Ｅさん

土曜日は早い時間から女王様が御来店

土曜日に臨時で手伝ってくれているＥさんをとても気に入ってくれているのだ

女王様は見る目がある

Ｅさんはお客さんとして来店してたのだが

急にヒデミがストライキを起こして出て来なくなったので

代わりの人をイロイロ探したのだが中々スケジュールが合わず

最後に藁をもすがる思いで頼んだら

自身の仕事やら何かと多忙にもかかわらず調整して手助けしてくれているのだ

当店はギリギリの人数で営業している

なので急に人が抜けると穴埋めが大変なのだ

募集広告を出す費用もないので店前に貼紙をしているが

全く効果がない

そんな時にＥさんは本当に心強い

土曜日も女王様の席でワインを３本開けたあと

他の席で苦手なビールを一気させられていた

売上の為と無理して飲んだそうだ

閉店後はダウンしてしまい２時間ほど休憩したあと

フラフラしながら自転車で帰って行った

せっかくの日曜日を台なしにさせて申し訳ない気持ちだった

そんなプロ根性の塊、Ｅさんは今月は毎週土曜日出勤してくれる

出来たら永続的に働いてくれないかしら

まさかの火山爆発２

昨日の続き…

久々の出勤のママに暴言を吐きまくり

襟首掴んで今にも殴りかからんばかりのＩ子

鬼の形相はとても常人とは思えない

何かに取り憑かれたかの様に猛り狂うのだ

「ヒデミを皆で苛めて追い出したの？」

いつの間にか彼女の頭の中ではそんな風に

ヒデミの病気療養が捻じ曲げられて

怒りの炎は義憤も混じって更にメラメラと燃え上がる

ユリコ姐と一緒に彼女をなだめるも効果はない

Ｉ子はしたたかに酔うと手がつけられなくなる

以前もアフターで彼女と２丁目に飲みに行ったサナエさんが

同じような目に遭っている

「とにかくさっきまで楽しく飲んでいたのに

　何かのスイッチで豹変するのよ」


お仕事柄、とてもストレスが溜まっているのは聞いていた

その上、最近は更年期障害の影響が出ているとも言っていた

それにしても、この夜の彼女は尋常ではない

結局少し落ち着いたものの

「もう二度と来ない！」と言い残してタクシーに乗って行った

ユリコ姐もびっくりしていた

「いつもはあんなに楽しく飲んでいるのにね」

色々とストレスが溜まっていてぶつける所がなかったのだろう


その後、私のケータイにはＩ子からのメールが３通届いた

あまりにも子供じみた暴言で当然返信はしない

すると今度は店の電話にかけてきた

マヤが出たのだが私を出せと言う

出た所で押し問答になるし、お客様のお相手をしていたので

その旨をマヤが伝えたら

とても常識のある大人とは思えない様な下卑た暴言の嵐だったそうな

彼女の中の悪魔をまざまざと見せつけられた瞬間だった


お酒にまつわる失態は誰にでもあると思う

こちらもお客様相手なのだからある程度までは我慢もしよう

しかしお金を払っているのだから何言っても良いでしょうはないと思う

お客様にだってマナーはあると思うのだ

生意気かもしれないがこちらも人間である


一体あなたは何様なんですか？

そんなに偉いのですか？

あなたの職場に行って同じ事をされたら

ただひたすらそれに耐えられると言うのですか？

まさかの火山爆発

酒が人を変えてしまうのは、この職に就いている者なら誰でも解っているだろうが

あまりにも常軌を逸した言動を目の当たりにしてしまうと

つくづく昔の人がキ○ガイ水と呼んでたのが頷けるのである


いつも品の良い上質な装いで現れるＩ子

昨夜も行きつけのバーでワインでも開けて来たのだろう

かなり声の調子がイッている

この夜は数ヶ月振りにママが出勤しており彼女も久々の再会を歓迎していた

Ｉ子は外でキャッチしていたマヤも呼び入れ上機嫌で声のトーンは更に上がる

私は一人の客に３人も付くのは負担になると思ってキャッチを交代した

しばらく店前で行き交う人を眺めながら次の来客を待っていた

中からは賑やかな声が聞こえていたが途中からＩ子の罵声に変わって行った

最初は滅多に店に出ないママに対する苦言だったが

その内に、辞めると言って出て行ったヒデミについての擁護になって行った

ヒデミが酔って仕事を放棄した挙げ句に辞めると言うのはいつもの事だ

その内にまた戻って来るパターンなので気にもしないのである

当然ヒデミの席はいつでも用意はしてあるのだ

だが、お客様には病気療養中と言ってある

話の流れでママが「ヒデミは辞めた」と言ったらしい

それをＩ子はどんな経緯があったかも知らないで

私達が一方的に辞めさせたと思い込み勝手な義憤からママを攻撃し始めたのだ


そこへユリ子姐が登場

私も救いの神とばかりに店内へ

今にもママに殴りかからんばかりのｉ子にユリ子姐と私は「どうしたのよ！」

まるで何かに取り憑かれたかの様な形相で汚い言葉を次々と吐きまくっている

どんな高級な物を身に付けていても全てが台なしになるくらい酷い言葉だ

顔見知りのユリ子姐は何とか彼女をクールダウンさせようとするが

Ｉ子の燃え盛る怒りの炎は鎮火しそうにもない

私も必死で彼女をなだめるのだが、さすがに聞き捨てならない言葉に

我慢の限界を超えてしまったのだ

いくらお客様とは言え言って良い事、悪い事はある

こちらの話も聞かないで一方的に罵るその目は常人ではなかった

日頃のストレスを其処に加えたとしても

それ以上の暴言だし

通常ならママの襟首を掴んで「お前帰れ！」と激しく詰め寄っただけで

料金をいただかずにお帰り願うところだ

彼女の頭の中には「私は客なんだから、これくらい当然」と言う思いで

お金を払えば何をやっても良い

所詮あんた達オカマなんだから…

そんな侮蔑もあったかもしれない

以下つづく

リサと言う女

月イチペースで来店のリサと言う５０過ぎの女が居る

化粧っけがなくて、いつもスッピンだが

美人の部類に入る顔立ちだ

スレンダーでスタイルも良く歳より１０は若く見える

彼女は飲食店のパートをしているが職場で浮いているらしい

明るく気遣いのあるリサが何故？

それは昨夜良く解った


一番乗りのリサに続き男性客が来店

彼女は新しい客を手招きし、自分の隣においでおいでする

初老の男性は時々遊びに来るが静かに話をし、気が向けばたまにマイクを握る

どちらかと言えば小料理屋のカウンターの奥に居そうな影のあるタイプだ

リサはそんな彼に頼んでも居ないのに積極的にアプローチ

昔のキャバレーに良く居たやり手ババアの様だ

ボトルをせがんだり、いきなりカラオケを歌って！と、男性の気持ちなど知っちゃいない

男性は迷惑そうにしているので一応リサに注意するが、まるで聞いていない

売上に貢献しようと思ってやってくれてるのかもしれないが強引過ぎるのだ

勿論リサは客なので、ある程度は自由にして良いが

他のお客さんを巻き込んで不愉快にさせるのは阻止したい

男性は大人なので怒りはしないがリサの言動を

店と組んでぼったくろうとしているのでは？と感じた様だ

私がリサに注意すると今度は他の男性客のテーブルに移動した

そこでも懲りずに歓迎されないサービスを展開していた

普通にしてれば決してモテないタイプではないのに勿体ない

空気が読めずに人の話も右から左、おまけに強引


職場で浮くのは、きっとこんな彼女の性格が災いしているからだろう

「友達が居ないのよ」

そうだろうね～

その気になったら

昨夜は、まだメイク中にユウが差し入れを持ってドアを叩いた

私のスッピンを知ってる男子なので、そのまま迎え入れる

久々の来店だ

聞くと九州の実家に帰って親戚の仕事を手伝ってた様だ

金曜日にはまた帰ってしまうらしい

この夜、ユウは顔立ちの良さを活かしてメイクとヅラで顔だけ女になった

何と生やしていたヒゲまで剃ってガチな様子

他に客が居なかったのでマヤが美容部員よろしく丁寧にメイク

「あら綺麗じゃない！」

ふざけて化粧をする男性客は結構居るが

そのほとんどは失笑が漏れる

しかしユウは本当に美しい

都心のニューハーフにも負けては居ない

本人も嬉しそうにポーズを取って私たちは写メを撮る

ちょうどスタッフ募集中なのでスカウトをしようかと思ったが

残念ながらノンケなので、いくら綺麗でも当店でバイトを頼めない

前にも金髪のヅラと口紅だけで「新人で～す」と男性客を接客していた

なかなかイイ素材なのに惜しい

ユウは化粧も落とさずヅラのまま帰って行った

確か前も金髪のヅラを被ったまま帰って行った

その気になったら戻っておいで

夜の蝶もまんざらじゃないわよ