靴下にはそっとオレンジを忍ばせて

南米出身の夫とアラスカで二男三女を育てる日々、書き留めておきたいこと。

整理、野心とインテグリティ

2012-08-19 00:16:08 | 今週の整理
1.一昨日はわいわいと集まる。里帰りだったり、バケーションだったり、親族が訪ねて来てたり、引越しだったりと盛りだくさんの夏を終え、久しぶりに顔を合わせる友人達も。持ち寄り料理を満喫し、話しに花咲かせ、わはははと笑い。赤ちゃんも4人!腕の中ですやすや、あの柔らかさを思い出す。雨上がりの道賑やかに近所の公園へも。自転車をこぎカヤックを漕ぐ。皆それぞれ走り回る日常に、こうして束の間集まりシェアできるひと時。楽しかった

2.アラスカ滞在中のベニーさんも顔を出して下さる。津波から1年半近く、東北からここアラスカの海岸へも様々な物が流れ着き始めている。その処理をどうするかを模索してらっしゃる。州政府や軍などともコンタクト取りつつ。フェデック○などの輸送会社が日本へ送り届けていると友人からの情報も。日本の大学で「アラスカ研究」のゼミを持つベニーさん、来年はアラスカのゴールドラッシュ時に活躍した日本人について描いたミュージカル「オーロラに駆けるサムライ~和田重次郎物語~」をアラスカで上演できたらと。

3.前回の「整理」に「綱渡り士のように」と書いた後、サイクリング。小川に沿った林を抜け公園にたどり着くと、本物の綱渡り士が・・・。木と遊具の間に張った綱、片足でバランス取ったり逆立ちしたり。上半身裸、筋肉の隆起。頭の先からつま先まで意識が行き渡っている。映像やサーカスで遠目に眺めたことはあれど、本物の綱渡り士にお会いしたのは生まれて初めてのこと。
子供達に手取り足取り渡り方を教えて下さる!「普段ショーなどを?」そんなことを聞く私に「いやいやこれは楽しみのためでね。こんなに楽しいことってありはしないよ。ほら見てごらん」集まる子供達の笑顔を指し示す。降り注ぐ日の光、鍛え抜かれた身体が輝いていた。

4.Integrityという英語を一言で訳すのは難しい。「正直」、「誠実」という意味に「統合性」、「一貫性」というような意味が加わり、「誠実であるとともに強固な倫理原則を維持できている状態」というような意味。「高潔」や「精錬潔白」などと訳されることもある。「強固な倫理原則」とは「どんな圧力にも屈しない道義心の強さ」、「内面的強靭さ」。こちらでa person of integrityと言えば最高の褒め言葉。

5.心理学者アッシュ博士がこんな実験をしたことがある。20人にAとBの線を見せる。Aは明らかにBより長い。ところが19人にBの方が長いとするようあらかじめ約束しておく。どちらが長いかと聞く。1人を除き、皆Bが長いと。19人でその1人を揶揄し馬鹿にし笑う。どうみたって明らかにAよりBが長い。それでも残り全員からそんな扱いを受け続けるにつれ、明らかに正しいはずのその1人も、やがてBがAより長いと言い始める。人間の心理のもろさを表す実験。integrityに到達するのはそうそう簡単ではない

6.ユダヤでは食べられるものと食べられないものが「法(トラ)」によって細かく決まっていて、ユダヤの食べ物は「コッシャー」と呼ばれる。コッシャーの食品はパッケージにUやKという文字が小さく記されていて、こちらではどんなスーパーでも手軽に購入できる。一般的な食品の多くに「コッシャー」の印がついているのに驚いたことがある。
コッシャーに含まれない海老などの甲殻類や豚など、食べられる自然の恵みは何でも美味しくいただく日本文化で育った私には、「コッシャー」はやはり「異文化」なのだけれど、その意味を知ることはインスパイアリングでもある
まず「コッシャー」の基にあるのが、あらゆるモノ(有機無機全て)には「神」の「きらめき(spark)」が宿っているというコンセプト。そしてそれらを「体内に入れる」ということは、それらの「きらめき」を受け継ぎ、自身を用いてその「きらめき」を世の中に還元するということを意味する。一方、「コッシャー」でない食物は「食べない」と選択することで、その「きらめき」がより生かされるという。
一つ一つのモノが一つ一つに特有の「きらめき」の形(性質)を持っている。例えば、牛は反芻する性質があるけれど、牛を食すことで、その「反芻の性質」を受け継ぐ。反射的衝動的に行動するのでなく、反芻し熟考してから動くという性質。
先日、「なぜ魚はコッシャーか」という話しを聞くことがあった。厳密には「ヒレとウロコを持った魚」のみが「コッシャー」。ヒレは「野心(ambition)」をウロコは「integrity」を表すとされる。ヒレ(野心)は進むためにプロペラ的な役割を果たし、前へ進ませる原動力、生きていくために必要な力。それでももしウロコ(integrity)を欠いていては「コッシャー」ではない。つまり野心とintegrityがセットになって初めてその「きらめき(性質)」を受け継ぐ(食す)ことが許される。integrityのない野心は崩れ落ちる と。
このような調子で、ユダヤではあらゆる食べ物が「法(トラ)」によって決まっている。あらゆるものに宿る「きらめき」を食すことで受け継ぎ、こうして生かされている、「コッシャー」はそんなことを思いながら恵みをいただく姿勢を、思い出させてくれる。

7.闇を突き抜ける者となれ


今朝は2kmの子供マラソンへ出場。子供達と一緒に走ってきます!

Have a wonderful weekend!

綱渡り体験

2012-08-19 00:15:07 | 出来事や雑感や (子育て)
林を抜けて湖に面した公園に出ると、

綱渡り士が逆立ちしていた。

やってみる?子供達に手取り足取り教えてくれる。

ほら、踏み出して。


片足上げてごらん。


順番に上4人。


頭の先から足の先まで、鍛え抜かれた身体、

楽しいからしているんだよ、ほら、と嬉しそうな子供達を指し示す。

日に照らされた笑顔、まぶしかった。