ガンジス・河の流れ

インド・ネパール。心の旅・追想

マントラババとの別れ

2014-02-03 | 第2話 マントラババ


ぼくがお世話になったアシュラムから見たガンガと対岸の風景

 ババとリシケシの町へガンジャを買いに行ってから暫らく会っていない。チャラスもガンジャも底をついて2日程前からババのアシュラムに顔を出しているのだが会うことが出来ない。まだ荷物は残っている。同室のババとチラムを吸って彼が戻って来るのを待っていたが無駄だった。マントラババはヒンズー教以外の神も信じ占いや手相もやると言っていた。だがヒンズー教以外の神とは何を指しているのか?インドで信仰が篤いとされているシバ神と並ぶビシュヌ神は10の神に化身すると言われている。その中には仏陀も含まれている。マントラ・ヨガはぼくが学んでいるアシュラムでもやっている。ババが特別に変っているということはない。
 今日またアシュラムへ行ってみた。窓から覗くとマットは敷いてあるがその他の荷物はなくなっている。ババと声を掛けてドアを押すと開いた。物音を聞いたのだろう隣のババが出てきた。彼の説明ではどうもマントラババはリシケシを去ったようだ。山師のようなババだった。時々旅行者と連れ立って歩いているババを見た。旅行者を相手に小銭を稼いでいたのだろうか、でもぼくにたかる事はなかった。
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ヨギとマントラ

2014-01-30 | 第2話 マントラババ


 朝、いつもの時間にメインホールへ入ると明かりが消され静かに瞑想が行われていた。ぼくは音を立てないように歩き自分の場所に坐って瞑想を始めた。瞑想はホール正面の上段に坐るヨギのオームで始まりオームで終る。明かりが点き皆と一緒にホールから出ようとしたぼくは、お婆さんのマム・ヨギに呼び止められた。朝の瞑想は今日から夏時間に変更され5時~6時になっている、掲示板を読まなかったのかとマム・ヨギに怒られた。ぼくはホールに残り30分間の瞑想をした。宿舎へ戻っていると食堂の建物の奥でヨギ達が火を使って何やらやっている。小道に立って見ているとヨギが手招きをする。この暑いのに木を燃やして何をしている、そう思いながら近づいて見ると細く割った白木を6角形に組んで積み重ねていた。燃え上がる炎に一人のヨギは印を結びマントラ(真言)を唱えている。暫らく見ていたがマントラ行は終ったようだ、崩れ落ちた燃え木をヨギ達は見ている。その中の1人のヨギはぼくにお菓子をくれ、もう行きなさいと合図をした。それを食べながらぼくは部屋へ向かう。また来なさいと言われたが今ぼくは瞑想、ハタ・ヨガとブレッシング(呼吸法)をやっている。マントラ・ヨガはサンスクリットを使うのではないだろうか、とても理解できそうにない、ヨガの厚い英文テキストさえ苦労しているのに。
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ガンジャとチャラス     2

2014-01-24 | 第2話 マントラババ



 リシケシの町のガート(沐浴場)に行けばチャラスが手に入るかもしれない、と言うので午後からマントラババと2人で出かけた。ガートに坐って待っているとババは露店の親爺と話しをしている。ババは膨らんだタオルを持って戻ってくると、ぼくのずだ袋を開かせてガンジャを入れてくれた。ババは露店の親爺に5ルピーやってくれと言う。ずだ袋の中のガンジャはかなりの量がある、つい嬉しくなって10ルピーを露店の親爺に渡した。よほど嬉しかったのか、また山に行って取ってくるから欲しければいつでも来い、そう言って親爺はガンジャを一掴みくれた。草(大麻)はまだ若い、もっと成熟すると樹液を含み効きが強くなる。
 カトマンズの村で自炊していた1974年頃の話だ。部屋の前は広い麦畑で刈り入れが終ると一面緑のガンジャ畑になる。何故だか麦だけ刈ってガンジャは残されていた。草が朝露を含んでいる早朝、近所の子供達は畑に入ってグラス・トップを両手のひらで揉んでいる。戻って来た子供の小さな手のひらを見ると茶褐色のチャラス(大麻樹脂)がこびりついている。それをかき集めると小指の先程のフレッシュなチャラスのできあがりだ。5ルピーで買ってくれと子供が売りにくる。お前に金を払うぐらいなら自分でつくるとぼくは畑に入った。何かこつがあるのだろうか、手のひらに色はつくが塊りにはならなかった。良く成長したガンジャのトップを摘んで部屋の紐にぶら下げていた。この草は緑のまま乾燥するが茶色に枯れることはない。ほどよく乾燥させるとコップに入れお湯を注いで飲んでいた。色はちょうど緑茶のようになる。夕方は野菜と一緒に炒めて食べたことがあるが効いたかどうかは分からない。
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第2話 マントラババ     1     

2014-01-22 | 第2話 マントラババ


 マントラババは南インドから来ているらしい。そういえば北インドのサドゥの着衣はサフランカラーだが、彼の着衣は小豆色で服の形も違う。英語を話すサドゥの中には碌でもない奴がいる、外国人相手にたかり方を知っている。マントラババはラムジュラ(吊り橋)を渡ったガンガの対岸にあるアシュラムに住んでいる。今日はここから2kmぐらい上流にあるリシケシで最初に開かれたという古い聖地へ彼の案内でチャラスを買いに行った。そこに着いてまず目についたのは高さ2m程もある真っ黒いリンガだ。ガンガの河岸に祭られていた。ここは小さな村で通りにある土産物屋の数も少ない。人の良さそうな親爺の店へぼく達は入っていく。ナマステバーイと挨拶をするとマントラババは店の親爺と話しをしている、がどうも上手くいっていないようだ。チャラスを売るほどの量は持っていない、吸うだけなら吸わせてやると店の親爺が言う。吸うのが好きそうな親爺だとは思ったが、商売をおっ放り出し真昼間から吸うのか。面白い、吸ってやろうじゃないかと親爺と2人で吸い始めた。2本目を吸っていると親爺の目はとろんとして何処かへ飛んでいる。シャンボー、親爺にお礼を言って店を出た。
 4月はちょうどチャラスの年度替わりの時期になっているのかもしれない。去年作ったチャラスは底をついたが、今年のガンジャ(大麻草)はまだ十分に成熟していない。親爺のチラムを2本も吸ってしまいぼくはふらふらになってラムジュラへ戻ってきた。帰りの道端にはぽちぽちと露店や蛇使いが並びぼくに声を掛ける。木に囲まれたヨギの小屋では瞑想に耽るヨギの姿があった。
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