雑文の旅

猫爺の長編小説、短編小説、掌編小説、随筆、日記の投稿用ブログ

猫爺のショート漫才「川ゆかば」

2016-02-06 | 掌編小説
 「雑文の旅」ブログを始めて間もない頃に、好んで投稿していた「ショート漫才」を復活してみた。「原点に帰る」ってところかな?

 A「先週の日曜日に、家族で動物園へいってきたよ」
 B「それは良かった、子供たちが喜んだだろ」

 A「それはもう、良い家族サービスになった」
 B「河馬の檻には近付かなかったかい?」

 A「近付いたさ、子供は大きな動物が好きでね」
 B「臭かっただろ」

 A「離れているから、わからない」
 B「動物は皆臭いけど、河馬は特別だそうだよ」

 A「おまえ、それを誰に聞いた?」
 B「古い和歌に記されているのだよ」

 A「どんな?」
 B「川ゆかば 水漬く河馬ね
 
 A「それって、大伴家持の和歌で<海>じゃなかった?」
 B「その元歌だよ、大伴家持がパクった」

 A「それで?」」
 B「陸ゆかば 草食む河馬ね おヽ君の 屁にこそ死なめ

 A「死ぬほど臭いのかい?」
 B「そうだよ、近くでぶっぱなされると、悶え苦しんで死ぬ」

 A「惨い」
 B「長閑には死なじ

 A「嘘をつけ」
 B「ごめん、嘘だ」

 A「侮辱だよ、謝れ!」
 B「河馬さん、ごめん」

 A「そっちにかい」


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