おかまのよろめき

現役おかまのお店日記&趣味のはなし

女帝S子ママ

2012-04-29 22:48:00 | Weblog
連休に入った

当店はカレンダー通りの営業なので

5月の1日と2日のみ出勤で後はゆっくりと命の洗濯でも…

考える事がホントに年寄り臭いと反省する

でも若くないのは体力的にも精神的にも実感している

何たってアラフィフなんだから


そう言えば先日お見えになったお客様

府中から遊びにいらしたのだが

思いがけない訃報を耳にした

府中と言えば有名なSと言うオカマバーがあって

そこのママのS子さんもかなりヤンチャな過去をお持ちだった

私が聞いた武勇伝の一つが

言う事を聞かないお客さんをハイヒールで殴ったら

頬を貫通したとか…

壁にはいつも赤茶色の染みが点在していて

聞けば、昨夜のお客様同士の喧嘩の名残だとか…

これらのエピソードがてんこ盛りだった

そのS子ママが癌でお亡くなりになったらしい

耳を疑ったが常連の彼らの言うことなので嘘ではなさそうだ


数年前に私は初めてS店に連れて行っていただいた

朝方、当店に遊びにいらしていたヤンチャ系の男性が

府中で有名なS子ママの話を始めた

私が調布のお店で働いていた時に何度か面識があり

かなり強いオーラを放つママだった事を話すと

早速その男性はケータイでS子ママに連絡を入れた

私に代わっていただき2~3お話をした所

光栄にも覚えていてくださった様だ

「あら、アンタ元気にしてんの?」

ついつい懐かしい声に話が弾み

私とその男性、そして彼を紹介して下さった美樹ちゃんの3人は

早速タクシーを飛ばして府中へと向かった


時計は既に4時を過ぎていて

S店とて閉店間近だったろう

それでもママやスタッフの方たちは私たちを待っていた

カウンターには若いイケメンが3人

ボックスにも1組お客様が残ってらしたと記憶している

私たちの席には先ず愛さんと言うニューハーフが来てくれた

豊かな胸と赤いドレスが印象的だったがやや大人しいイメージだ

同業者が来たのでやや緊張していたのかも


その後は男性スタッフにチェンジで

彼は連れて行ってくれた男性にガンガン飲まされていたが

「昨日も此処で潰れてましたから、どうって事ないです」と

注がれる焼酎を一気に飲んで行く

カウンターの若いイケメンが帰った後

大御所のS子ママ登場

メイクや雰囲気がちあきなおみ風だった

私を連れて行ってくれた男性は常連の様だったが

筋金入りのヤンチャ系でコワモテの友達ばかりと来ていた様だ

ママも最初はちょっと面倒臭そうだったが

其処はオカマ同士の阿吽の呼吸で

メイク法などを教えて貰ったりしている内に時間はあっと言う間に過ぎた

男性は残ると言うので、私と美樹ちゃんの2人はタクシーを呼んで貰った

帰りにはシェールのDVDまでプレゼントして貰い

タクシーまで見送りに来てくれたママと記念撮影までした

あの時の事が懐かしく思い出される

実は当店のヒデミもS子ママの処でお世話になった時期があったのだ

「ヒデミが居るんだって?しっかりやっているかしら?」と

かつての従業員の事を案じていた

ヒデミも話を聞いてかなりショックだった様だ


他にも忘れられないエピソードがある

私が調布で働いている時に、其処のママが

府中の台湾料理店に連れて行ってくれた事があった

カウンターに派手なスーツの女性が腰掛けていて、よく見るとS子ママだった

私たちは挨拶をして少し世間話をした

その時にS子ママが寂しそうに呟いた

「誰か良い子、居ないかしらね…」

数々の武勇伝を誇る強気のS子ママの背中がやけに小さく見えた

お店はしばらく愛さんと他のスタッフで営業するらしい

私より少し若いS子ママ

お名刺には“女帝”と書いてあった

また一人、組合の仲間が旅立ってしまった

ご冥福をお祈りいたします







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