SapC-DOPSによる転移性脳腫瘍の治療の可能性
シンシナティ癌センター(CCC)の新しい研究は、SapC-DOPSが転移した脳ガンの治療に使うことができるという望みを提供する。
リソソームタンパク質のサポシンC(Saposin C; SapC)と、リン脂質のジオレオイルホスファチジルセリン(dioleoylphosphatidylserine; DOPS)は、ナノ小胞(nanovesicles)を形成することが可能である。
それは癌細胞の多くの形態を目標として、殺す。
これら2つの自然な細胞の成分の組合せ(SapC-DOPS)は、癌細胞(脳、肺、皮膚、前立腺、血液、胸部と膵癌)に細胞死を引き起こしたが、正常な細胞と組織は殺さなかった。
「新しい標的治療は有望ではあるが、一次性腫瘍の結果として生じる多病巣性の小さい腫瘍、つまり微小転移巣を診断して効果的に標的にすることは困難であり、脳転移の治療を臨床腫瘍学で最も緊急のチャレンジの1つにしている」、Qiは言う。
「今回の研究で我々は、培養癌細胞と動物モデルで選択的にヒトの乳癌と肺癌細胞の脳転移を目標とするSapC-DOPSの能力を評価した。」
SapC-DOPSをナノ小胞で注入された動物モデルは寿命が延長し、脳腫瘍とその結果として生じる転移から完全に治癒した。
科学者は脳の免疫蛍光の画像診断により腫瘍の進行をモニターし、注射から24時間以内にSapC-DOPSが腫瘍を目標として作用し始めることを示した。
さらに、SapC-DOPSは培養した転移性の乳癌細胞に対して細胞毒性の影響を有することが示された。
学術誌参照:
1.SapC-DOPSナノ小胞の脳腫瘍に対するホスファチジルセリン選択的ターゲッティングと抗癌効果。
Oncotarget、2014年7月;
http://www.sciencedaily.com/releases/2014/07/140724112556.htm
<コメント>
通常ホスファチジルセリンは内側の細胞膜に局在していますが、脳腫瘍では外側に出ているので標的にすることができるようです。
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25051370
>We have shown that nanovesicles consisting of Saposin C (SapC) and dioleylphosphatidylserine (DOPS) are able to effectively target and kill cancer cells both in vitro and in vivo.
>These actions are a consequence of the affinity of SapC-DOPS for phosphatidylserine, an acidic phospholipid abundantly present in the outer membrane of a variety of tumor cells and tumor-associated vasculature.
2013年のSapC-DOPSについての関連記事です。
http://www.sciencedaily.com/releases/2013/07/130717164413.htm