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◆「お父さんはやってない」

2010年07月11日 22時11分30秒 | 読書とか

「お父さんはやってない」矢田部孝司+あつ子 2006太田出版

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それでもボクはやってない」のモデル事件の当事者手記
映画上映にあわせて出版される。

痴漢冤罪の本を何冊か読んだので、結末を知っている推理小説のように気が乗らない。
世間体を気にしている夫と、無実を信じて突っ走る妻。そこにある弱気は嘘をつくものの姿に見える。そして、突っ走る妻はやっと人生のやりがい、自分の存在価値を証明する手段を得たと喜んでいるようにも見えた。
だから、それが当たり前の行動だとは納得しながらも、『自分への無実を証明するために、相手女性への思いやりに欠ける当人。相手の狂言だと決め付け、真実を明らかにしようとする態度は見られない。本当はやったんじゃないのか』などと思いながら読んでしまった。しかし、2審に向けてその態度を改めていく過程において、私の場合は被害女性の立場も他の本ですでに考えさせられていたからだと気付き、冤罪被害者という立場になれば、その原因である女性に対して怒りをもつのは当たり前であり、そこに対決姿勢が生まれるのも当然のことだと思った。
もちろん、闘い方を変えたのは心証を良くするためだったので、まだ『本当にやってないのか』という疑問は消えていない。読み終わったあとでも完全に消えるものではないことも知った。どれだけ闘っても、真実を知るのは本人たちだけなのだ。
本人すら真実を忘れ去り、『事実』を本当だと信じ込んでいるのかもしれない。だから、これを読んだ私には、そこに自分を投影することによって無実と信じたい気持ちが生まれているだけで、最後まで信じることができないのだろう。

事件から時間が経ってからかかれており、おそらく感情的な高まりも収まっていたのだろう。それほど生々しさを感じさせるような文章ではなかったが、それぞれの心の動きと時間の流れは感じられる。裁判の面倒くささと、そこにある人間とシステムの危うさを。

  • 初期に妻が動かなければ、おそらく夫は起訴前に『痴漢をした』と認めていただろう。
    • 夫にとっては仕事と体裁の方が大事だったのだから。
    • 動き始めてしまったので、そちらでの体面を保つために闘うことになる。
    • そこから始まっているので起訴・釈放後、夫婦喧嘩が絶えない。
      • 子供たちの前でも
  • 検察側は自分たちに不利な証拠は出さない。それがあるとわかっていれば、弁護側が要求しなければならない。
  • 有罪判決が出ると、一時的に検察の牢屋に入れられる。
    • 形式上のこと
    • 保釈金の上積み
  • 裏切る知人と集まる支援者
    • 心の支え
    • 金(経済的)の支え
  • 正直で丁寧な説明の必要さ。
    • 適当に答えるくらいなら黙っていた方がいい。
  • 相手の証言の矛盾を攻撃するよりも、その実効性のなさを証明するべきだった。
    • 他の冤罪裁判で、相手の証言(狂言)を覆して無罪を勝ち取ったような例があった。この件でもそういう方針になってしまい、それが1審で負ける原因になったようだ。
    • 被害女性は狂言などしていなくて、犯人を間違えただけなのかも~
      • 狂言だとの決め付けによる被害者への対決姿勢
      • 被害者女性の心理理解を
        • おそらく、女性の被害はあったのだ。この部分が完全に抜け落ちていた。
        • その後、示談について書かれていない。ここまで来ると金目当てや嫌がらせとも思えない。
        • 事件後も同じ電車に乗っていたのは、『自分は悪くない。被害者だ』という想いから、車両や時間帯をずらすのを負けだと思ったのかもしれない。だが、それが対決姿勢の被疑者の目からすれば『嘘をついている』と映るのも当然だった。
    • 友人から早い段階(1審段階)で「被害者女性を責めるより、被疑者供述の信用性を高めるほうが良いのでは」と意見が出ていた。
  • 無罪判決を受けて失ったものは取り戻せない。
    • (でも、愚痴を言いながら平和な日々を過ごしていたら得られなかったものも多かったようだが)
  • (私と同様に)支援者たちでも「痴漢の事実」については、本当に信用してくれている人は少ない。
  • 復職できた。(初の事例か?)

この本は女性にも読んでもらいたいと、夫婦で書いた。


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