靴下にはそっとオレンジを忍ばせて

南米出身の夫とアラスカで二男三女を育てる日々、書き留めておきたいこと。

「早期教育」に思う

2011-10-05 03:21:22 | 子育てノート
早期教育を促す大きな理由の一つが「臨界期がある」という考え方だろう。

何歳から何歳までの間「だけ」特定の能力を司る脳の部分が発達する、その時期を逃すとその能力を獲得することができない、というもの。

例えば言語習得でいうと母語が3-5歳まで(by Eric Lenneberg)、第二外国語は16歳くらいまで(by DeKeyser)など。他にも様々な研究実験(ローレンツのインプリンティングや、ハッテンロッカーやヘンシュ貴雄によるシナプスについてなど)から「臨界期」を証明しようという試みがなされてきた。それでも結局証明には至っておらず仮説の域を出ていないとも言われている。(by榊原洋一)

個人的には、本当にやる気になりさえすれば、いくつになっても遅いということはないのじゃないかと思う。第二外国語習得についても「外国語が日常的に使われる環境に身を置き、高いモチベーションを持って聞き取りや発音などの音声的な訓練を長期間行なえば、10%以上の人がネイティブ並みといえる文法・発音能力を習得できる」(by David Birdsong)という研究結果もあるようだ。

結局この「高いモーティベーション、やる気」こそが重要なのじゃないだろうか。「やる気を潰さないように育てるには?」ということがもっと語られてもいいように思う。生き生きとした強い「やる気」を維持するためには?ということが。

と今はそう思っているわけだけれど、実は!私自身も早期教育を試してみたことがある。ドーマン博士(早期教育に広く用いられているメソッド提唱者)の本を読み、数を教えるドッツ法や赤ちゃんに読みを教える法、それに猛スピードフラッシュカード。結果はというと、1週間も続けることができなかった・・・。これは単に私が3日坊主ということもあったのだろうけれど、「とてつもない違和感」のためが大きかったように思う。

ドーマンのドッツ法は、白い正方形の紙に様々な数の赤いドッツがついているものを何度も見せていくうちに、どちらが多いかいくつかなどの数の感覚が身についていくというもの。読みの教え方は、家の各所に大きく文字を書いた紙を置いておき(「台所」「トイレ」「ドア」「鳥籠」などなど)、赤ちゃんがその地点に来るたびにその紙を見せる、すると赤ちゃんはその紙を見ただけで何を指しているのか分かるようになる=読むことができるようになる、というもの。

とにかく「もったいない!」と感じた。感性むきだしの敏感な時期に、こんな数や言葉に見たもの感じたもの全てを集約させてしまうなんて。台所は「台所」なんていう一言の言葉でおさまるようなものじゃない。シンクに積み重なった皿、カウンターに置かれたガラス瓶に反射する光、冷蔵庫を開けたときに感じる冷たさ、鍋から立ち上がる湯気の温もり、レモンをざっくり切ったときの匂い。「鳥籠」には黄色と青色のセキセイインコの鳴き声が満ちていて、抜け落ちたカラフルな羽が籠の隙間に張り付いていて。

どうせいずれ「台所」、「鳥かご」と片付けてしまえる時が来る。赤ちゃん時代まで前倒しして教えることは、固い大人の頭なんかでは想像もつかないほどほとばしる感性をそぎ落とし狭い枠に押し込める作業のように思えてならなかった。少し大きくなれば一時間もあれば学んでしまうことを一ヶ月かけて教え込み、その時にしか体験できないかけがえのない機会を無駄しているだけでしかない、そんな風に感じた。

親は子どもに最善を与えてやりたいと思う。しっかりした科学的な証明がなかろうともし本当にそれが子どものためになるかもしれないのなら(ドーマン法は元々脳に障害のある子どもの治療のために開発されたもので普通児への効果の科学的実証はされていない)、と私も試してみたのだった。だから早期教育をする親の気持ちも分かる。

早くから抽象的な数や文字を教えること、今は必要ないと思っている。それよりそんな小さな枠に入り込まないで今しかないその貴い世界を思う存分飛び回ってほしい。

シュタイナーなどは「7歳までは夢の中に」と7歳までの知的面の学習を徹底的に排除するようだけれど、私は自分の子どもたちをみていて4歳くらいから少しずつ抽象的なことを「自発的に楽しんでうまく使える」ようになってくるのじゃないかと感じている。それは子どもによって確かに様々なのだろうけれど(周りでも2歳で勝手に文字を覚えてしまった子もいる)。そして幼い頃は、抽象的なことを学んだのならその10倍は五感で体験する=遊ぶというくらいのバランスがちょうどよいように思う。

思いっきり野山を駆け回り五感をフル回転してとにかく遊んで遊んで遊ぶ、そして徐々に(家の場合は4歳くらいから)抽象的な概念や文字や数などを学んでいく、「自発性」「楽しさ」をコアに「やる気」を大切にしつつ。そんなスタイルが家にはちょうどよいように感じている。

まだまだ育児過程。知的面情緒面、子どもたち一人一人がポテンシャルをフルに生かし総合的に花開いていくには? これからも自身に問い続けていきたい。


参照:「臨界期仮説」「早期教育」ウキペディア、「Critical period hypothesis」Wikipedia
『子どもの脳の発達 臨界期・敏感期 ―早期教育で知能は大きく伸びるのか?』榊原洋一著

持ち回り育児2時間強

2011-10-05 03:20:06 | 子育てノート
友人2人と持ち回り育児を始めた。

週1回朝3時間だけ交代で子どもをみる。自分の番は3週間ごとに回ってきてあとの2週は子どもをみてもらう。

送り迎えにかかる時間をマイナスすると2時間強の時間が自由に。子どもが周りにおらず自由に集中できるまとまった時間が手に入るというのは、この12年間振り返り数えるほどしかなかったかもしれない。週に2時間、されど2時間、2時間の貴さをかみ締めながら。

こうして信頼し預け合える友人たちに感謝。

当番の日先週。

クッキーを作った。


全身見事粉だらけ!(笑)