎年のように目にしているこんな光景を言葉にしたのは、箕輪の歌人待井貴子さんから先日こんな短歌が送られてきたからです。
  
   北風は  木々の枯れ葉を  さざめかせ  外の寒さを  部屋に伝える

   渓谷の  色葉舞いちる  露天風呂  赤や黄いろを  湯面にすくう

   譲られた  カートの持ち手  温かし  主婦でにぎわう  夕のスーパー

   窓越しに  猫の顔あり  目が合えば  餌をくれよと 訴えてくる

                                    作・待井貴子


 今朝、我が家から30分ほど登ったところにある北アルプス見晴らし所まで行ってきました。未明頭と両肩の寒さで目が覚めましたが、なるほど予想通り北アルプスの峰峰は朝日に照らされて白銀一色に輝いていました。漸く本格的な寒さがやって来ている中、待井さんの作品はなんとほのぼのとして温かみのある言葉がみそ一文字に込められているのでしょう。冷えた体に温もりが伝わってくるような気がします。彼女の短歌の素晴らしさは、日常のなんでもない光景から優しさと清らかさと美しさを紡ぎだし、私たちにその情景を彷彿とさせてくれることです。これからも機会あるごとにご紹介できればと思っています。