細菌による治療はマウスで肥満を防止する
「我々のマウスは高脂肪食を食べていてさえ、肥満のネガティブな結果のほとんどを予防した」、ヴァンダービルト大学の薬理学の助教授、ショーン・デーヴィス博士は言う。
デーヴィスは、ヨーグルトにいるような「親しみやすい」細菌を使って腸に薬を届けることに長い間関心を持っている。
研究チームは安全な菌株であるE. coli Nissle 1917を使い、NAPE(N-acylphosphatidylethanolamine; N-アシルホスファチジルエタノールアミン)という脂質化合物を産生するように遺伝的に修飾した。
通常、NAPEは食事に反応して小腸で合成され、速やかにNAE(N-acylethanolamide; N-アシルエタノールアミン)という化合物に変わる。NAEは食事の頻度と体重の増加を両方とも低下させる。
いくつかの証拠は、NAPEの産生は高脂肪食を食べている人で低下する可能性を示唆する。
研究者は、NAPEを産生する細菌を8週間、高脂肪食を食べさせているマウスの飲料水に加えた。
修飾された細菌を投与されたマウスは、コントロールマウスと比較して、食物摂取、体脂肪、インスリン抵抗性、脂肪肝が劇的に低かった。
NAPE産生細菌が飲料水から取り除かれた後も、保護的な作用は少なくとも4週間持続した。
細菌が取り除かれた12週間後でさえ、投与されたマウスは体重と体脂肪が非常に低いままだった。
活性がある細菌は、約6週間後にはもはや持続しなかった。
学術誌参照:
1.腸微生物叢への治療的に修飾された細菌の取り込みは、肥満を阻害する。
JCI、2014;
http://www.sciencedaily.com/releases/2014/07/140722142521.htm
<コメント>
普通の人の腸では食事の脂肪からNAPE(N-アシルホスファチジルエタノールアミン)という種類の物質が作られていて、NAPEから変化したNAE(N-アシルエタノールアミン)はPPARαやGPRのリガンドとして食欲やインスリン抵抗性を抑制します。
そのNAPEを合成する細菌を水に混ぜて飲ませたマウスでも同様に食欲や体重が抑制されたという記事です。
ラットに高脂肪食を1ヶ月続けるとNAPEの産生は抑制されたとあります。
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19041747
>Chronic High Fat Feeding Eliminates Postprandial NAPE Secretion but Not Sensitivity to Exogenous NAPE
>Surprisingly, animals fed with HFD for 35 days prior to the experiment, while exhibiting high-normal NAPE concentrations at baseline, were unable to induce secretion postprandially, and even showed a significant reduction in circulating NAPE during the post-meal interval (Figure 1G).