雑文の旅

猫爺の長編小説、短編小説、掌編小説、随筆、日記の投稿用ブログ

かんとだき

2012-11-28 | 日記
 最近では関西でも「おでん」という呼び方が多くなったが、昔は私たちは「かんとだき=関東煮」と呼んでいた。 鰹と昆布のだしに、濃口醤油と砂糖、味醂で味付けをしたちょっと黒めのおでんである。 独身で自炊をしていた時代は、鍋を持って近所の「かんとだき屋」に買いに行っていた。 それは、給料が入ったときの贅沢であった。 好きな種は、現在では見られなくなった「クジコロ」。 鯨の皮下脂肪の部分である。 鯨油をすっかり搾り取ったあとに残る白いスポンジ状のもので、これを「コロ」と呼んでいた。 薄くスライスして、水に晒したものを「さらし鯨=おばけ」と呼び、冷やして酢味噌で食べる。 すこし油が残って、黄色いものを「クジコロ」といい、関東煮の種や、粕汁の具にした。 

 昨日の夕餉は、「おでん」を作った。 砂糖、みりんは一切使わず、だしと薄口醤油だけでたっぷりのつゆを作り、すじ肉、大根、じゃがいも、蒟蒻、練り物、ゆで卵、手作りの餅きんちゃくだけのシンプルなもの。 昔食べた「かんとだき」とは違うが、あっさりしていてたくさん食べれた。 

 昨日、病院の帰りがけに業務スーパーへ寄ったら、北欧産の松茸が売られていた。 大きく傘が開いた(開きすぎた)のを5~6個盛り上げて1500円程度だった。 手に取って嗅いだら、まさしく松茸の香りだった。 形の良い松茸ならば、「もしや、合成香料?」と疑うところだが、傘がだらしなく開いているうえ、破れたりしていたので、こんなものにわざわざ香り付けをしないだろうと思う。 安いけれど、買う気は全くなかった。 そもそも、松脂(マツヤニ)臭い松茸などに、1500円も出せるものか。

 おや、もう3時半か。 お茶でも入れて、羊羹なと一切れ…。