ガンジス・河の流れ

インド・ネパール。心の旅・追想

第14話   旅人とマラリア・・・2

2015-10-06 | 第14話 旅人とマラリア

 明日、早朝の列車でガヤからベナレスへ移動する。その為ガヤ駅近くに宿をとった。W君を夕食に誘ったが、食欲がないと言う。食事を終え駅で急行乗車券2枚を買ってホテルへ戻った。ドアーを開けると咽かえるような蚊取線香の煙、その中で毛布に包まって横になっているW君。死んだ蚊を潰すと糸を引くどす黒い血だった。かなり前のものだろう。煙が息苦しくてぼくはチャイを飲みに外へ出た。
 出発の朝。準備をしていたぼくはW君に声を掛けた。
「ぼくも出発します」
もし同行者の足を引っ張るようなら、ひとり残って体力の回復を待って旅を続けなければならない。彼のバックパックはどうみても20kgはあるだろう、弱った体力を苦しめる。ものを所有することから人間の苦悩が始まる(ブッタ)
救いを求める甘さがあるなら旅は続けられない。誰も救いの手を差し延べはしない。旅は心の旅の中から生まれる。
ガヤ~ベナレスは約4時間の列車の移動だ。大混雑で難儀するインドの列車しか知らないぼくにとって初めての体験になった。車中はガラーンとし、W君は風邪でしょうか?と言いながら風邪薬を飲んで横に置いたバックパックに身体を寄せた。

 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする