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興味のある科学/医学ニュースを適当に翻訳していきます。

2014年7月2日

2014-07-04 23:43:14 | 医学

結核薬のための新しいアプローチ



現在、年間140万人が結核で死亡している。

そして結核菌の多剤耐性株は現在の薬では治療できないので、特に危険である。

「過去50年で市場に現れた新しい結核薬は、たった1つだ。それは2012年だった」、ETHチューリッヒの生薬学(pharmaceutical biology)教授、カール‐ハインツ・アルトマンは言う。

アルトマンと彼の研究チームは今回、新しい結核薬の基礎を築いた。

それはピリドマイシンという抗生物質によってインスパイアされたものである。



ピリドマイシンはヒト型結核菌の成長を阻害する抗生物質だが、急速に分解されてしまうために効果が低い。

アルトマンと彼の研究グループはピリドマイシンの構造を用いて新たな分子を設計した。

新しい分子はより安定しており、合成するのが容易である。



1953年、日本の科学者はピリドマイシンがヒト型結核菌の成長を阻害することを発見した。

しかしその後、この化合物は何十年も研究されなかった。

「結核の問題は解決されたと誰もが思っていた」、アルトマンは言う。

文献を調査している間に彼はピリドマイシンを見つけ、EPFL微生物病因論教授のスチュワート・コールの研究チームとともに、それがどのように作用するか解読した。

ピリドマイシン(Pyridomycin)は、細胞の代謝の重要な成分であるエノイルACPレダクターゼ(enoyl-ACP reductase)を麻痺させる。それは結核病原体の細胞壁を構築するために必須である。

現在利用可能な薬のイソニアジドも同じタンパク質を目標とするが、それはまず最初に、結核菌の内側で代謝され、機能する阻害剤へと変化しなければならない。

それとは対照的に、ピリドマイシンは目標のタンパク質と直接結合する。したがってイソニアジドの抵抗性メカニズムを迂回する。

この新しいアプローチは、結核の新薬のために多種多様な構造を可能にする。

学術誌参考文献:
1.2,1'-ジヒドロピリドマイシンの合成と抗抗酸菌活性。

ACS Medicinal Chemistry Letters、2013;

2.ピリドマイシンはエノイルレダクターゼInhAの、NADHと基質の結合ポケットに架橋する。

Nature Chemical Biology、2013;

http://www.sciencedaily.com/releases/2014/07/140702102433.htm

<コメント>
1953年に放線菌から発見されたピリドマイシンという抗生物質を元にして、結核菌の重要なタンパク質InhAを標的にする新しい分子が設計されたという記事です。




関連記事は、2012年にピリドマイシンが「再発見」された時のものです。

http://www.sciencedaily.com/releases/2012/09/120917123127.htm

2014年7月2日

2014-07-04 14:48:54 | 

癌ドグマが逆さまに:
癌を促進すると長い間考えられてきたサイクリンDは、予想に反して腫瘍サプレッサを活性化する




細胞サイクル進行の調節に必須のタンパク質は、重要な腫瘍サプレッサを不活性化するよりもむしろ活性化することが判明した。

カリフォルニア大学サンディエゴの細胞分子医学の教授、スティーブンF. Dowdy博士は言う。

「すべての癌の細胞サイクル進行で基本的な側面であると考えられていたことは、完全にひっくり返る。

それは最も基本的な経路で、そして癌では変異する経路、すなわちp16-サイクリンD経路である。」



サイクリンDは細胞複製の最初の段階の間に合成されて、複雑で段階的なプロセスを引き起こすのを助けると考えられている。

そのプロセスには網膜芽細胞腫(Retinoblastoma; Rb)タンパク質との相互作用が含まれる。

Rbの機能は細胞が分裂する準備ができるまで細胞サイクル進行を阻害して、過剰な細胞成長を予防することである。

Rbは腫瘍サプレッサとしての機能を果たすが、変異または機能不全を起こしたRbはいくつかの重大な癌と関連する。



そして、サイクリンDは、Rb腫瘍サプレッサの機能をリン酸化によって不活性化すると考えられていたので、癌を促進する癌遺伝子として長い間説明されてきた。

Dowdyと同僚は、細胞サイクル進行の間にRbに加えられるリン酸塩の数を念入りに計数した。

それは14箇所もあるが、サイクリンDは1箇所にたった一つだけリン酸塩を加えることが判明した。

14箇所の内のたった1つである。



細胞サイクル進行のG1フェーズの間、Rb腫瘍サプレッサは基本的に14の異なるバージョンが作られる。

一つだけのリン酸塩は、Rbを活性化するようにはたらく。

20年以上の間考えられてきたように、不活性化はしない。



遺伝子の経路が実際にどのように機能するか、そしてそれが中断される結果がどうなるかを理解することは非常に重要である。

それは特にサイクリンDの複数の阻害剤が乳癌の臨床試験でテストされる場合である。



そのうえ、次のサイクリン、つまり実際にRbを不活性化するサイクリンEが、どのようにして活性化されるかは厳しく探求はされなかった。

なぜなら、あまり重要ではない「ドミノの二番目」と考えられていたからだ。

「しかし我々は今、それが最初のドミノであるということを知っている。」

Dowdyは付け加えた。

学術誌参照:
1.サイクリンDは、単一のリン酸化によってRb腫瘍サプレッサを活性化する。

eLife、2014;

http://www.sciencedaily.com/releases/2014/07/140702122242.htm

<コメント>
おまけだと思われていた方が実は本物だったという記事です。

常識のように思われるようなことでも、まだまだわからないことは多いんですね。



2014年7月1日

2014-07-04 11:06:16 | 

腎臓癌にとって鍵となる遺伝子が発見される



学術誌Oncotargetで発表された今回の研究は、ccRCC(clear cell renal cell carcinoma; 腎明細胞癌)の増殖と転移における遺伝子発現の役割のこれまでで最も広範囲な分析である。

ccRCCサブタイプは、すべての腎臓癌症例の80パーセントを占める。

シニア研究者で分子生物学者のジョンA.コープランド博士は言う。

「本研究で重要なのは、患者の腫瘍で過剰発現することが判明した遺伝子を観察し、腎臓癌でのそれらの機能を確定したことだ。そして、これほど大規模な研究は今回が初めてである。」

研究チームは分析で特定した遺伝子のいくつかを既に発表してきた。

これらの発見の患者に対する重要性を考慮して、彼らはOncotargetにおいてすべての遺伝子を発表することに決めた。



研究者たちは、正常な腎臓と腎臓癌のサンプルを72ずつ調査し、RNAの過剰発現と過小発現、ならびにタンパク質の産生を観察した。

条件に合う約6,000の遺伝子が見つかり、さらに患者サンプルの全体で一貫して上昇する195の遺伝子を分離してテストした。

その中から、腫瘍の増殖または転移のどちらかに寄与した遺伝子を生きた癌細胞で確認して、研究者は『ヒット』のリストを31まで絞りこんだ。



「我々は増殖や転移だけではなく、腎臓癌の生存にとって重要な機能を持つ遺伝子も発見した。例えば炎症や、血管形成と関連する遺伝子である」、フォンRoemelingは言う。

「ccRCCは非常に血管を形成しやすいことが知られているので、このことは特に重要である。」



「これらの遺伝子と遺伝子産物は新薬を設計するために役立つ。さらに、それらは正確な診断のためのバイオマーカーとして用いられる可能性がある」、彼女は言う。

「それは、腎臓癌の未来の研究のために本当に貴重な発見である。」

学術誌参照:
1.機能的ゲノム研究は、腎明細胞癌腫瘍細胞の増殖と移動に必須の新しい遺伝子を特定する。

Oncotarget、2014年6月;

http://www.sciencedaily.com/releases/2014/07/140701142809.htm



<コメント>
腎明細胞癌(淡明細胞型腎細胞癌)では、炎症や転移等に関連する31の遺伝子の発現が共通して増加するという記事です。

上の図の黄色でハイライトされているのが記事中の『ヒット』遺伝子です。