夜の真っ暗闇は乳癌治療の成功の鍵
夜間に光に当たるとメラトニンホルモンの夜間の産生が妨げられ、乳癌はタモキシフェンに対して完全に抵抗するようになることが、チューレイン医科大学の研究者によって明らかになった。
チューレイン大学概日性癌生物学グループのスティーブン・ヒルたちはヒトの乳癌細胞をラットへと移植し、タモキシフェンの効果に与えるメラトニンの影響を調査した。
「研究のファースト・フェーズにおいて、我々はラットを数週間、毎日、明るい/暗いサイクルに保った。そのサイクルは12時間の光と、その後の12時間は真っ暗闇というものである(メラトニンは暗いフェーズの間に上昇する)」、ヒルは言う。
「次にラットを毎日、同じように明るい/暗いサイクルにさらしたが、12時間の暗いフェーズの間、夜にとても薄暗い光を浴びせた。薄暗い光でもメラトニン濃度は抑制され、この薄暗さはドアの下から来るかすかな光とほぼ等しい。」
メラトニンはそれ自体が腫瘍の形成を遅れさせ、著しく腫瘍の成長を遅らせた。
しかし、夜の完全な暗さによる高レベルのメラトニンと同時にタモキシフェンを投与すると、ラットの腫瘍は劇的に退行(regression)した。
夜間に薄暗い光に曝露させてメラトニンを与えたラットでも、同様に腫瘍は退行した。
「夜の高いメラトニン濃度は、乳癌細胞を『眠り』に至らせた。それは重要な成長メカニズムをオフにすることによる。これらの細胞はタモキシフェンに弱い。
しかし、ライトがついてメラトニンが抑制されると、乳癌細胞は『目覚めて』、タモキシフェンを無視する」、Blaskは言う。
学術誌参照:
1.夜の光への曝露による概日性およびメラトニン中断は、乳癌でタモキシフェン治療に内因的な抵抗性を引き起こす。
Cancer Research;
http://www.sciencedaily.com/releases/2014/07/140725080408.htm
<コメント>
わずかな光でもメラトニンの産生が阻害されて、乳癌の成長につながるというものです。
関連記事には、夜のシフトワークが癌のリスクを上昇させるというものがあります。
http://www.sciencedaily.com/releases/2013/07/130701190203.htm
>Long term night shifts linked to doubling of breast cancer risk
http://www.sciencedaily.com/releases/2013/03/130315074722.htm
>Night shifts may be linked to increased ovarian cancer risk
メラトニンの効果についての関連記事もあります。
http://www.sciencedaily.com/releases/2014/01/140128103117.htm
>Melatonin shows potential to slow tumor growth in certain breast cancers