ガンジス・河の流れ

インド・ネパール。心の旅・追想

ドラッグノート・・・5    日本へ

2017-09-25 | ドラッグノート

今回の旅、喉で3回も熱を出した。今も嫌な咳をしている、痰も出ないのに喉の奥がヒュー々とむずがゆい。朝、痰を出すときのきついこと 前回も終わる頃そんな症状だった。
バンコクではガンジャをやめてホワイト・パウダーでトリップしていた。
束の間の実在界か
日本へ帰るという実感がまだ湧いてこない
日本へ帰るのか、あの日本へ・・・
雨になった どういうわけか昼前に一本 火を点けてしまった
丁度いい天気なのだが 雨はそう長くは降るまい
日本はぼくが出たときと同じ事情なのだろうか
あらゆるものが遠いぃ ぼくは遥かな地点まできてしまった
夕食後 茶屋でひとりチャイを飲んでいる
何故か強く日本へ帰りたいと思った
日本へ帰りたいなぁ~と・・・
                8月30日 カトマンズ
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ジャンキーの旅・逃亡・・・21

2017-09-20 | 5章 ジャンキーの旅  逃亡

 午後、迎えにきてくれたスンダルのバイクで彼のアパートに行った。日本から荷物を送った時に使ったダンボール箱と2つのビニール袋にぼくの荷物は纏められていた。荷物の多くは衣類と本でそのまま彼に保管してもらうことにした。ぼくの安全が確かめられカトマンズに戻ってくるまでの間、とぼくは彼に言ったがもうここへ戻ってくることはないだろう。ぼくが日本へ持ち帰る物は別のビニール袋に入れた。友人からの手紙やノートそれに約150gの金と日本円だけだ。お金を調べてみると約1200ドルが不足していた。カトマンズの電話普及率は低い。一般市民には手が出せないほど高いと聞いた事がある。店に電話は必要だろうがアパートにも電話を引いていた。バスルームにはホットシャワー用の電気製品があり、何の目的で借りたのか別に広い事務所を用意していた。それらは全てぼくのお金から支払われたのだろう。ぼくの逮捕を知り保管したぼくの荷物の中を調べていたら、ネパール人の彼にとっては高額なお金が入っているのに気がついた。彼はデリー刑務所に収監されているぼくがカトマンズへ帰ってこられるだろうか、帰って来られないかもしれない。ぼくのお金を前にして彼は煩悶し、お金を使うことに迷い苦しんだに違いない。お金を使ったスンダルをぼくは責めることが出来ない、ぼくは何も言わなかった。ぼくがトリブバン国際空港から離陸するまで彼の助けがどうしても必要だ。ストーブと灯油用ポリタンクを持って彼のバイクの後部シートに乗ってぼくはホテルへ戻った。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ジャンキーの旅・逃亡・・・20  露天商のケダル

2017-09-12 | 5章 ジャンキーの旅  逃亡

バサンタプールはニューロードに沿った縦長い広場だ。そこに多くの露天商が店を出している、が何処に店を開くかは決まりがある。ニューロード側の前1列目から順次3列まである。ぼくが立ち上がるとチビとキングも起き上がりぼくの後ろからついて来る。ケダルの店は1列目の右から4~5軒目にある。ツーリストの買物客はニューロードを歩きながら土産物を見定めていく、前の列には商売のチャンスが多いと言える。この時間、ケダルは木の台に商品を並べるのに忙しい。ぼくはケダルの店に毎日のようにきていたのでどこに何を並べるか大体知っている、手伝う事もあった。彼がぼくに気づいた。にっこり笑顔でおはようございます、と言ってぼくの手を握った。
「いつ帰って来ましたか?今回は長かったですね」
彼も日本語学校に通っていた事があり流暢な日本語を話す。ぼくが外国語学校でネパール語を勉強していた時は彼から教えてもらっていた。
「昨日、インドから帰って来ました」
そうですか、と言いながら彼の作業の手は止まらない。カトマンズの旅行シーズンは3月からだ、寒い1月に店を開いても売れない日が続く、それでも毎日店を開けて客を待つしかない。また来ます、そう言ってぼくは露店の間を歩いてホテルへ向かった。チビとキングはいつものチャイ屋のところまでぼくを送ってくれた。

何度かつくつくぼぅう~しの鳴き声を聞いた
秋はもうそこまで忍び寄っているのかもしれない
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ジャンキーの旅・逃亡・・・19  スタッフは甘くない

2017-09-05 | 5章 ジャンキーの旅  逃亡

スタッフを吸う量も回数も減らしている。これを減らし続けて数値を0にすればスタッフの禁断なしに中毒から抜け出せるとスタッフを知らない人は思うだろう。スタッフはそれほど甘い薬物ではない。一度体内に入れたスタッフはその量に見合う禁断という苦しみを代償として払わなければ抜け出せない。スタッフが足りなくなればカトマンズでも少量なら買うことが出来る、値段はデリーの倍だが。カトマンズはやはり寒い、布団に潜って寝るしか別にやることはない。明日、スンダルのアパートへ行って荷物の整理をする。ついでに保管してあるぼくのストーブを持ってこよう。
 朝、広場へ行った。広場の手前の角に露店のチャイ屋がある。ぼくは毎朝そこで朝食をしていた。さっそくチビとキングが駆けてきてぼくにじゃれてくる。よく見るとキングは皮膚病に罹っている。以前は綺麗な白い毛だったのに毛が抜けてピンクの皮膚が露わになり傷ついていた。あまり汚くてぼくはキングを蹴飛ばした。キャン、キャンと泣きながらもぼくにじゃれついてくるキングを見た。可哀相なことをした。チャイ屋の木の長椅子に座ると2匹はぼくの後ろでごろんと横になった。そこは人の通り道で邪魔になるのだがネパール人は犬を蹴飛ばしたりしないで避けて通る。犬だって突然、蹴飛ばされたら怒って人間に咬みついてくるかもしれない。狂犬病に罹っている可能性がある。揚げパンを買った。まずキングに食べさせる。その後チビに食べさせようとするのだがキングを恐がって食べようとしない。ウーとキングは唸ってチビを威嚇している。ぼくがキングの頭をげんこつでぼかっと殴ると奴はキャン、キャンと悲鳴をあげた。その隙にチビはパンをくわえて物陰へ逃げて食べていた。

ふっと気がつくと夏蝉の鳴き声がない いつからだろう 季節は変わりつつある
初秋の使者つくつくぼう~しの声が向こうの山から聞こえてくる
また ひと夏が終わったと安堵する その鳴き声はまだしない
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする