夏木広介の日本語ワールド

駄目な日本語を斬る。いい加減な発言も斬る。文化、科学、芸能、政治、暮しと、目にした物は何でも。文句は過激なくらいがいい。

北朝鮮への経済制裁は続けるべきだ

2008年06月27日 | Weblog
 アメリカが北朝鮮に対してテロ支援国家の指定を解除する方向らしい。
 その事に関して、自民党の幹部らしき人が、福田首相はブッシュ大統領と会見して、待ったを掛けた、と言ったが、そんな事が出来るはずが無い。
 多分、福田氏は「北朝鮮に対してテロ支援国家指定を解除する方向で検討をなさっているのではないか、と伺いましたが、日本にとっては拉致問題がありますので、何とか再考をお願い出来ないかと言うような事を考えているような訳でございまして」などと言ったのであろう。そうした言葉を英語に訳せるとは思えない。

 ブッシュ一族は原油の利権に最も近い距離に居る、と誰かが書いていた。利権を守りたいからイラク戦争もしている。それに対しての反論を読んだ記憶は無い。多分、原油の値上がりで、笑いが止まらないのだろう。自分の事しか考えない人間に拉致問題の痛みが分かるはずも無い。その人間と握手して抱擁までし合って帰って来たのが小泉元首相であったのは周知の事実である。
 私の日本語変換ソフトは頭が良いのか悪いのか、「自民党の幹部」と入力しようとすると「自民党の患部」と変換するし、「小泉元首相」は「小泉元殊勝」と出る。それはブッシュにとっては「殊勝」でしょうよ。そして「周知の事実」は「羞恥の事実」なのである。
 ソフトのくせして、こちらの考えを誘導しようとはとんでもない。でも、思わず、お前、頭いいねえ、と感心してしまうのも事実なのである。この場合には「寒心」などとはならないのである。

 でもアメリカって、ずいぶんと勝手ではないか。イラクに対しては単に、何だったっけ、武器を隠しているとか何だかの疑いだけで戦争を仕掛けた。何の関係も無い市民を無差別に巻き込んだ。それなのに、北朝鮮に対してはなんでそんなに遠慮深いのか。日本に対してだってそんなに遠慮深くはないぞ。いやいや、むしろ遠慮会釈無しにづかづかと土足で踏み込んで来ているではないか。
 米朝関係が20年ぶりに正常化に向けて歩み出そうとも、日本は関係は無い。日本は正常化など考えてはならないはずだ。民主党の議員が言った。拉致被害者の情報を一カ月も掛かって出して来るのは、その間に完璧なごまかしをするためだと。とっくの昔に明らかになっている情報なのだ。すぐに出せて不思議はない。それだけで、北朝鮮が日本をまたまた騙そうとしている意図は明らかだと。
 そう言えば、「北朝鮮」とは書かせずに、必ず「北朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)」と書かせていた新聞社があった。どことは分からないし、一社だけでもなさそうだ。そうした新聞は今でもまだ北朝鮮に騙され続けているのだろうか。

 騙されても騙されても、相手に善意の心を見い出そうとする政治家って一体何なのだろう。常に国民を騙す事に慣れてしまうと、騙す事にも騙される事にも鈍感になってしまうはずだ。もしかしたら、自分の言葉に騙されている可能性が高い。自分の言葉に騙されると言うのはビジネスマン必勝のテクニックだと読んだ覚えがある。アメリカ人の書いたビジネスマンのマニュアルである。『信念の魔術』と題する本だった。駆け出しのサラリーマンだった私はこの本を真剣に読んだ。
 相当に酔った男が洗面所の鏡の前で、「俺は酔ってない、酔ってない」と何度も繰り返して、みるみる酔いが醒めて行ったなどの記述もあった。スピーチをする場合には、等身大の鏡の前で、効果を十分に確認しながら何度も練習をせよと言う。
 日本の政治家はスピーチではせっかくの指南を全く受け入れず、相変わらず、部下の作った原稿の棒読みをしている。それにも拘わらず、自分の言葉に酔うテクニックだけはマスターしている。
 正しい力を持つ人が自分の言葉に騙されて更に強い正しい力を持てる事は納得が行く。それと同様に、駄目な人間が自分の駄目な言葉に騙されれば……。

 北朝鮮に交渉に行った代表団が持ち切れないほどの土産を持って帰国した、との話は単なる無責任な噂話だったのだろうか。日本の首脳がアメリカ大統領に面会に行くのは権力の保証を受けるためだ、も噂話なのか。
 「仏の顔も三度まで」の格言も、政治家の中では多分、「仏の顔は何度でも」になっている事だろう。