失われたタンパク質は、肥満と糖尿病の関連を説明する
肥満と糖尿病は統計的な関連を示すが、肥満がどのように糖尿病につながるかという機序はずっと不明だった。
Agency for Science, Technology and Research(A*STAR)の研究機関である分子細胞生物学研究所(Institute of Molecular and Cell Biology; IMCB)の科学者は、肥満の人は血糖値を調節するために必須のタンパク質NUCKSが失われており、糖尿病を発病する危険が高いことを発見した。
NUCKSはインスリンシグナルの重要なプレーヤーである。
NUCKSが無いと肥満の人はインスリン抵抗性を発病して、効果的に血糖値を調整することができない。
それにより常に血糖の高い状態が引き起こされ、糖尿病を発病するリスクが上がる。
学術誌参照:
1.NUCKSはインスリン・シグナル伝達のポジティブな転写制御因子である。
Cell Reports、2014;
http://www.sciencedaily.com/releases/2014/06/140630094850.htm
<コメント>
インスリン受容体の転写を促進的に調節するNUCKS(Nuclear Ubiquitous Casein And Cyclin-Dependent Kinase Substrate)をマウスでノックアウトすると、インスリンシグナル伝達(IR、PDK1、Deptor、Rictor; mTORC2によるAktのリン酸化)が低下して肥満になったという研究です。
AbstractにはNUCKSは肥満のヒトと高脂肪食のマウスで抑制的に調節され、反対に飢餓で増加するとあるので、高脂肪食(と肥満)が転写レベルでのインスリン抵抗性の一因になることが示唆されたようです。