100年ほど前にイギリスで激論が交わされた。課題は馬糞の処理をどうするか、だった。当時ロンドンでは馬車が大流行していてこの勢いで馬車が増え続ければ馬糞の処理が追い付かなくなるという問題だった。しかしこれは杞憂だった。馬車は廃れて自動車が普及したからだ。もし大規模な馬糞処理場を作っていたら無駄な投資になっていただろう。
このように文明の進歩が問題を解決することはしばしば起こる。現在の技術だけで未来を予想すれば誤ることもある。食糧問題でも同様だった。50年ほど前に食糧危機が騒がれた。これ以上、人口が増えれば食糧生産が追い付かなくなると言われていた。その後、世界の人口は2倍以上に増えたが食糧の絶対量は足りている。面積当たりの収穫量が2.5倍に増えたからだ。これは生産技術の向上と石油利用に負うところが大きい。
しかし文明の進歩を信じて問題を先送りすれば大変なことも起こり得る。核燃料の「トイレの無いマンション」問題がそれだ。勿論、核燃料の処理を忘れていた訳ではない。高速増殖炉の技術が進んで燃料を再利用できると考えられていた。しかしその実験施設「もんじゅ」で失敗した。この時点で更に進んだ技術に基く高速増殖炉を作る必要が生じた。しかし一昨年の原発事故で新たな原子力施設を作ることは殆んど不可能になった。
小泉元首相が今頃になって原発廃止を唱えることを無責任だと批判する人は少なくない。しかし状況の変化を認めるべきだろう。小泉氏が首相だった時代なら新たな高速増殖炉を作ることも可能だっただろうが今では不可能だろう。かつては「トイレを作る予定のマンション」だったが今では「トイレを作れないマンション」になってしまった。日本の技術を使って外国に高速増殖炉を作らない限り解決は望めまい。しかしそんな施設を受け入れる国があるだろうか。そんな国は多分、発展途上の独裁国しかあるまい。これでは危険の拡散になってしまう。
このように文明の進歩が問題を解決することはしばしば起こる。現在の技術だけで未来を予想すれば誤ることもある。食糧問題でも同様だった。50年ほど前に食糧危機が騒がれた。これ以上、人口が増えれば食糧生産が追い付かなくなると言われていた。その後、世界の人口は2倍以上に増えたが食糧の絶対量は足りている。面積当たりの収穫量が2.5倍に増えたからだ。これは生産技術の向上と石油利用に負うところが大きい。
しかし文明の進歩を信じて問題を先送りすれば大変なことも起こり得る。核燃料の「トイレの無いマンション」問題がそれだ。勿論、核燃料の処理を忘れていた訳ではない。高速増殖炉の技術が進んで燃料を再利用できると考えられていた。しかしその実験施設「もんじゅ」で失敗した。この時点で更に進んだ技術に基く高速増殖炉を作る必要が生じた。しかし一昨年の原発事故で新たな原子力施設を作ることは殆んど不可能になった。
小泉元首相が今頃になって原発廃止を唱えることを無責任だと批判する人は少なくない。しかし状況の変化を認めるべきだろう。小泉氏が首相だった時代なら新たな高速増殖炉を作ることも可能だっただろうが今では不可能だろう。かつては「トイレを作る予定のマンション」だったが今では「トイレを作れないマンション」になってしまった。日本の技術を使って外国に高速増殖炉を作らない限り解決は望めまい。しかしそんな施設を受け入れる国があるだろうか。そんな国は多分、発展途上の独裁国しかあるまい。これでは危険の拡散になってしまう。