ガンジス・河の流れ

インド・ネパール。心の旅・追想

逃亡・終章・・・7    迷い道

2018-01-30 | ドラッグの深い闇・終章

「まあ、しょうがないだろう」と彼、隣の部屋にいる次席官からサインを貰いなさいと言って申請書をぼくに戻した。それは希望を持ったぼく達をただたらい回しにしただけにすぎなかった。次席官はぼくの申請書に目を通すと、それを投げ捨てるようにしてぼく達に戻した。お願いします、助けて下さいと頭を下げるぼく達に彼は手の甲を向けて出て行きなさいという仕草をした。尚も食い下がるぼく達に駄目なものは駄目だと言い出て行けという仕草をくり返した。次席官の部屋を出た。階段の手すりにつかまりぼくは1階へ下りた。
 ビザが取れないとネパールから出国はできない。1月21日でトラベル・ドキュメントの有効期限が切れる。この状態が続けば不法滞在者としてぼくはネパール警察からも追われる。次回22日はデリー・ティスハザール裁判所への出頭日だ。これをキャンセルすれば2回目となり裁判所はインドの新聞にぼくの逃亡告示を出すだろう。インドとネパールの両警察の追跡から逃げ切る事は不可能だ。ぼくの下痢は続いていた。トイレから出て通路に行くとスンダルがぼくを待っていた。
「トミー、大使館へ行こう・・・」
その先を彼は言わなかった。行ってどうなるのか彼もぼくも分からない。だがここでやるべき事は全てやった。
「大使館へ行こう、スンダル」

寒い冬型の気圧配置が続いている 
1月のカトマンズと重なって かすみの向こう その記憶がある
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Bunkyo・・・?

2018-01-24 | エッセー

釣れんなぁ  暇つぶしやから 湾のおやじ達の無駄話
朝 新聞を読んでいるとお茶が出てくる そのあと朝食だ
よっこらしょと仕事に出かける それがある日から出かけない 定年退職だ
居間でごろごろ 1週間 10日 粗大ゴミとなり かぁ~ちゃんのきつい視線が飛ぶ
うぅ もう耐えられん 釣り道具を持って湾へいくしかない 暇つぶしやから
ようぅ降るなぁ やる事がない 暇つぶしやから ブログを書く

ユーザーサマリー・アナリティクスを時々見ていた
市区町村をクリックするとhong kong や puneも表示される
地元だからやはり福岡 北九州が多い 次は pune hong kongとなっていた
毎日変動するので あぁそうかとしか思わない
継続しているのが Bunkyoだが よおぉ分からん 国をクリックしてもそれらしい国はない
日本にそんな地名があるのか アクセス数が10だったりする 益々分からんようになっていた
Bunkyo バァンキョウ バァンキョウ バァンキョウ しばらくほっておいていた 分からんから
英和辞典で調べた ない 何故ないのか 語幹はBunkだろう 名詞の語尾変化にyoはない 
じゃ何語なのか 検索入れてみるか
なぁ なぁ なぁ なぁ~んとでた 文京区 と
オ~~マィガァ~~~ 

閲覧者代表
あのねぇ そんなつまらん事でブログ投稿しないでよ みんな忙しいんだから

すんまへぇ~ん これから暇つぶしも考えてみます


 

 
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逃亡・終章・・・6    最後の望

2018-01-22 | ドラッグの深い闇・終章

 ぼくが通路に出て煙草を吸っているとスンダルが寄って来た。彼は管理官の言葉として3000ドルを出せばサインするとぼくに伝えた。ぼくにはもうそんなお金はない。もし彼がぼくのお金を使っていなければ2000ドルは残っていたはずだ。それとデリーを出発する前マリーの助言でインド・ルピーをブラックでドルに逆両替えした1900ドルがある、そのお金で何とか払う事も出来たのだが今ではもう無理な話だ。
 午後に入ると管理官はぼくを呼んだ。彼は申請書をぼくに戻し2階へ行ってトップのサインを貰ってこい、それが出来たらビザは出せると言った。ぼく達はトップに会いに彼の部屋へ向かった。彼はぼく達に会ってくれた。温厚な顔をしたネパール人だ、もしかしたらサインをしてくれるかもしれない、事情を説明しながらぼくは期待をふくらませた。


朝から雨が降っている 明日から3日間雪のマークだ
東京は大雪になりそうだ 首都高速から湾岸線へ向かう途中
木場を過ぎた所で車が進まなくなった 雪が降り続いた
八王子へ向かったときはチェーンを装着していない車だけ用賀で降ろされていた
車を端に寄せてチェーンを巻いたことがある 仕事だからいくしかない
45度を超えた異常熱風は体験している 北海道の氷点下20度は理解できない
それは業務用に設定された温度ではない 日常生活で受け入れなければならない 
と言う点についてだ

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逃亡・終章・・・5    冬の嵐

2018-01-08 | ドラッグの深い闇・終章

 夜、夕食が終ってホテルへ戻るとき、冷たい雨が降り始めた。夜中になると雨は激しくなり冬の嵐になった。この嵐では明日スノウリとの電話線は使えないだろう。運はまだぼくを見捨てていない。
 朝、嵐は去っていた。良い天気になりそうだ。昨日の午後からぼくは神経性の下痢に苦しめられていた。1時間ごとにトイレに入りスタッフを吸うのだが下痢は止まらない、だらだらと流れ出た。昨日の事がある、スンダルは朝早くぼくを迎えに来てくれ9時には事務室に着いた。スノウリとの電話線がどこかで断線している、管理官の態度で分かった。ネパールの事だ回復には時間が掛かる。
「入国の確認ができるまで待てない。申請書へサインをして下さい」
ぼくは管理官に食い下がった。スノウリとの連絡がとれず入国の確認が出来ない彼はぼくへの理解を示し始めた。「スノウリを通った事を証明できるもの、又はスノウリから乗った夜行バスの半券でも良い、何でも良いから出せ」と管理官は言ってくれた。だがぼくは逃亡者だ、国境の町スノウリに長時間滞在することは危険を伴なう、車をチャーターしてカトマンズに来ているのだ、スノウリにいた事もそこから来た事も証明できるものは何もなかった。「それが無理だったら大使館の証明書を持って来い」と彼は付け加えた。デリー中央刑務所でぼくが依頼した弁護士と保釈を進めていた時、大使館からの手紙でどんな事情があろうと大使館、又大使館員が個人の身元保証人になることはないと言われた。ネパールの日本大使館もこれと同じ立場をとるに違いない。

朝から雨が降っている 
明日 強い冬型の気圧配置になり数日続くとの予報 有り難くない
湾でのイカ釣りはお休みになりそうだ
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或る正月    デリー

2018-01-01 | エッセー

 今、十二時になった。ハッピーニューイヤーだ。本当に此処で新年を迎えてしまった。外では花火が盛大に打ち上げられている。Cバラック内ではアフリカンのミサが始まった。浮かれたお調子者が眠っている奴を次々と叩き起こしハッピーニューイヤーと声をかけた。眠りを破られた奴は機嫌が悪い。
「ハッピーニューイヤー?馬鹿野郎」
と怒鳴って又眠ってしまった。紅白歌合戦も日本料理、お酒もないそれでもやはり新年だ。朝、起きたらいつもと変わらない収監者の退屈な一日が始まるのだろう。一日は一日として刑期の日数に加算される一日となる。まだ多くの収監者が起きていた。何も起こらない、何もない。アフリカンのミサの祈りだけがまだ続いていた。
   一九九五年一月一日
   新年、元旦。
 明けましておめでとうございます。
誰に言うでもなく日本語で言いそして書いた。日本を出て何回目の正月だろう、楽しい思い出を残した正月はあっただろうか。九一年はカトマンズだったと思う、九二年、タイランドのチェンライ、九三年は聖地リシケシ、九四年はデリー、九五年もデリーだけど刑務所とはまた変った場所だ。

おいちゃん あけましておめでとうございます
おぅ おぅ おめでとう
えぇ~天気やねぇ 
おぅそうやぁなぁ ほれぇお年玉やぁ(しょうがなかぁ~)
おいちゃん ありがとう そいやけおいちゃん好きなんやぁ(しょうがなかぁ~)
遊びにいってこい とガキを外へ出し ちび々と呑むおいちゃん 正月の酒はうまかぁ
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