ガンジス・河の流れ

インド・ネパール。心の旅・追想

ジャンキーの旅      薬物後遺症と心の傷・・・53

2012-11-30 | 3章 デリー中央精神病院・入院記録


「気分はどうトミー、気分が悪くなったら直ぐに言って」
「大丈夫、何ともない」
1人はぼくの脈をチェックしている。枕元に立っているシスターはぼくの顔色を見ながら声を掛けてくる。
「気分は悪くない、もう直ぐ終るからね」
「大丈夫だよ、ぼくは何ともない」
余程ゆっくりと注射液を入れているのだろう大分、時間が経ったような気がする。注射が終り彼女達が引き上げた後も、シスターが度々ぼくの様子を見に来ては声を掛ける
「気分はどう、トミー」
「今のところは何ともない」
とぼくは答えたが、頭がぼうとしている。強い薬なんだろう、ベッドで横になって動かないように言われているが動けそうにない。
 夜、シスターに痛み止めを頼むと、これが新しい痛み止めだと言って薬をくれたが全く効かない。自分の身体なのだが右と左半身が別々になった様な感じがしている。目が良く見えないと思っていたが今、分かった。左は良く見えるのだが右はぼやけている、左右の視力がかなり違うから視点が合わないのだろう、片目を瞑って調べたらそうなっていた。右手を開くと指がぶるぶると震える。どうなってしまったのか、指が震えて字が書けない。右目の奥から右脳や首の右側それに右手と右足等の右半身の神経がおかしい。注射の後どうも調子が悪い、身体は痛いし眠る事など出来そうにない。あまり調子が悪いとか痛いとか言うと退院を先へ延ばされそうで騒ぎたくはないのだが我慢が出来ない。事務室へ行って以前に使っていた痛み止めを貰って飲んだ、効いてくれると良いのだが。
 
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ジャンキーの旅             逮捕・・・・・14

2012-11-28 | 1部1章 逮捕
彼はぼくを引き取りに来ていたのだ。 デリー中央刑務所は第1~第4までありそれぞれの刑務所は東京ドームぐらいの広さがある。その中は約10程の収監区に分かれ第1刑務所、第2収監区は外国人専用ワード、第1収監区は女性専用ワードになっていた。ぼくが逮捕された事は既に第2収監区では知られていた。後日、第2収監区のゲートを入りフィリップスと再会した時、彼はぼくが逮捕された新聞記事の切り抜きをぼくに渡してくれた。
 彼に連れられ第1刑務所のメインゲートに行った。ゲート内の端に膝を抱くようにして座り何をするでもなくただ待っていた。第1から第4刑務所内にあるアシアナ・ホスピタルへの移送の事務手続きが終わったのだろうカーキ服がニヤニヤしながら手で合図をしてぼくを呼んだ。鉄製の巾5cm程もある重い手錠が前に出したぼくの両手首をガッチリと挟み込んだ。太い鉄鎖の先を握ったカーキ服と巨大な鉄製のメインゲートの右端にある潜り扉から外に出る、眩い光の先に自動小銃やライフル銃を持った警備隊員を見た。手錠の先の鎖を引っ張っていたカーキ服の奴は自転車に乗ってのんびりとペダルをこぎ出した。見上げる程高い塀その上に有刺鉄線。今、ぼくは塀の外にいる。塀に沿って一本の赤茶けた小道が一面緑の下草の生えた中に通っていた。目の前にやはり巨大と思わせる鉄扉が現れた。第4刑務所である。外からだと鉄扉の左端下にくぐり扉があり、その上に小さな覗き窓ある。そこから紙切れが中の人間に渡されぼくは中に入った。
        

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ジャンキーの旅             逮捕・・・・・13

2012-11-26 | 1部1章 逮捕

クシナガラ 涅槃ブッダ インド逃亡の最後に立ち寄る地と考えていた

鍵を開ける金属音が朝になったことを教えた。鳥の鳴き声、視界がゆっくりと広がって空気が動き始める。動き出す人々の影が壁に残って消えた。のろのろとぼくは房の外へ出て中庭へ行った。皆、座ってティーを飲んでいる。ティーを飲もうと進んで行ったぼくの身体に胡散臭い視線が絡まった。ジャパニーか?ぼくはふら々と房へ戻り毛布でロープを作った。外房の天井の鉄格子からロープの輪を吊り下げ周りの気配を窺った。
「あなたのケースはミニマムで10年の刑に相当します」
ここ数年で約300g以上の粉をやってしまった、切る事は不可能だ。数ヶ月の長い禁断の苦しさを続けるぐらいなら一瞬の死をジャンプすべきだ。自分で分かっていた、死を迷うより一瞬のチャンスを失敗しないこと、そのことしか頭になかった。鉄格子を這い上がりロープに首を掛けようとした時、監房の外に人の気配を感じた。薄暗い房内に隠れ聞き耳を立て人が去るのを待った。外房の天井に吊るされ揺れるロープに外と内の空気が緊張した。何が起ころうとしていたのか感じとられたに違いない。インド人に見つかってしまった。抵抗する気力や体力は既になく中庭に集められた20名ぐらいのインド人の前に引き摺り出された。ヒンディー語の報告と理解不能なざわめきだけが続いていた。
「奴はシックだ、アシアナに入れるしかないだろう」
と言う英語だけが理解できた。白いインド服にブルーのベストを着た大きなアフリカンだった。
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ジャンキーの旅           逮捕・・・・・12            

2012-11-21 | 1部1章 逮捕
  

金網と鉄格子に囲まれた狭いバスの中、ひしめき合う犯罪者達はバスの発進とブレーキを利用して其々の数cmの自由なスペースを奪い合った。街の明かりが途切れ暗い闇をバスは突っ走る。対向車のヘッドライトが荒涼と乾燥した大地のショートカットを捕える。黒く深い前方に小さな灯りが見え隠れした。薄闇の中、家並みらしいものが近づいて来る。スピードを落し進むバスの先にぼんやりとした明かりが横から道路に延びていた。右折したバスの前方に左右上方からサーチライトに照らされた巨大な砦の赤黒い鉄扉がゆっくりと浮かび上がった。これがデリー中央第1刑務所のメインゲートだ。バスのヘッドライトがカーキ色の服を着、銃を肩に掛け配置についた数名の警備隊員を捕らえた。バスはUターンしバックでメインゲートの潜り扉に着けられバスの後部ドアーの鍵が開けられた。後部ドアーのその後ろに警備員室があり、左右1名銃を持った警備員がいた。そこを通りバスから降り外ゲートの潜り扉から中に入った。センターゲートは外と内の巨大な鉄扉によって閉ざされているがゲート内はかなり広い。中に入ると何故だか間を置いて前と後ろのグループに分かれていた。前のグループは5名ずつが立ち上がりカーキ服によるボディーチェックを受けていた。それが済むと収監者達は内ゲートの潜り扉から暗い刑務所内に消えていった。残された20名程の者は本人の確認が行われ、それが終るとカーキ服に連れられ仮監房のワード・ゲート内に入れられた。山積みされた毛布を引き摺り勝手に監房内に入り寝床を作った。カーキ服が内房の収監者の頭数をチェックし外房の扉に鍵を掛けた。サンダルは枕代りに二つ折りした毛布の下に入れその上に横になった。裸電球がひとつ、高い天井には大きな扇風機が一定の速さで回っていた。私服が執務室でやらせてくれたスタッフの最後の余韻が残ってはいたが確実に襲って来るであろう禁断症状を思うと息苦しさに囚われた。それから逃れる術はない。叫び出したいような、こみ上げてくる不安を圧し潰し壁に向かって寝返りをうった。連続した不安に疲労が積み重なっていたが今それらから解放された一時的な安堵感にまどろんだ。


画像ファイルの整理はなんとなく終わった。使いかってに慣れないがなんとかなるだろう。
わずかに残っているフロッピーの拡張子jtd・wordはJustビューアをインストールしたことで
読める それをコピーしワードパットに張り付けると編集が可能になった。
ないものはない あるものだけでやっていく
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ジャンキーの旅

2012-11-18 | インドの旅
データーを缶詰にしてぼくのPCは頑として動かない。昨日、購入した。
やっと ここgooブログと画像をupしている場所にたどり着いた。画像は記号だけで
ファイルを開いてリシケシ ガンゴトリ カトマンズ・・・と各フォルダーに移動させなければ
ならない。wordはフロッピーに残っていたが 拡張子jtdでやっと開いてもバケて使い物には
ならない。ソフトをインストールすれば何とかなるらしい。いつ更新ができるようになるのか???
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ジャンキーの旅

2012-11-10 | インドの旅
PCが壊れました バックアップしてなかったので・・・アホかぁ~~~~ アホでぇ~しぃたぁ~~
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