キューバは、お世辞にも「豊かな」国とは‥言えない。
いや、ハッキリ言って、物質的には、かなり「貧しい」‥国だ。
そして、街並みを見ても、決して「キレイ」だとは‥言えない。
道路は、旧式の車や自転車、そして人で‥ごったがえす。
車のなかには、こんなポンコツ車(失礼!)も‥。
だから人々は街中でも、車の修理をしなければ‥ならない。
そして、買い物は、道端の露店で‥というのも珍しくない。
だけど、そんななかで、キューバの人々は、底抜けに‥明るい!
街には、そこここで、音楽が流れる。
おばさん(もしかして、おねえさん?)は、巨体をゆすって、「歌を歌いながら」、ピーナッツを売る。
道路は、子どもたちの歓声で、満たされる。
豊かな国アメリカのすぐそばで、しかも時に、アメリカの経済封鎖を受け、貧しい生活を強いられながら、キューバの人たちは、なぜにそんなに陽気な
のか?
私は一度もキューバに行ったことはないけれど、映像で見る、キューバの人々のそんな姿に、なぜか「憬れ」と「懐かしさ」を、感じてしまうのです。
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そんなキューバのことを取り上げ、キューバの魅力に迫るテレビ番組が、(かなり前になりますが)二つありました。
一つ目は、(前にも一度ブログに書いたことのある)≪アメイジングボイス 驚異の歌声≫という番組です。
この番組は、俳優の林隆三さんを案内人(声だけ)にして、世界各地に残る、すばらしい(時には、不可思議な)歌を紹介し、それについて、スタジオ
の、藤井フミヤさんと元ちとせさん(写真上)が、語り合うという、とっても面白い番組です。
その番組で、キューバの歌を、(国営のライブハウス≪トローバの家≫で行われるライブを中心に)紹介していました。
←ライブハウス≪トローバの家≫の建物
ライブハウスと言っても、ご覧のとおり、とっても粗末な建物です。
ライブ会場は、1階と2階に合わせて3つあるそうですが、1階の会場などは、傍の道路とイケイケで、歌手の歌声が、直接道路に流れてきます。
国営ということで、聴衆はタダで、歌手たちの歌&演奏を、自由に楽しむことができます。
1階の会場などは、道路に流れ出る歌声を聞いて、ふらりと会場に入り、椅子に腰掛け、あるいは、戸口に寄り掛かって、歌を楽しむこともできるので
す。
歌手の人たち(もちろん専門家)も、なんの飾り気もない!
私たちが日本で歌手と言うと、“かっこいいステキな衣装に身を包んで、スポットライトを浴びて歌を歌う人”っていうイメージがあるけれど、それとは、
ほど遠い姿です。
←ショマラ・ビダル(55歳)
←ジャイマ・テジェス(30歳)
←エバ・グリニャン(64歳)
←ホセ・アオレス
でも、そこで歌われる歌の、なんと素晴らしいこと!!!
ここで、その歌声をお聞かせできないのが残念ですが、生活の中から生まれた自分の思いを、切々と(場合によっては力強く)歌い上げる彼ら
の歌声に、私は、一瞬にして虜になりました。
上の写真のホセ・アオレスさんが、「何歳まで歌うのか?」という質問に、「歌手は、歌いながら死ぬんだよ。たぶん、死んだあとも歌ってるだろうね。だ
から、墓場で誰かが歌声を聴くかもしれないよ。」と笑って答えられたのが、とっても印象的でした。
歌いたい(事がある)から歌う! 歌が好きだから歌う!
司会の藤井フミヤ君や元ちとせさんも言っておられましたが、商業主義に毒されない、真の歌を聴いたような気がしました。
そして、司会の二人が、日本にもこんなライブ会場があるといいね、としみじみと語っておられたのが、心に響きました。
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続いて二つ目は、≪旅のチカラ≫という番組です。
この番組は、各界で活躍されてる方が、自分の今抱えている問題と更に深く向き合うために、ある国や場所を選んで旅をされるという番組です。
今回の旅人は、外科医から医療ミステリー作家に転身された、海堂尊(かいどう・たける)氏でした。
←海堂氏の著作の数々
そして、彼が今回、旅の目的地として選ばれたのが、なんとキューバでした。
キューバ革命の指導者の一人、チェ・ゲバラ(彼は革命家になる前は医者だった)が、なぜ、メスを銃に持ちかえて、革命の道へ進んだのか、彼の足
跡をたどりつつ、改めて医療問題を根本から考え直してみたい、という思いからの旅先の選定でした。
私は恥ずかしながら、海堂尊氏のこともよく知らなかったし、ゲバラが元は医者であったことも知らなかったので、新鮮な気持ちで番組を見ました。
そして、海堂氏がゲバラの足跡を追われる中で分かったことは、ゲバラが革命運動のさなかにあっても、病気になった貧しい人々の医療に誠心誠意
あたり、人々の信頼を勝ち得ていったことでした。
←当時瀕死の状態だった弟(左)をゲバラに助けてもらっ
たと、しみじみ語るお兄さん(写真・右)
←やはり当時、ゲバラの治療を受けたというご婦人
最後に海堂氏は、キューバの現在の医療の状況を知るために、ある一人の医師を訪ねます。
彼の名は、ファン・カルロス。
彼は、団地の一隅の診療所に住んで、心の通った医療を行っています。
←彼の診療所がある団地
キューバでは、医療費はすべて無料!
彼は、住民の生活と健康状態を知り尽くしていて、それぞれの住民に対して、適切な治療&病気の予防の指導を行っています。
もちろん、住民の彼への信頼は絶大!
その彼がいつも胸に刻んでいるのは、「貧富の差にかかわらず、誰もが平等に医療を受けられる社会の実現」という、ゲバラの理想でした。
海堂氏は、カルロス医師と、共感の熱い抱擁を交わして、旅を終わります。
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そして私は、この二つの番組を通して、キューバの人々の「明るさ」のよってくる源が、少しは分かったような気がします。
キューバの人々は、(貧しいかもしれないけれど)みんな≪平等≫に、人間として尊重されて生きている!
そして、なによりも彼らは≪魂の自由≫を持っている!
≪魂の自由≫と≪平等≫!
それこそが、人間を人間として、最も輝かせるものだ!
そして、今の日本で、それが大きく失われていきつつあることが、私に、キューバを「懐かしい」と、感じさせたのかもしれない‥と思いました。
≪追記≫
このブログで取り上げた≪アメイジングボイス≫が、先週で終わりになってしまいました。
とっても残念です!
最終回に、それまでは、声のみの出演であった林隆三氏も画面に登場されて、三人での楽しいトークになったので、想い出にその画面を載せて、長
いブログを終わります。(ふ~、疲れた~!)
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