鼠丼

神の言葉を鼠が語る

<782> 再び親父に手紙を書いた話 220912

2022-09-12 19:15:56 | 日記

 毎度!ねずみだ。

 お袋は、滅多にものを欲しがらない人だ。老人ホームに入ってしばらくは会話が出来ていたので、面会の際に何か欲しいものはないか、と聞く。「何にも要らないよ。お前の方こそ何か困っていないか?」と逆に心配されたものだ。
 骨折により数度入退院を繰り返し、欲しいものは?と聞くと最後には「お父さんに会いたい。」とだけ言うようになった。

 60年近く一緒に暮らした親父はすでにあの世に旅立っており、「それは難しい相談だね。」となだめるしかなかった。

 先だって、お袋の食事量が急に減った話を書いた。施設の方に聞くとどうやらお盆の頃かららしい。

 ふと思い当たる事が。
 お盆に親父に「夢の中で、会って話をしてやってくれないか。」と手紙を書いた時期に重なる。親父がお袋の夢の中に現れ「そろそろお前もこっちの世界に来ないか。」と誘ったのではなかろうか。
 親父に向こうの世界に誘われて、「食事量を減らせば、楽にそちらに行けるかも。」などと夢の中でお袋が親父と話した、そんな風に考えると、急にお袋の食事量が減ったのにも合点がいく。なんとも不思議な話だ。

 先週、急に施設に呼ばれて医者から「このままではそんなに長くはもたないかも。」と言われ、膝から崩れそうになる。

 施設からの帰り。親父の墓に行き線香をあげると、すぐさま手紙を投函したポストに急いだ。常設になっているようで、まだ古めかしい赤いポストはひっそりと佇んでいる。「親父さん、はやる気持ちは分かるがもう少しお袋を連れて行くのは待ってくれ。まだ心の準備ができていないよ。もう一度お袋の夢の中に行って、ちゃんと食べろとお袋に言ってくれ。」と書きなぐってポストに投函する。
 雲の上の公園の中、犬の散歩をしている途中に届いた息子からの手紙を読んだ親父は「はて、ではどうしたものやら。」と考えているかもしれない。
 まずは私の夢の中に出てきてくれ。じっくり話し合おう。親父よ、早まってはいけない。

 じゃ、また。