知人より聞いて以来、ずっと気になっていた、府内某所のカリガネソウ自生地に行ってきました。
最初に行ったのは9月上旬。
中旬には例年ほとんど花が終わっていると聞いたので、急いで向かいました。
山地の渓流沿いや林縁に生えているとのことでしたが、山道に入る手前の川沿いでいきなり群生を発見!
これは大いに期待できそう。
ということで薄暗い山の中に足を踏み入れます。
歩いても歩いても何もありません。本当に咲いているのでしょうか?
いい加減だらだら坂道に嫌気がさしてきたころ、辺りに特異なにおいが漂い始めました。
ひょっとして、この匂い・・
当たりです!
付近にはいつのまにかカリガネソウの株が現れ、ぽつぽつと花を咲かせていました。
株は大きく、蕾が沢山付いているのですが、花はまだまだこれからといった風情。
こんな感じ・・・
今年は猛暑と少雨のせいでしょうか。いつもと勝手が違うのかもしれません。
リベンジを心に誓って、この日は自生地を後にしました。
さて、二回目訪問の結果をお見せする前に、カリガネソウのお勉強~
シソ科カリガネソウ属。
山野草として販売もされ、しいちゃんのお宅では沢山広がって咲いているということですが・・・
自生地は非常に限られており、京都では準絶滅危惧種に指定されています。
花弁は「二唇形」。上に二枚、下に三枚の花弁があります。
パッと見目立つのが下唇中央のびろんと前に突き出した部分。
まるでしゃくれた顎みたい。
カリガネソウという名前は、雁が飛んでる姿といいますが、似てるかなあ??
一番目立つのは、誰が見ても蕊ですよね。
で、花の姿を帆掛け船に例えて、「ホカケソウ」という別名もあるそうです。
おっと、写真も見せずに説明長すぎ!
四連休を利用して、また行ってきました。
花の造りをとくとご覧くださいませ。
今度は前よりは咲いていましたが、それでも植物園などで見られるような「一面青紫」にはなりません。
風情ありますよね~
でも暗いし、ゆらゆら揺れるし・・・で写真を撮るのにえらい時間がかかってしまいました。
撮り方によっては、上の写真のように少し青くなってしまうし・・・
実際には、下の写真のように、もう少し紫が強いです。
渓流沿いに咲くとのことですが、日当たりも好むので、こんな場所だとなかなか咲かないのかも。
少し上流山側に咲いていた株は、日当たりがいいからか、背が高く花付きも良好。
(一回目に行ったときの最後の写真の株がこんなに立派に咲いていました)
カリガネソウは小さい花ですが、大きな蜂が止まって蜜を集めます。
その時、湾曲した蕊が大きくしなって、蜂の背中に花粉が付きます。
その花粉が別の花にとまったときに、同じく湾曲した柱頭につくという次第。
うまく出来てますね~
一度だけ蜂が止まるのを見ましたが、確かに背中に葯がくっついてました。
で、下の写真ですが、もうすっかり花粉が出尽くした後と思われる花。
柱頭は開いていますね。
ちなみに、臭気が強いため、シカはカリガネソウを食べないそうです。
ただ、周辺、草刈りのあとがありましたので、相当数のカリガネソウが咲く前に刈られたかもしれません。
綺麗な花が咲く前はただの雑草にしか見えないので難しいですね。
長々とすみません。
で、実はこれで終わりではないんです。
この付近で見かけた小さい白い花。とても地味で、花の感じからイラクサ科と目星をつけました。
結構広がっていますが、普通のイラクサ科と比べてとても小さく、たとえて言えばヤブコウジくらい?
帰ってからググってみたら、なんとミヤコミズ(イラクサ科ミズ属)という植物のようです。
京都府南部で発見されたから「ミヤコ」と名付けられたそう。
分布が限られており、なんと絶滅危惧種!
地味な花ですが、がんばって山道歩いたご褒美をもらった気分です。
京都にもまだまだ希少な植物が残っているようです。
守るために私に何ができるでしょうか・・・
【撮影:2020/9上旬~中旬 京都府】