ガンジス・河の流れ

インド・ネパール。心の旅・追想

第3話 出店のババ・・・6 ガンジャとチャラス

2015-11-28 | 第3話 出店のババ



 ババは手にチラムを持ってガンジャしかないけどそれで良いかとぼくに聞く、が本音はチャラスが吸いたいのだ。だがババはチャラスをぼくに売ってしまって手持ちがない。しょうがないのでぼくはチャラスと煙草をババに渡した。良いのかと口では済まなさそうに言っているがババはいそいそとチラムを作り始めた。
 ガンジャとチャラスは同じ大麻からつくられるが効きがちょっと違う。グラス(大麻)の中でも強い弱いがある。タイのブッダグラス(ブッダスティックとも言う)のように強烈な効きをするグラスもある。が一般的にはソフトな効きで音楽を聴いたり、何かを考えるたりするにはちょうど良い。ただグラスだけを吸っているとどうしても喉をやられてしまう。グラスを燃やしたときに出る煙りの成分が喉の粘膜を傷つけるのではないだろうか。喉の炎症は40度近い高熱をともないぼくは何度か抗生物質で解熱したことがある。
チャラスはグラスの樹脂を固めたものでグラスよりはそれなりに強い効きをする。グラスを吸ったときの身体の軽さと思考の自由さと比較すると、その両方に対してヘビーに作用する。シバ神は蓬髪し目は酩酊した修行者の姿で描かれている。サドゥの姿である。サドゥ達の一部はガンジャを吸うことが修行と考えそれを通して悟りと解脱をめざす。ガンジャを吸うことは宗教的に認められているし、最近少なくなったが以前はベナレスやブッダガヤ等でも州政府のガンジャ・ショップがあった。サドゥ達のガンジャ採取と吸引については問題はないようだが、チャラスに対しては製造や売買と吸引は禁止されているのではないだろうか。別館下に住んでいる若いサドゥは身体の傷跡をぼくに見せて、山でチャラスを作っているところをポリに捕まり激しい暴行を受けたと言った。マントラババと村や町にチャラスを買いに行ったときもババは頻りにポリを気にしていた。サドゥ達は山にガンジャを採りに行ったついでに、ポリの警戒の目を盗んではチャラスを作って持ち帰っていた。

検索からの訪問で最も多いのがこのページ 毎日10位似内に安定して読まれている
第3話 出店のババを書いたのは10年前だと思う gooの画像編集機能はなかった
今回 更新し画像を変えた 文章の訂正は行っていない 
が後日もう少し書き加えようかとも思っている
(検索からの訪問が多いページは更新していく予定)

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第3話 出店のババ・・・10  大金50ルピー

2015-11-20 | 第3話 出店のババ

 4月も後半となるとヒマラヤの取っつきに位地するリシケシでも暑さが厳しくなった。
出店のババが店を開く時間も午前中と夕方になっている。陽射しが強い午後は人通りも少なく商売にならないからだ。朝、ババに会うとやけに機嫌が良い、何かあったのかと聞くとババはエックモゲが50ルピーで売れたと嬉しそうだ。エックモゲとは菩提樹の実で一本の割れ目が入ったあの卑猥なもので値段は付けられないと言っていた逸品だ。よく売れたものだが、この河畔沿いの道を通るインド人で50ルピーを払える者はそういないだろう。ここ数日ババの商売はあまり良くない、お金にいき詰ったババは参道の数珠屋にでも持ち込んで売り捌いたのではないだろうか。
「ババ、アッチャー・ビジネス・ハィ」(良い商売をした)とぼくが言うと、仕入れ値を割って利益はないとババは渋い顔をしている。まあそれでも最近にはなかった大金50ルピーを手にしてババの機嫌が悪かろうはずはない。しかしこの50ルピーも1週間もしないで散財してしまい、またお金に行き詰まってしまうのではないだろうか。これから5月の熱暑に入り8月の雨季が過ぎるまでリシケシでは商売にならない。涼しい高地にある聖地への移動が待っている。

 

 昼飯を作るから食べていけとババが誘ってくれた。アシュラムの食堂は信者で溢れ順番待ちをしなければならない、ババ達とここで昼食をすることにした。野菜はこの頃からそろそろゴビ(カリフラワー)のシーズンで近在の村から運ばれてくる。荷車で売りにくるのを天秤ばかりで買うがどの八百屋にいってもゴビ一色になる。食堂も同じでちょっと変ったサブジ(野菜のカレー煮)を食べたいと何軒か回ってみるが「キャー・サブジ」(何の野菜?)「アル・ゴビ」(じゃが芋とカリフラワー)と愛想のない食堂の兄ちゃんの返事がくる。
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第3話 出店のババ・・・5  神秘的な卑猥さ

2015-11-18 | 第3話 出店のババ

 毎日、暇があるとババの店へ通い続けている。戦後といっても今の若い人には分からないかもしれないが、日本でもやっとテレビが一般家庭に普及し始める頃まで地方の村や町に怪しい露店が出ていた。何やらいわく因縁浅からぬ品物を並べて口上を述べ客を集めていた。ババの商売にはそんなところがある。二足三文の品物から「これは売らない、値段の付けようがない」という珍しい、興味ある品物も置いてある。その中ですごい物を見つけた。菩提樹の実で縦の線が1本しかないとても珍しいものだ。菩提樹の実は前後縦に少し出っ張った2本の線がある。2本の線が普通だが稀に突然変異したのか3~5本の線を持った実がある。この実は仏教でもヒンズー教でも大切な数珠に使われる。実には大小があり極小さい粒で作られた数珠は高価であった。
普通の粒はまとめて売っているが、3~5本の線を持った粒は別の入れ物に入れられていた。それなりの値段が付けられ特に高値がつくのは5本の線を持った粒だった。今ババが
持っているのは極めて稀な1本線である。ぼくは良く数珠屋に行っては珍しい粒を見せて
もらっていたが1本線を見るのは初めてだ。
インド人は金になると思えば粒に手を加えて線の数を細工することくらいお手の物で、この1本線が自然のものなのかどうかは何とも言えない。しかし、もしこれが細工だとしても芸術的価値は下がらないだろう。
 粒は親指の先ぐらいの大きさで縦の割れ目を除いて全面に丸く小さな突起物がある。粒の上から真下へ1本の割れ目があり、その割れ目に寄り添うように官能的なふくらみがある。何ともいえない卑猥さをただよわせ、割れ目のふくらみが今にもぬめぬめとふるえそうである。ついぼくの下半身の逸物が勃起しそうであった。割れ目をじっと見詰めるぼくを見てババはニヤリと笑っている。これは幾らだ、と興奮して聞くぼくに、これには値段は付けられない、と澄ました顔でババは答えた。
 法螺貝はビシュヌ神の持ち物の一つでありビシュヌ寺院には必ず奉納されている。ババの法螺貝は古代のものらしい。大きい法螺貝の胴の真中に突起物があるが、それがリンガ(シバ神の象徴、男性性器)の形をしている。胴のうず巻きは下部から右回りの波状に広がり神秘的な模様を描いている。これも値段はない。ババとぼくが真剣な顔をしてやりとりしているのを露店の両替ババが見て、あんたも好きだねという顔をして笑っている。
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第3話 出店のババ・・・8  ポリ・カミン・ヒィァ~

2015-11-16 | 第3話 出店のババ


ぼくを受け入れてくれたババたち

ポリはぼくと出店のババのところへ一直線にやってくるではないか。
「ババ~、ポリ・カミン・ヒィア~。アッチャー・ナイ」(やばい)
ババは何をそんなにびびっているんだお前はという顔でぼくを見る。
「どうするつもりだ、俺はしらねぇぞ」
とその場を離れようとするとババはぼくの腕を捕まえチラムに火を点けろとぬかしやがった。
バカ野郎、どうなってもしらねぇぞ~。
ノープロブレム、とババは澄ました顔で言う。奴は状況を理解していないのか?
ババはもう1度ノープロブレム、火を点けろと言ってマッチをぼくの膝の上に投げた。チラムに火を点けたくらいでは逮捕はされないだろう、諦めてぼくがマッチを取ると
「オーム・ナム・シバ」
ババはシバを讃える。ぼくはチラムに火を入れた。ちょうどその時、カーキ色の制服を着た男はババの前に
「どっこいしょ」
と声に出して座りやがった。

ノープロブレムと不条理(10月24日掲示)へとつづく・・・
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出店のババ・・・7  やばいポリが来た

2015-11-15 | 第3話 出店のババ

 

 夕方、ガンガ河辺に坐っていると上流からヒマラヤの涼しい風が吹く。「もう1本吸うか?」とババの誘いに夕方の瞑想が残っているぼくはちょっと迷った。サドゥはチラムを吸って深い瞑想をしている。よし、ぼくも1本吸ってやってみよう、どんな瞑想ができるのか楽しみだ。まだ瞑想まで時間がある
、ババにチャラスと煙草を渡した。小道を挟んだ右前に露天を出している両替ババに今日の商いは良かったのか「ババ、ビジネス・アッチャーハイ?」とぼくが聞くと最近仕入れたおもちゃをピィピィ、ピィピィと返事代わりに鳴らしたが、ババの機嫌は悪くはなさそうだ。両替ババの方を見ているとその後ろがちょうど本通りから下りてくる階段が見える。リシケシの町へ行く人間は本通りを避けてその階段を下りて河辺の涼しい小道を通る。今、階段を下りてくる数人の中にカーキ色らしい服を着た男がいる。どうもその男はぼく達を見ているのではないだろうか、河辺に下りてきた。奴の視線はさっきからぼく達に向けられて近づいて来る。ぼくはその男の服をもう1度はっきり確かめた。ヒェ~~~これは完璧にやばい
「ポ、ポ、ポリがきた。ババ、ポ、ポリだ」
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ノープロブレムと不条理・・・9

2015-10-24 | 第3話 出店のババ

 ババは吸い込んだ煙を男の頭の上へ向けてはき出す。男は「ど~れ」と言ってババからチラムを受け取ると、がぼっとチラムを吸いやがる。ぼくはじろじろと男を見ていたが、どう見てもこの男が来ている服はポリの制服だ。しかしチラムの扱い方、吸い方は素人ではない。ぶおっと口から煙をはき出すと
男はぼくの方を向いて「ほれ」とぼくにチラムを渡そうとする。ぼくは手を引っ込めた。これは罠ではないのか?奴からチラムを受け取ったらまずい、まずいに決まっている。ぼくが奴からチラムを受け取り吸ったところで御用だと捕まるかもしれない。ポリは自分で吸ってぼくを安心させ逮捕へ誘導しているのではないのか。ぼくはボスと言ってパスした。可笑しなジャパニーだな吸わないのかという顔をして奴はババにチラムを渡した。お前、何で吸わないのかとババも不信そうにぼくの顔を見る。ポリは2服すると「さて」と言って立ち上がりババと二言、三言話すと町の方へ歩きだした。
 しかし何なんだあの野郎は、本当にポリなのか?ぼくはほげっと奴の後姿を見送る。早くチラムを回せ火が消えるとババの催促を聞いてぼくは我に返った。奴がいなくなってやっと吸う気になったぼくはババから回されたチラムを持っていた。あのポリの気合が入った吸い方に気後れしたぼくは少し落ち込んでいる。
「あの男は本当のポリかババ?」
と聞くとそうだと言う。インドとはおかしな国だ。ポリが制服を着て堂々とチラムを吸う。その制服を着た全国組織の中央であるデリー警察のポリの手によって、ぼくは2年後デリーで逮捕されることになるのだが、こんな不条理があって良いのだろうか。ノープロブレムのインドというのはこういう事なのか。ぼくは夕方の瞑想をするためアシュラムへ向かった。
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さようなら・ババ・・・13  (第3話・出店のババ終り)

2005-03-08 | 第3話 出店のババ
 5月に入ると熱さは耐え難いほど厳しいものになった。と同時にババの商売も厳しさを増しているようだ。別館下へ行くとババは1人で走り回っていた。そんなババの動きを他のサドウ達は冷めた視線で追っている。ババは長い棒を手に持つとガンガの中へ入って行った。河の中には浮いた飛び石がありその上にババは乗って流れてくる供物舟を棒で引き寄せようとしている。直径50センチメートルくらいもある大きな供物の流し舟だ。ここリシケシでは滅多に目にしない大きな供物舟に何か金目の物が入っているに違いないとババは思ったようだ。長い棒で供物を引き寄せることに失敗したババは服を脱ぎ腰巻ひとつで泳ぎだした。インド人が泳ぐのを見るのは初めてだ。どこで泳ぎを覚えたのかババの動きはぎこちないが、それでもやっと供物舟を岸へ引き上げた。供物の花を横へ出し舟の中を調べるババ、だが何も入っていなかった。花を元へ戻し舟を再びガンガに流すババは少し照れくさそうに皆の方を振り向いた。小柄で痩せたババの身体は悲しそうに見えた。
 ガンガ沿いの小道を歩く巡礼者の数がめっきり減っている。これでは商売にならないだろう、素人のぼくの目で見てもはっきりそれが分かる。ババは時々、シュリナガールという聖地の名を口にするようになった。リシケシの上流にあるらしいがどんな聖地なのかぼくは知らない。何度かババはそこへ行っている様子で商売のことを考えているのだろう。まだそこへ行くには時期的に早いと思っているのか、その前に1度ハルドワールへ様子を見に行くと言った。
 ハルドワールはリシケシから20㎞くらい下流にある有名な聖地だ。町とガンガを見渡せる展望台があるがそこへは何とロープウエーで行けるのだ。聖地であると同時に観光施設も整いインド人に人気のある町だ。ガンガ沿いには寺院とガートが並びそれに土産物店や露店がひしめいて商いをしている。リシケシはサドウにとって大切な聖地と言われているだけに一般巡礼者の参拝は少ない。ハルドワールを巡礼するのなら距離的に近いのでついでにリシケシもという巡礼者が立ち寄っていく程度の聖地だ。吊り橋のラムジュラとガンガの渡しボートがあるくらいでダラムシャーラ(巡礼者宿)も土産物店も少ない。ここで商売にならないからといって流れの露天商がハルドワールへ行って店を開くのはそう簡単なことではない。乞食でさえ座る場所が決められているくらいなのだから。
 出店のババは明日の10時頃ハルドワールへ出発するとぼくに言った。商売ができなければ生きてはいけない。ババと一緒にいたいがババにはババの考えがあるだろう、ぼくにはそれを止める理由はない。夜、ぼくはパパイヤを1個持って別館下へ行った。ババとの最後の夜だ。チラムが回る。ガンガの涼しい風がぼく達に優しい。シャンボー・・・
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ガンガ河畔・夕方のババ・・・12

2005-03-07 | 第3話 出店のババ
 出店のババの今日の売り上げはたったの2ルピーだ。ババはぼやくぼやく。若いインド人のグループが覗きにきたのでミニパイプを2個1ルピーで売ってやった。このミニパイプはインドのニコチンが強い煙草はとても吸えないだろうと思ってぼくが日本から持ってきたものだ。せっかくインド人に売ってやったのにババはちっとも嬉しそうな顔をしない。あんまり可哀相だったので売り上げに協力してやろうとケースの中を見ているとぼくの誕生石であるムーンストーンの指輪があった。値段を聞くとババはパイサ・ナイ(お金はいらない)と元気がない。かなり落ち込んでいる。貰った指輪を左手の薬指にはめていると左手にするなとババから怒られた。左手はお尻を洗う不浄の手だ。ババ達は右手に指輪をはめている。
 ババのぼやきも良く分かる。この炎天下、露店を開いて1日の売り上げがたった2ルピーにしかない。夕方6時過ぎまで店をやって得たお金2ルピーと言えばチャイ1杯分の金額だ。それでもババは店を片づける頃には深刻そう顔をしていない。明日は明日で何とかなるさ、くよくよしてもしょうがない。そんな気持ちの切り替えの早さ、それが出来るからこそ、この過酷なインドで生きていける。しかし、あのガンガの水をよく平気で飲めるよ、冷たくて美味しいのかもしれないがボウフラが湧いている。洗濯もすればトイレの後その場所で手も洗う。水道も電気もない野宿生活ではガンガの水はババ達にとって聖なる水に違いない。ガンガに吹く風は涼しい。厳しい顔をしたババも無事に過ごせた1日を夕陽と神に感謝する。毎日がキャンプのような生活だ。いい年をこいた親爺3人がチラムを吸いながら夕食の用意をしている。いつ食事が出来上がるのか分からないが、何も急ぐことはない。ガンガのようにゆったりと時間は流れていく。
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カレーを作るババ・・・11

2005-03-05 | 第3話 出店のババ
 買物も済み料理の準備はできた。さあ始めようという段になって、まあ一服しようとババ達の意見が一致しサブジを作らないでチラムを作りだした。これじゃいつ昼飯になるか分からないと思っていたが案の定そのとうりになった。
 チラムの中には当然チャラス(大麻樹脂)が煙草と混ぜ合わせて入れてある。それを吸えば効いてくるがその状態をトリップするという。トリップにはハイとダウンがあるがその時の意識状態を示す。トリップすると意識は集中と拡散をくり返すように思われる。3人のババ達はチラムを吸ってトリップしている。1人は粉を練ってチャパティーを作っている、もう1人はニンニクを残りの1人は玉ねぎを、とそれぞれ料理の準備をしている。ババ達は手許に目を向けて集中しているかと思うと、あらぬ方を見ていたりする。ふっと我に返ると今、自分が何をしていたかに気がつくと作業を進める。1人のババは立ち上がると枯木を竈の近くに寄せだした。後で火をおこすのだから必要な作業である、誰もそのことに注文はつけない、ババは持ち場へ戻ると作業を続行する。ババ達は自分の分担作業が終るとそのままおっぽり出している「ババ、カナ」(飯)とぼくが言うとババ達は「おう、そうだ」それっと料理をやり始める。そんなことをくり返してやっと昼飯になった。両替ババはチラムを吸わない、皆のおかしな動きを見てはにやにやと笑っていた。
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オーム・ナム・シバ・・・4

2005-02-24 | 第3話 出店のババ
 ジャパニーババ・スターティング?(最初に吸うか?)と聞いてババはぼくにチラムを渡そうとするが、ノー・ノー、ババ・スターティングとぼくは遠慮する。
「オーム・ナム・シバ」
ババはシバ神を讃え祈る。ぼくはマッチの火が消えないように両手で囲みチラムのヘッドに火を近づける。チラムは右手のひらに添えその上から左手を重ね、左手の親指と人差し指の間につくった吸い口に唇を押し当てる。火が近づくとババはチラムを吸い始める。ババが吸うとマッチの火がチラムのヘッドの中へ吸い込まれる。チラムのヘッド上面に火が広がるようにマッチの火を回す。ババの力強い吸い込み終わるとチラムの上に炎があがる。ババはチラムをぼくに渡す。ヒンズー教徒ではないがチラムを吸うときは一応
「オーム・サンカール」
とぼくもシバを讃える。ぼくが吸っていると出店のババの知り合いだろう1人のババが加わり3人で吸った。前を通るインド人達の批判的な目を感じる。
 効いた。ぼくは後ろに立てた両腕に上半身をあずけぼうっとババの動きを見ていた。ババはケースの中の品物を出したり入れ替えたり法螺貝を拭いたりしている。何か意味がありそうな動きなのだが何も変っていない。つい笑い出したぼくを見てババも笑っている。チラムを吸うと財布の紐が弛むぼくは、これは幾らだ、それは何だと聞いている内に水晶、赤珊瑚と菩提樹の実を買ってしまった。
チャラス50ルピー、その他50ルピーがぼくの支払い、ババは良い商売をした。ぼくはこれから第2瞑想があるアシュラムへ戻らなければならない。
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