免疫細胞は神経を保護する
免疫細胞の一種のミクログリアは、慢性的な脳疾患(例えばアルツハイマー病と多発性硬化症(MS))を悪化させると広く考えられてきた。
クリーブランド・クリニックのブルースTrapp博士たちの研究によれば、ミクログリアは脳の発火の同期を助け、外傷性脳損傷(TBI)から保護し、慢性的な神経疾患を軽減するのを助けるかもしれない。
ミクログリアは、脳が損傷した後、または脳の疾患の間に最初に応答する細胞である。
Trapp博士のチームは、動物モデルにおいてミクログリアの活性化とその後のイベントを視覚化するために3D電子顕微鏡検査という高度な技術を使用した。
その結果、ミクログリアは化学的に活性化されると抑制性シナプス(inhibitory synapses)に移動することを発見した。
抑制性シナプスは脳細胞の間の接続であり、インパルスの発火を遅らせる。
ミクログリアはシナプスを取り払い(シナプス剥離; synapse stripping)、それによってニューロンの発火を増加させ、脳細胞の生存を増強するイベントのカスケードに導く。
学術誌参照:
1.抑制性シナプスのミクログリアによる置き換えは、成人脳で神経保護を提供する。
Nature Communications、2014;
http://www.sciencedaily.com/releases/2014/07/140722091603.htm
<コメント>
Abstractによれば、ミクログリアは抑制性シナプス前終末(inhibitory presynaptic terminal)を成体マウスの皮質ニューロンから引き剥がし(stripping)、抑制性GABA作動性シナプスの減少は皮質ニューロンのγ波における同調した発火を増加させたとあります。
NMDARによるニューロン活性化の結果としてカルシウムによるCaMキナーゼIVの活性化とCREBのリン酸化が起きて、脳損傷後の皮質ニューロンのアポトーシスが減少するようです。
![](http://www.nature.com/ncomms/2014/140722/ncomms5486/images_article/ncomms5486-f7.jpg)