お忍びで…

今朝はとても涼しくて半袖では肌寒いくらいだった

仕事を終えて地元の駅に辿り着いたのは６時半ごろ

電車を降りてホームのベンチの腰掛けた

心地よい風に身を任せていると

ついうつらうつらしてしまった

慌てて帰る事もないので少し其処で休憩する事にした

それにしてもこの眠気は一体何だろうか

昨夜の営業が取り立てて忙しかったわけでもないのに

何故か腰が重くて其処を離れられないのである

次々とホームに滑り込む電車

通勤客が吐き出されては、また乗り込む

時々目に付くイケメンを目で追いながら

３０分くらい硬いベンチの端でまどろんでいたのだ


そう言えば昨夜は珍しいお客さまが来店された

近隣のクラブのママさんが

目を見張るようなイケメンを伴って現れたのである

しかも時間は１１時前だ

この後同伴と言うには遅過ぎる

まさかお店を休んでのお忍びデイト？

あまり詮索をしては失礼なので

その辺のところは触れないようにして接客

お連れになった男性は彼氏？

「ママ、こちらホントにイケメンね～」

若い頃の神田正輝と三浦友和を足して２で割った様な

正統派のハンサムだ

ママはお店で見せるのとは全く違う表情で

無邪気な笑顔を見せている

「ねえ、私と彼の関係気になるでしょう？

　どちらが年上だと思います？」

彼は、ほぼママと同じくらいだろうが

一応サービスでママより少し若く言った

「え～？私より彼の方が年下に見えます～？」

身をよじって悔しがる仕草が何とも可愛い


「実は私のダーリンなんです

　今日は彼の誕生日だったので

　この近所の隠れ家的なフレンチでお祝いして来たんです

　彼は明日ゴルフなのであまり長く一緒に居られないの」

どうやらお店はチーママに任せて

今夜は彼と束の間の逢瀬を満喫している様だ


２人を姓名判断や六世占術で占ったり

カラオケでデュエットしたりと

楽しい時間はあっと言う間に過ぎて行った

ママはしきりに彼の明日のゴルフを気にしている

彼はまだ２人の時間を楽しみたい様だったが

お会計を済ませてタクシーに乗り込んだ

ママはホントに幸せそうな笑顔を残して店を後にした

何だかお熱い所を見せ付けられちゃったけど

とっても羨ましく素敵なひと時だった