雑文の旅

猫爺の長編小説、短編小説、掌編小説、随筆、日記の投稿用ブログ

頭髪も光合成する?

2012-11-07 | 日記
 コマーシャルで言っていたっけ。 花に水や栄養を与えるように、頭髪にもそれが必要だとか。 そうか、それで判ったぞ。 十代か二十代の若い人なのに、髪の毛が茶色くなっている人がいるのは、水や栄養を与えるのをサボったから枯れちゃっているのだな。 球い小さな化成肥料を髪の毛の間にチョンチョンと置いて、水を与えれば黒髪に戻るかも知れないのだな。 では、白っぽいのやら、黄色いのは? あれはホワイトアスパラやもやしのようなもの。 日照時間を増やしてやれば髪も光合成をして、きっと黒くなってくるに違いない。 年寄りのまっ白いのは? あれは、サンゴの死骸みたいなもの。 若者のように、元へは戻らないのじゃないかな?

 コマーシャルで言っていたっけ。 齢を取れば、コラーゲンがなだらかな下り階段のように減少してくるが、ある日突然切り立った絶壁のように階段が無くなってしまうとか。 ハイキングスタイルの中年のお嬢ちゃんが「あらっ!」と立ち止まって崖の下を覗き込んでいたっけ。 そういえば、「私、夕べまでお肌年齢三十代でつるつるだったのに、今朝起きてみると、ザラザラのシワシワなの」と五十代後半のお嬢ちゃんが言っているのを聞いたことがあったかな? 「それは階段がなくなって、崖になってしまったのです」と、教えてあげようか。 コラーゲンサプリをどっさり食べて、コラーゲン化粧水を顔に塗りたぐったら、元のなだらかな下り階段に戻るのだろう。 下りは下りだけど。

 コラーゲンを食べて、コラーゲンを肌に摺り込んだら、それがそのまま細胞を包む人間のコラーゲンになるのだと、信じ込んでいる素直な女性がどんどん増えているようだ。 経済効果をアップさせてくれたらよいのだが、まさかペテン師やペテン会社を太らせているだけではあるまいか。

 オフィスの化粧室で、こんな会話が交わされているに違いない。

 「貴女のコラーゲン、豚コラなの?」
 「まっ!失礼ね、高級スッポンよ。 ほら、目尻のこのあたり、スッポン、スッポンしてるでしょ」
 「貴女ね。男どもが噂している、夜行性で喰いついたら離さない女って」
 「ストーカーみたいに言わないでよ」
 「あら、私が言いふらしている訳じゃないのよ」
 「私のは、安物の鶏コラよ」
 「鶏コラは止めた方がいいわよ。 毛穴が大きくなっちゃう」
 「それって、鳥肌?」
 「そう」
 「最近は、鮫コラも有るらしいわ」
 「それって、鮫肌にならない?」

  コマーシャルで言っていたっけ。 「このサプリには、五十種類もの栄養素がギューッと詰っています」 でもねえ、種類は多くても容量が少ないかも知れない。 ドラム缶いっぱいの「ツナギ」に、耳かき一杯ずつ五十種類の栄養剤が入っていたって、五十種類は五十種類。 そこんとこ、どうなのだろう?