ガンジス・河の流れ

インド・ネパール。心の旅・追想

第12話  インドと牛・・・4   バザールの牛

2015-09-09 | 第12話   インドと牛
ニューデリー・ベジタブルバザール
バザールで所在なげに反芻する牛
昼下がり 居眠りこっくり八百屋の親爺
「がぽぉ~~」
野菜をくわえた牛は頭を左上へ振り上げた
「あぁ~~こぉ~ぉ~~らぁ~」
大きなお尻を振ってとん走する牛
「あいつはなぁ~~気ぃつけとったんやがなぁ~」
「あぁ~~ぁ~バナナ バナナやぁ~」
「がぽぉ~」
「バナナやも きぃつけんと あかんでぇ~」
と呟く八百屋の親爺。

早朝、ぼくがチャイ屋へ向かってバザールを歩いていた時、牛の尻を細い棒でペタン、ペタンと叩く兄ちゃんを見た。何をしているのか?牛をある方向へ追っているように思える、興味を持って後ろからついて行くことにした。広いベジタブル・バザールやメイン・バザールには沢山の牛がたむろしている、それらの牛はすべて野良牛だとぼくは思っていた。暫らくついて行くとバザールの外れの一角に出た、そこには子牛たちが囲まれている、そういう場所があったのか。母牛は子牛を見て張った乳房からミルクを出してくれる、そのあとは兄ちゃんの仕事だ。バケツを持ってきて牛乳を搾りだす、それが終ると身体が軽くなった母牛のお尻を兄ちゃんはポーンと叩いた。母牛はトットットッとバザールへ向かって戻って行く、また乳房をたっぷりと膨らませてここへ戻って来るのだろう、子牛の所へ。
毎日飲むチャイやヨーグルトはこのようにして供給されていたのか・・・
餌を与えていないから飼い主とは言えないだろう、しかし持ち主はいたのだ。


 
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第12話  インドと牛・・・3    睨み合う2頭の牛

2015-09-07 | 第12話   インドと牛

2頭の牛の間合いが3mぐらいまで縮まりお互いに睨み合った。
前から来たのが小娘の牛だったら押し出してしまうだろうが、
2頭とも世慣れした頑丈な熟女牛だ。どちらも後ろへ引く気配はない。
もしかしたら牛は後ろ歩きができいのかもしれない、まだ睨み合いは続いている。
路地の両側には商店が軒を並べている。
もしここで400㎏はあろうかという2頭の熟女牛が大暴れでもしたら大変なことになる。
が店のおやじは動じるふうでもなくしらっとした顔をしている。
さあどうする、とぼくは半分逃げ腰で成り行きを見守った。
緊迫した空気を破るように1頭の牛が動いた。
さあやるのか?と思っていると2頭ともその場にへたり込んでしまいやがった。
馬鹿野郎てめぇらぁ~どうしてくれるんだ。
兄ちゃんは慌てて自転車を持ち上げ向きを変えると来た道を戻っていった。
顚末を確かめる余裕はない、それ~とぼくも急ぎ足で遠回りをして郵便局へ向かった。
やっと郵便局へ着くとじゃばらのシャッターは閉められていた。
あの牛の奴めと頭にきたが相手が牛では文句も言えない。


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第12話  インドと牛・・・2  路地 2頭の牛

2015-09-04 | 第12話   インドと牛

 ニューデリー
メインバザールの表通りからベジタブル・バザールへ通り抜ける路地がある。
この路地はぼくにとって生活の場であり良く使う抜け道である。
毎朝、朝食をするチャイ屋や床屋等があり郵便局やバザールへ買物に行くにしても近いし便利な路地だ。
ぼくは午前中の郵便受付に間に合うように路地を急いでいた。
路地の中程を過ぎた辺りだろう前をぽっこりぽっこりと牛の奴が歩いていやがる。
あまり近づくといつ爆弾を落とされるか分からない、少し間合いを取って牛の後ろについていく。
下は石畳だ、牛の下痢状のうんこが落下したら1m四方に飛び散る。
牛は歩きながらでもうんこを落とすし、その後、長い尻尾をぶんぶん振り回しうんこが飛んでくる。
油断はできない。
そこへ自転車に乗った兄ちゃんがやってきた。
彼も急ぎのようだが牛を見て急停止した。牛の横を通り抜ける道幅はない。
このまま牛について出口まで行くか引返し急いで郵便局へ行った方が良いのかちょっと迷った。
が後15mくらい先に出口のバザールが見えている。
黙って牛の後ろからついて行こうと思ったその時、
何という事か前方の出口から1頭の牛がのそりのそりと路地に入って来るではないか。
前を見れば分かるだろうドジな牛め、すれ違いはできないんだよここは路地なんだから。
2頭の牛はそれぞれ前へ進んでいく。 
どうなるんだこれは、おいらは知らねぇ~ぞぅ~

久し振りの晴れ 兄とキス釣りに行った 小ぶりだが25匹の釣果



帰宅し駐車するとワンワンとお迎えするカイ君 カメラを見ると慣れていない彼は警戒しているようだ
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第12話 インドと牛・・・1   巡礼者・・・牛

2015-05-25 | 第12話   インドと牛

アシュラムの供養祭の間ぼくは真面目に修行する気持ちを失い別館下でさぼっていた。
夕方、吊り橋ラムジュラの上からガンガを見ると水の色が濁っている。
ここ数日天気は良くなかった。上流では激しい雨でも降ったのだろう。
山が迫り出して対岸の通りは狭い、そこを巡礼者が横に並びてれてれと歩いていた。
目の前を牛の奴が道の真中をのんびりと歩いてやがる。
ちったあ端の方を歩いたらどうや、気のきかん牛の奴と文句を言う。
後ろを振り向いた牛は首を持ち上げ、ふぅんという顔をする。
前にいるおっさんとろとろ歩かんとさっさと行けや、この田舎もんの巡礼者め、とぼくは悪たれをつく。
牛の野郎そんなところで糞をするんじゃない。
あぁ~ぁ 尻尾をそんなにブランブランと振り回すな、うんこが飛び散るやないか。
対岸の雑貨屋へ行くのに30分もかかってしまった。



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