ガンジス・河の流れ

インド・ネパール。心の旅・追想

第1話 山のアシュラム  マッサージ師クマル・・・1

2015-10-29 | 第1話 クマルとサソリ


ネパール人のクマル 後ろはアシュラムのメーンホール 毎日ここで瞑想とハタヨガの指導を受けた

 ヨガ・アシュラムに入って2週間が過ぎただろう。アシュラムの日課は日曜日を除いた毎日、夜明け前と午前10時から、それと日没までの3回、各1時間の瞑想である。それともう一つは午後のハタ・ヨガ(エクササイズ)である。この4つは特別な事情がない限り参加するよう一応は義務づけられている。アサナという瞑想をするポーズが何点かあるが同じ姿勢で1時間、瞑想を続けるのは中々に難しい。自分に合ったアサナを選ぶ必要がある。瞑想の姿勢をしたとき頭から背骨が真直ぐに立たなければならない。しかし日常生活では姿勢がどちらかに傾いていたり、体がねじれていたに違いない。1週間ぐらいは真直ぐに坐ることが出来た、がそうする為に背中の筋肉は無理をしていたのではないだろうか。その後、瞑想の姿勢をすると背骨の両側から背筋全体が痛くてとても瞑想どころではない。部屋へ戻るとベッドの上に丸い薬ビン(正露丸)を置いて横になり背中を押し当て転がって一人でマッサージをしていた。そんなぼくを窓の外から不思議そうな顔をして覗いている奴がいる。何をやっているんだ、ジャパニーは?奴の顔にはそう書いてある。クマルである。
 ネパール人クマルはアシュラム内の庭や花壇の手入れを仕事としている。何度か見かけたことはあるが話しをするのは初めてだ。まあ話しをするというよりは殆どボディー・ランゲジーだ。
「ジャパニー、マッサージ、マッサージ~?」と言いながら彼は手で揉む仕草をする。
「おぅそれだ、マッサージ、それだよぅ~」
指で彼を差しながらぼくは起き上がる。
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