のんスケの‥行き当たりバッタリ!

ぐうたら人生を送ってきた私が、この歳になって感じる、喜び、幸せ、感動、時に怒りなどを、自由に書いていきたいと思います。

こんなに素敵な “アーティスト夫婦” がいらっしゃったなんて!

2019-08-02 16:40:04 | 日記

 瀬戸の夕凪の中、老夫婦が散歩されている。 しっかりと手をつないで。

 男性は、美術作家・高橋秀さん(89歳)、女性は、布貼り絵作家の藤田桜さん(94歳)だ。

                  

 

                  

 

 


 ここは、岡山県倉敷市沙美海岸。 この海岸の向かいに、お二人のアトリエがある。

                       

               

 

 このアトリエ(右の建物)で夫・秀さんは美術作品の制作に余念が無く、妻・桜さんは、住居(左側の建物)のリビングルームで、

布を使った作品(布貼り絵)の制作を楽しんでおられる。

             

 

                           

 

 

 お二人の、比較的最近の作品。

               

                         高橋秀 「黄金の稜」 (2006)

 

                

                     藤田桜 布貼り絵 「春の独楽」(2016)

 

                

                          同上 「桜」 (2013)

                

                

                         同上 「とうがら峠」 (2008)

 

               

 

 お二人が結婚されたのは、今から61年前の1958年のこと。

 当時、福山から上京された秀さんは、アルバイトをしながら絵画の勉強をしておられ、桜さんは既に仕事に就かれていた。

 下が、結婚当時のお二人の写真。 (桜さんはふくよかで可愛く、秀さんはとってもハンサム!)

               

 

 

 結婚後程なくの秀さんの作品。 もちろんモデルは桜さん。

               

 

                 

 

 

 そして1961年、秀さんは、「月の道」によって、新人画家の登竜門・安井曾太郎賞を受賞される。

                  

                          「月の道」 (1961)

 

 これで画家としての地位が保証された秀さんだが、彼は1963年、突如日本を出てローマに向かわれる。

 その時の心境について、彼は次のように語られている。

  「安井賞を受賞した自分に対して、画壇・画商が要求したのは、「月の道」ふうの作品の制作であり、それでは自分の創作の可

  能性が狭められ制限されると、強い危機感を感じた。」

 その言葉を聞いて私は、秀さんが現状に安住しないで創造の道を追求していく、いかにも芸術家らしい芸術家だと感じた。

 

 一方桜さんは、結婚前から仕事をされていて、その中でも、絵本・『よいこのくに』の表紙を40年近くに亘って担当された。

                 

                          『よいこのくに』 創刊号

 

                 

 

 

 とにかく日本を脱出することだけを考えてローマに赴かれた秀さん(夫妻)だが、当時のヨーロッパの芸術家たちの「自分の考え

や主張・思いを、荒々しいまでに追求する姿勢」に共感して、自らの道を真剣に模索し追求していかれるようになる。

 そして、当初は≪エロスの画家・高橋秀≫として世界から高く評価され、80年代になってその作品は巨大化していく。

               

                           「鏡の中で」 (1976)

  

              

                      大きな作品2つ (共に、1989年)

 

 

 そして1993年には、秀さんのローマ滞在30年を記念して、ローマ国立近代美術館で大々的な個展が開かれた。

              

 

 

 一方桜さんは、以前から担当されていた『よいこのくに』の表紙を引き続き描かれる一方で、「布貼り絵」という新しいジャンルを

開拓される。

 その「布貼り絵」で作られた『ピノッキオ』の絵本は、「布貼り絵」という方法の新鮮さと技術の高さによって、高く評価されている。

             

 

              

 

              

 

              

 

              

 

 

 

 41年間に亘ってローマで活躍されたお二人だが、2004年にローマを後にして帰国され、上記のアトリエに移り住まれた。

 そしてそこでそれぞれに創作活動をされるのだが、それだけでなく、アトリエの2階を子どもたちに開放してアート教室を開か

れたり、海外で芸術を学びたいと思う若い人たちのために、「秀桜基金」を設立して留学費を援助されたり、などという活動もさ

れている。 ステキだなあ!

              

 

             

 

 

 そして今、東京・世田谷美術館で、お二人のこれまでの作品を集めた展覧会が開かれている。

 その展覧会にも出展されている、お二人の最新作。

             

                      桜さん 「初夏のなかま」

 

            

                         秀さん 「環」

 

            

                   展覧会場を訪れられたお二人

 

 

 今お二人は、一日の終わりにグラスを交わしながら、「おめでとう!」と言い合われるのだそうだ。

 芸術家としてはもちろん、人間としても、豊かな人生を紡いでこられたお二人。

 お二人の61年の生活に、乾杯!

 そして、俳人でもある桜さんが詠まれた歌を最後に載せて、この長いブログを閉じます(^_^;)

              

 

            

                     「舫い船 睦ぶとも見え 浜おぼろ」

           

      

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                 

            


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2 コメント

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素敵な布張り絵 (じゅん)
2019-08-03 06:17:23
 布張り絵という手法があったのですね。とても素敵な作品ばかりです。ソフトなタッチが感じられますね。夫婦で居緑しあって一生作品を作っていくのは、幸せなことですね。ありがとうございました!
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じゅんさんへ (のんスケ)
2019-08-03 19:43:05
 作品は対照的にも見えるお二人ですが、ご夫婦にしたらそれが良かったのかも…。じゅんさんご夫妻もガンバってくださいマセ!
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