雑文の旅

猫爺の長編小説、短編小説、掌編小説、随筆、日記の投稿用ブログ

猫爺のエッセイ「股旅演歌」

2016-06-13 | エッセイ
 家に居る時、股旅演歌を流していると気持ちが落ち着く。若い頃にはなかったリラクゼーション法である。

 ブログ渡り(鶯の谷渡りみたいなものか)をしていると、「都々逸」を作って(詠んで?)おられる方が居られた。都々逸は、「俗曲」で、三味線の旋律にのって唄われた情歌(お色気唄)であった。現代では、詩や俳句、短歌、川柳のごとき「文芸作品」として若い方々にも愛されているようである。

 この都々逸は、七七七五または、五字冠りで、五七七七五の韻律でうたわれたものである。都々逸を楽しんでおられる方々はよくご存知ですが、七七七五でも実は三四 四三 三四 五の韻律なのである。
 
   ◇人の恋路を邪魔する奴は、窓の月さえ憎らしい◇ こんな都々逸があるが、これは…

   ◇ひとの(3) こいじを(4) じゃまする(4) やつは(3) まどの(3) つきさえ(4) にくらしい(5)


 記事タイトルは股旅演歌なのに、何故都々逸のことを書いているのかお判りでしょが、股旅演歌が猫爺の心を癒すのは、ひとつはこの韻律にあるのだと思っている。股旅演歌の「旅笠道中」という歌がある。これは若き清水次郎長が、喧嘩と博打に明け暮れる股旅を歌ったものである。

   ◇夜が冷たい 心が寒い 渡り鳥かよ 俺等らの旅は 風のまにまに 吹きさらし◇

   ◇よるが(3) つめたい(4) こころが(4) さむい(3) わたり(3) どりかよ(4) おいらの(4) たびは(3) かぜの(3) まにまに(4) ふきさらし(5)

 都々逸の韻律を中伸ばしをしているだけで、最後(5)で締め括るところは都々逸と同じだと気付く。もっと新しい歌ではどうだろう。

   ◇渡る雁 東の空に 俺の草鞋は 西を向く   意地は三島の 東海道も 変わる浮き世の 袖しぐれ◇

 ここまでは、都々逸を二つ並べた形になっている。 3443345 3443345 である。ここからはドラムのフィルインの如く目先を変えてはいるが、ここにも都々逸の韻律は生かされている。


 股旅演歌は、出て来るグッズ、山や川、雨や風は似たり寄ったり。グッズは、三度笠、道中合羽、長ドス、草鞋、サイコロ、落葉など。山は、富士山、磐梯山、浅間山、赤城山、御嶽山など。川は利根川、天竜川、木曽川など。後は雨、雪、雲、雁がねや喧嘩、などを適当にあしらってやると股旅演歌が出来上がる。

 メロデイの方はと言えば、たった5音(ド レ ミ ソ ラ)これをペンタトニックと言うのだが、要するに「♯」や「♭」の無い音階だけで作る曲である。

 例にあげた「旅笠道中」には、「ファ」と「シ」は使われていない。二例目の歌も、ペンタトニックである。これは沖縄民謡にも言えることで、特に猫爺のような古人間には馴染める旋律なのである。

 もちろん、使われるコードが少ないので、作曲もペンタだと容易い。作詞作曲してロック調に編曲してみてはどうだろう。お若いアーチストの方々に提案する。



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